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客人

「お、おはようございます!」


 マシロの体を引きずりながら玄関に向かうと、この前の女騎士がいた。


「ああ、いつぞやの。どうかしたのか?」

「い、いえ! 先の件の謝罪とお礼をと考えていたところ、ハトリールさんを見つけたので。謝礼の支度もまだ出来ていませんが、改めて挨拶くらいはと思いまして! ……それで、えっと、お取込み中でしたか?」

「ん? ああ、こいつのことは気にしないでくれ」

「はい。ただ捨てられたくないから抱き着いてるだけなので、気にしないでください」

「す、捨てる……?」

「おい! 早速怪訝な目をされているから変な言い回しをするな! 冗談だからな? これはあれだ、祝日の朝父親と遊びたいものの父親が付き合ってくれずに駄々を捏ねる子どもみたいなものだ」

「お子さんがいたんですか!?」

「違うからな!? こいつと俺大して年変わらないからな!?」

「し、しかしそうなるとお相手は……はっ、まさかハトリールさん!?」

「マシロは私の一個しただヨ? というか似ても似つかないシ」

「そうですよ、そんなのあり得ないです……待ってください? マシロが二人の子どもになれば成人するまでは安泰……マシロ、二人の子どもなんです!」

「やっぱりっ!?」

「違う! ああもうややこしい一旦上がれ!」

「いや、ここ私の家なんだけド」


 この女騎士も女騎士だが、マシロはもっとふざけている。人の話を聞かないやつが二人もいるとこうも面倒なことになるものか。


 一先ず女騎士をリビングに案内し、俺とおまけのマシロ、その対面にハトと女騎士が座った。


「と、取り乱してしまってすいませんでした。そしてその、改めて確認なんですけどお二人の関係は?」

「夫h――」

「赤の他人です」

「ちょっと! 幾ら何でも酷くないですか!?」

「性懲りもなく俺の嫁を名乗ろうとしたお前に言われたくはない!」

「あの二人は気にしないでいいヨ。私たちは皆同じパーティーのメンバーなんダ。今キッチンにいる子もソウ」

「お客様、おはようございます。今お茶をお出ししますのでごゆるりとおくつろぎくださいませ」

「あ、お構いなく」


 あれ、なんか俺の知らないところで勝手に話が進んでないか?


「えっと、家政婦さん、ですか?」

「ん? ああ、ミーアトリアのコト? 違う違う、家政婦なんかじゃ、って、ああ、そういう意味カ。それこそ違うよ、奴隷じゃナイ。言ったでショ? パーティーメンバーだヨ」

「それは失礼しました! けれどその、服装が……」

「あれは好きでやってるだけだから気にしないデ」

「その通りでございます。……お茶の支度が出来たので、今お持ちしますね」


 俺とマシロが取っ組み合いをしている内にもあっちは世間話で盛り上がっているようだ……こ、こいつ結構力入ってるぞ! 室内で本気でやり合うつもりか上等だ!


「めいめい、ましろん、また家を壊すようだったら追い出すヨ」

「「すいませんでした」」

「分かればよろしイ」


 俺たちは無力だ。


「それはそうと、改めて要件を聞こうか? えっと、まず名前から」

「は、はい! 私は、ミクア王国騎士団所属、メリウス王国ニバール派遣騎士隊員、ニバール地区ギフト保持犯罪者取り締まり局所属のアイナ・ニコルスと言います!」

「ミクアオウコク……? コーヒーのブランドですか?」

「そこから躓くなよ……」


 マシロのことだから今の一回では理解できないとは思っていたが、まさか最初の単語で躓くとは。それは一般常識だと思うぞ。


「隣の国の名前だよ」

「ああ、そういえばそうでしたね。ミルク王国」

「美味しそうだな」


 こいつは本物の馬鹿だ。

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