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出勤

「昨日、あいあい泣いて帰ったヨ?」

「結局そのあだ名で決まったんだな」


 悪いことをしたとは思うが、俺としては触れられたくない部分だ。それに、アイナが本当にニコラス家の娘なら俺と関わり合いにならないほうがためになる。

 いやまあ、確かニコラス夫妻には一人娘がいたし、護衛中に昔のシュライン君と一緒で騎士団に所属しているんだよ、という話を聞かされた気がするし、その娘もアイナという名前だった気がする。


 段々確信に変わって来た。


「でもまあ、適当に誤魔化しておいたカラ。悪い子じゃなさそうだし、今度会ったら話くらいは聞いてあげなヨ」

「善処する……っと、少し早く着きすぎたな。一先ず近場で時間を潰して――」


 マシロは装備一式を押収されていて扱えない。そのため知り合いの所に武器だけでも、と仮に行っている。それに付き合いようにミーアトリアも別行動しているため今はハトリールと二人きり。

 とりあえず先に職場に出勤し、依頼の処理を終わらせて後で合流という手はずだ。


 突然、右腕に柔らかい何かが抱き着いて来た。


「やっと捕まえました!」

「うおぉっ!? なんだ!?」

「あ、クォカインじゃん」

「その薬物みたいなあだ名は止めてください……」


 すっごい嫌そうな表情を浮かべながらもしっかりと俺の右腕をホールドするのは俺よりも頭一つ分ほど低い身長を持ち、制服をきっちりと着こなす女性、クォン・カインだ。

 俺たちのパーティーの担当で、俺と同年齢と言う若年齢にして国家公務員として真面目に働く、正直信じられない存在だ。


 茶色の髪は腰まで長く伸ばされ、緑色の瞳は獲物を捉えた獣のように鋭かった。


「今日こそは逃がしませんからね!?」

「分かったから一旦離れてくれ、暑苦しい」

「そうはいきません、そんな手口で何度騙されたと思ってるんですか!」

「何度も騙されるような手口でもないと思うけどナ」

「ハ、ハトリールさんは余計なことを言わないでください! ……いいですかメイゲルさん! いい加減に働いて貰わないと、今月のお給料がピンチなんです!」

「思いっきり私情じゃないカ」


 ハトリール、いい突っ込みだ。公務員であるところのクォンにその口撃は結構効くぞ。


「うっ、で、でも、働かないと大変なことになるのはメイゲルさんも同じはずですよ!」

「そうだよ。だから今日は働きに来たんだよ。だから離してくれ」

「何度も同じ手に騙されるとえ嘘働きに来たんですか!?」

「だからそー言ってるじゃん」


 まったく、少しは信頼して欲しいものだ。


「じょ、冗談ですよね? 何かの嘘です……はっ!? まさか私にドッキリを仕掛けたらお金を貰えるとかそういうやつですねそうなんですね!?」

「そうな金も時間も持て余した奴は生憎と知り合いには誰一人としていねぇよ。てか離せ、恥ずかしい」

「ふ、ふんっ! 騙されませんよ? この前だって恋人みたいに見えるな、って言われて思わず離したすきに逃げられたんです。もう騙されません」

「そうは言っても顔真っ赤だゾクォカイン」

「う、五月蠅いです! 私だって恥ずかしいですよ!」


 毎日真面目に働くクォンも年頃の女子、男に抱き着いている姿を見られるのは相応に恥ずかしいのだろう。

 ハトリールの言葉を受けて耐えられなくなったのか、真っ赤になった顔を両手で覆って隠し、その過程で俺の腕は解放された。

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