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逮捕劇

「そこの方、避けてください!」

「ん?」


 ハトリールと手分けしてマシロとミーアトリアを探して街を歩いていると、後ろからそんな声が聞こえて来た。何事かと思って慌てて振り返ると、すぐ目の前にナイフを握った男が見えた。

 

 さっきの声は……ああ、男を追っている女騎士か。 


「はあああぁぁっ!」


 現状を把握する数瞬のうちに、男は俺を正面に捉えてその刃先を俺へと向けた。


「く……っ! 突然何しやがる!」

「クソッ、死ね、死ねっ!」

「おいっ!」


 こ、こいつ! いきなり攻撃してきて何のつもりだ!

 話は通じていないみたいだし……ここは力尽くでも!


 俺は男と取っ組み合おうとして。


「っ、力負けした?」

「バカが! 俺はギフト持ちなんだよ!」

「っ、ぅっ!?」


 狂気じみた声で叫んだ男は勢いそのままナイフを俺の肩口に差し込んだ。

 深くまで突き刺さったナイフは貫通するでも切断するでもなく肩に残り、男が必死に抜こうとしてもビクともしなかった。

 


「クソッ! クソ抜けねぇ! 離せ、離すんだ!」

「離れろは、こっちのセリフなんだがな……」


 熱い血が肩に集まり、ダラダラと流れ出る。そういえばこいつはギフト持ちとか言ってたな。今は何とかナイフを持っている手を抑えているが、少しでも抑える力を緩めると俺の肩は体をさよならすることになるのかもしれない。

 流石に、それは嫌だな。


「あんまり、調子に乗ってんじゃねぇ、ぞ」

「アァッ!? って、っ、ああああああぁぁぁっ!?」


 男の悲鳴が響き渡る。男はナイフを持っていないほうの手を力なく下ろし、叫びながらのたうち回った。そして肩を抑え、悲痛に悶えた。


 俺はそんな男の様を見下ろしながら、肩に刺さりっぱなしだったナイフを抜き取り、足元に捨てた。


「だ、大丈夫ですか!?」


 一呼吸遅れてそう聞いて来たのは先程視界に映った女騎士だった。非常に焦った表情で俺の方へと駆け寄ってきて、俺の肩の傷口を覗いた。


「ひ、酷い傷です! すぐに止血を!」

「そんなことよりもそこのそいつを抑えておいてくれよ。いつまた暴れ出すが分からないぞ」

「い、いえ! それよりもあなたの傷の方が!」

「めいめい、何かあったノ!?」

「っと、来たか」


 手分けをしていたとは言ってもさっき別れたばかり。男のあの悲鳴を聞けばすぐに来てくれると思っていたハトリールが予想通りにご到着だ。

 俺が肩を抑えながら痛みに顔を歪ませているのが遠くからでも分かったのだろう、心配そうに眉を顰めながら駆け寄って来た。


「まったく、また今度は何に巻き込まれたのサ。面倒見切れないヨ」

「す、すいません、私が犯罪者を取り逃がしてしまったがために……っ!」

「ン? ああまあ別にいいよ、離れてテ。ほらめいめい、このハンカチ使ってヨ」

「ああ、分かった」

「そ、そんなハンカチで止血が出来るとは……」

「いいから離れててっテ……じゃあ行くヨ」


 合図された俺は静かに頷き、女騎士も何が何だか分かっていない様子でありながらも距離を取った。


「《定命の変換(リカバリー)》」


 黒い杖を前方に構えたハトリールは、真剣な声音でそう唱えた。

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