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没落の道筋

「じゃあもしかして、先輩がこっちに、つまりミクア王国からこのメリウス王国のニバールまで遠路遥々やって来たのはその依頼に失敗した影響ですか?」

「あながち間違いじゃあない。それがきっかけなのは確かだ」


 時たま働くマシロの鋭い勘に驚きながらも、言葉を選んで話を続ける。


「その依頼からしばらく過ぎて、俺はミクア王国を離れた。それが二年前。で、更に数か月だってお前たちに出会い、今に至るってわけだな」

「なるほどですね。というか、先輩ってお貴族様に指名で依頼貰うほど、あっちでは知名度あったんですか?」


 何気ない、純粋なその質問に少し言葉を詰まらせてしまった俺は、全力で取り繕いながら答える。


「まあな。ミーアトリアと合わせて、結構評判も良かったよ。な」

「はい。件の依頼の失敗以降も、身分の高い方からの依頼は数度ありました。まあ、そのすべてがお得意様ですけれど」

「凄いじゃないですか! えっ!? じゃあもしかして昔の先輩ってお金持ちだったんですか!?」

「どうだった?」

「どれくらいを基準にお金持ちというかは判断しかねますが、最盛期には金貨が年間千枚は下らなかったかと」

「せ、千枚!? 大富豪じゃないですか! ミクアでどれくらい活動してたんですか!?」


 相変わらずお金の話になると饒舌なマシロである。


「そうは言っても最盛期は最後の二年間くらいだよな? 十歳から活動初めて、ミーアトリアと出会ったのが十五の時だから」

「そうですね。主様は私が初めて出会う一年前辺りから名を広め始めていたはずです。それから一年間くらい、収入は安定してましたね」

「ああ。そんな感じだな」

「ってことはその二年間で二千枚ですか!? で、でも、じゃあミクアを出るときに没収されたんですか?」

「違うな。世話になった孤児院に寄付して来たんだよ」

「へぇ、先輩にもいいところがあったんですね」


 その物言いには一言言ってやりたいが、勿体ない、とか言い出さない当たりマシロは情に深いやつだよなと再認識する。


「じゃあ、どうしてこっちでは頑張らないんですか? 実力が極端に落ちたりはしてないですよね? 同じくらい稼げません? いつもお金があったらなぁ、って言ってますけど稼ぎ方を知らないわけじゃないんですよね?」

「お前に言われたくない……あんまり意義を感じないんだよ。あっちには良くしてくれた人がたくさんいたし、何より使命感があった。こっちに来てからは身軽になって、そういうことを考えなくなったからな」

「じゃあ、マシロと似たようなものですね」

「一緒にされるのはなんか嫌だな」

「類は友を呼ぶと言いますし、仕方ありませんね」


 ハトリールもミーアトリアも、仕事に対して熱心な性格ではない。そういうことを考えれば確かに俺たちは似た者同士で集まっているのかもしれない。


「まあ、そういうわけなので似た者同士これからも仲良くしましょうね。一先ず、明日は仕事に出掛けましょう。そろそろクォンさんが実力行使に来る頃です」

「だな。日が暮れたら帰って、明日の支度でもするか」

「かしこまりました。では、支度を済ませておきますね」

「悪いな」

「大変面倒でございますが、仕事ですので」

「一言余計だ」


 本当に、仕事に対しての熱意を全く感じられないな。

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