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報酬

「こんなにたくさん貰っていいのカ?」

「もちろんじゃ、持って行っとくれ」

「おじいさん、ありがとナ」


 日が暗くなり、収穫を終えた俺たちはおじいさんに報酬とは別に野菜のおすそ分けを貰っていた。


 が、俺とマシロにそれを喜ぶ余裕は無かった。


「ああもう駄目力が出ない帰れる気がしない」

「マ、マシロこんなに運動したの初めてです。鎧来てないから身軽なはずなのに体だ重いです」


 俺は仰向けでの頃がり、マシロも四つん這いになって息を切らしていた。


「お二人とも情けないですよ。帰るまでが依頼ですしゃんとしてください」

「ハトに背負って貰ってるくせに大口叩いてんじゃねぇ」

「ほんとそれナ。ミーアトリアは軽いからいいけど私野菜も抱えてるんだヨ?」

「ハ、ハトちゃん私も運んでください~」

「無理言わないで、マシロは重いんだよ特に胸元の無駄な贅肉のせいデ」

「無駄って何ですか贅肉って何ですか!? 私だって好きで大きくしてるわけじゃありません!」

「喧嘩売ってるのカ!?」

「普段なら体術で負けるわけないので安売りしてますけど今は体力無いので非売品扱いですってちょっと詰め寄って来ないでください!」

「良いから帰ろうぜ……」


 さっきからハトリールは胸のことを気にしすぎだ。


「お疲れ様でし、ほ、本当にお疲れみたいですね!?」


 役所へと戻ってきた俺たちをクォンが入り口付近で出迎えてくれたが、俺たちはクォンの顔が見えた瞬間に膝から崩れ落ちていた。


「い、幾らミーアトリアが軽くてもこの距離背うのはキツイ……」

「あ゛あぁぁ温泉入りてぇ」

「マシロはふかふかのお布団で寝たいです。甘い香りと暖かい空気に包まれながらマッサージもしてもらいたいです」

「皆さま情けないですね」


 意気揚々とハトリールから降り立ったミーアトリアに突っ込みを入れる余力すら、今の俺たちには残されていなかった。


「クォン様、大変お手数かとは存じますが皆さまを連れて帰るのを手伝ってはいただけませんでしょうか? そのままお夕食をご馳走いたしますので。今日は夏野菜と狸狐りこ族のお肉をたくさん使ったカレーにする予定です」

「あ、そうなんですね。ぜひともご馳走にならせてください。今支度するので五分くらい待っていてください」

「かしこまりました」

「もう少し心配してくれてもいいだろうが……」


 思わず伸ばした右腕も、すぐに疲れに負けて地面に落ちた。


「わぁ、すっごい美味しそうですね!」


 帰宅後、すぐに料理にとりかかったミーアトリアの手によって食欲を誘る香りがリビングに充満させられていた。


「よ、ようやく立てるようになってき、ま、ました……」

「こ、こんなにキツいのはいつ振りだロ、もう二度と肉体労働なんてしナイ……」

「ミーアトリアを背負っただけだからな? 労働ってほど働いてないからな? ……ま、食べるとするか」

「先輩復帰速いですね」

「流石のめいめいだね、さっきまで一緒にぐでってたのニ」


 そうは言われても、これくらいの疲れならすぐに回復できる。 今はともかく昔はこんなこと日常茶飯事だったからな。


「いただきますにゃ」


 一足先に席に着きカレーを食べ始める者が一人。


「うみゃうみゃ」


 そいつはあっという間に一皿食べ終え、満足気に一息ついてからお皿を持ち上げ――


「お代わり頂戴にゃ」

「どうしてお前がここにいる!?」

「んにゃ?」


 すっ呆けたどら猫に俺は勢いよく突っ込んだ。

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