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世間話

「そういえば、私の呪いもそうだけど、めいめいのギフトも相当だよネ。昔の話、この前は途中で終わっちゃったし、聞かせてヨ」


 そんな風に切り出してきたのは、マシロが再び屋敷の探索に向かった直後だった。わざわざこのタイミングにしたのは、俺の話をマシロが聞くと不都合だということを知った上でのことなのだろう。

 すぐそこのキッチンにはミーアトリアがいるが、ミーアトリアは事情を知っているので今更だ。


「ハトリールなら、まあ遠慮することも無いんだろうけど、面白い話でもないぞ? それに、前回ほとんど話してしまった」

「今度はギフトのこともちゃんと聞かせてよ、さっき久しぶりにめいめいのギフトの効果見ちゃったしサ」

「……ま、構わないけどな」


 どこから話をしたものか。一先ず、ありのままを離すか。


「十二年前、俺がまだ六つの時。孤児だった俺を拾ったのは他でもない、ミクア王国第一王女、ナミエル・ラル・ミクアだった、らしい。俺も当時は幼かったし、まさに死に際だったからよく覚えていない。それからしばらくの生活も、記憶にははっきりしていなかったりする」


 語り出したのは、俺が以前まで就いていた役職、勇者になるまでの過程。


「王女は俺より二つ下、当時四つだったはずだ。だから拾ったというよりは見つけた、の方が近いんだろうな。後で聞かされた話だと、王族が使う別荘。その近くにある森に流れる小川の川辺で俺は眠っていたらしい。全身びしょ濡れ、衰弱死寸前だったことから溺れたか、捨てられたのだろうと言われたよ。無論、俺はそれ以前の記憶がないから、はっきりしないんだけどな」

「親の顔も知らない、カ。そういう意味だと、やっぱりミーアとはひかれ合うところがあったのかもネ」

「そうかもしれないな。類は友を呼ぶとも言うが、似た境遇というのは互いに親近感を抱きやすい。俺がミーアトリアを助けようと思ったのも、そういうところから来ているのかもな」


 今でこそ、こうして元気に晩御飯を作ってくれているミーアトリアだが、発見当時は酷く衰弱していて、まさに死の淵に立っていたからな。


「それデ? 確か、そのまましばらくは王城で育ったんだよネ?」

「ああ。こればっかりはどれだけ感謝してもしきれない話なんだが、俺がこうして生き永らえているのは間違いなくナミエル様の温情のおかげだ。瀕死の小汚い子どもを助けよう、なんて普通の人間は考えない。ましてや王城で育てるなんて発想にはならないだろう。だから俺は今でもナミエル様に感謝している」

「ま、確かにそうだよネ。その場で見捨てられるか、その場で助けてもらえたとしてもすぐに別の場所に移されるのが妥当。最悪奴隷にされてたっておかしくないわけだもんネ。……王国騎士団見習い、だったっケ?」

「正確には見習いですらなかったけどな。正式な所属は存在しない、見習いの見習いって感じだったな。九つになり、自意識がしっかりしてくる頃になるまではずっと、ひたすら素振りと雑用を熟し続けたよ」


 過酷な日々だったとは思う。けどそれ以上に、生きていることが奇跡だと思えていたし、その奇跡を与えてくれたナミエル様への恩返しだと躍起になっていた。


「それからしばらくして……俺は毒の勇者と呼ばれるようになった」

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