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11 ゴーランド帝国 4

皇帝ゼンザイはボスフォラス火山中腹から現れた巨大な竜を見ると、即座にカーマイン首相を責任者に指名し帝国民の避難を告げ、北の城壁にいる帝都防衛担当のコラン将軍に竜の討伐を命じる


とはいえ、あれほど巨大な竜をいきなり討伐しろと言われてもできる訳がない。手段がない


帝国民の避難が終わるまで北の城壁を防衛線として持ちこたえるしかない


【サラマンダー】は自分の姿を見て、脅え逃げ惑う人族を見て嬉しくなる


しかし彼はまだ慎重だった。以前【七聖剣】に追い回された記憶は彼の中で鮮明に残っている。とは言えやる事はいつもと変わらない


力を貯め、溶岩玉を口から吐く。人族の街の周りを溶岩で囲って誰も逃げられないようにする


火山から溶岩を流して街を沈める


あっという間に溶岩で街を沈めてしまったらつまらないので、ゆっくりゆっくり溶岩を流す


噴火口から突然現れた竜によってザイレーンの街はパニックになっている


全長三十メートルを超える巨大な竜が噴火口から人々を見下ろしている


竜の吐き出した真っ赤な溶岩の塊が街の上を飛んでいく


マリリンとココは人々の誘導を諦めてルーン教会へ向かっている


大地の揺れは休まることなく続いている


バチス司祭は盾神官に守られながらザイレーンのルーン教会へ向かっている


そしてモエナは神殿の在る西の丘の上から【破魔の大弓】を構え【サラマンダー】へ光の矢を放つ


放たれたは矢は大きく弧を描きながら【サラマンダー】が吐いた溶岩玉を吹き飛ばし街を守る


流れ出した溶岩がザイレーンの北門へと迫る


「あんなでかい蛇どうやったら倒せるの」


モエナは光の矢を何度か大蛇に放つも相手が大き過ぎて強制的にルーンの大穴に飛ばす事ができない。今のモエナには大蛇が吐く溶岩の塊を街に落ちないように砕くことくらいしかできなかった


火炎竜は今を楽しんでいた。だがまだまだ満足ではない。


もっと大きな声で悲鳴が聞きたい。以前より嘆き声が小さいのではないか


人族の絶望の波長は未だ我の元まで届いてこない


噴き出した溶岩が北の城壁に達するも空堀に阻まれて入り江側に向きを変える


城壁の上の魔法使いが氷魔法で流れてくる溶岩を冷やしていく


帝都防衛隊から歓喜の声が響く


火炎竜が大きく伸びをして溶岩玉を口から城壁へと打ち出す


モエナの光の矢が溶岩玉を打ち砕く


それを見たザイレーンの民からも更なる歓喜の声が響く


ゴォゴォゴォゴゴゴォォォォーーーーー


ボスフォラス火山から一際大きな山鳴りが響き、新たな竜の首が火口の中腹から姿を現す


噴き出す溶岩は一層激しさを増し、歓喜の声が絶望の悲鳴に変わる


新たな竜の首がモエナの要る西の丘へ溶岩玉を吐き出す


モエナの光の矢が溶岩玉を打ち砕く


もう一つの龍の首がザイレーンの北の城壁に溶岩玉を吐き出す


溶岩玉が当り城壁に大穴を開ける


【サラマンダー】がいる新たな火口から火砕流が発生し山を駆け降りる


高温の火山岩塊が一団となって高速度で流れ下る火砕流が穴の開いた城壁に迫る


城壁の上の兵士はひざを折りその場に倒れ込む、魔法使いたちが思わず後ずさる、町の人々もその場から一歩も動けない


「南門へ走れ、少しでも遠くへ逃げろ」


ルーンの神官たちが街かどで大声で叫ぶ


バチス司祭の教会への帰還によってザイレーンからの避難に舵を切った教会はザイレーンの民を南門へ誘導する


モエナの光の矢が城壁へ迫る火砕流に向かって飛んでいく


火砕流に光の矢が飲み込まれた時、一層大きな魔法陣が火砕流の中から出現し火砕流の流れを天空へと変える


二頭の竜が同時にモエナの居る西の丘へ溶岩玉を吐く


モエナは火砕流を止める為に聖威のほとんどを使い果たしていた


成す術もなく溶岩玉を見つめるモエナ


その時、神殿の三本の【七聖剣】が七色に輝き丘全体が結界に包まれる


溶岩玉が結界に弾かれて入り江に落ちていく


その七色の輝きを見た【サラマンダー】の目が赤黒く変わり、頭の先から一本の鋭い角が生えてくる。そして更なる竜の首が溶岩の中から現れる


三つの頭を現した【サラマンダー】は火口からゆっくりと体を出していく


三十メートルを超える三つの頭を持ち、赤い黒いうろこに覆われ、鋭い爪を持つ四本足の竜がボスフォラス火山を降りていく


向かう先は【七聖剣】が奉納されている西の丘


【サラマンダー】を追いかけるように火口から溶岩が溢れ出して入り江を埋めていく


激しい水蒸気の白い煙が熱風となってザイレーンの街を吹き抜ける


火山から舞い上げられた高温の岩が家々に降り注ぎ、あちこちで火災が発生するが火を消そうとする者はもう誰もいない


【サラマンダー】は最早アリ(人族)の事など頭の片隅にもなかった。【七聖剣】に対する怨嗟の炎が体中を駆け巡る。火炎竜は邪竜となったのだ


狙うは嘗て自らを退けた蜂の針【七聖剣】を葬る事のみ


三つの頭からそれぞれ溶岩玉とは比べようがない巨大な爆炎球が放たれる


爆炎球は【七聖剣】が張る結界をゆがめ、西の丘全体を灼熱の炎に包み込む


モエナ一人を残してすべての生き物が炎の中に消えていく


【サラマンダー】がザイレーンの街を襲うのを止めたのは民の避難する時間が稼げて嬉しいけれど、もはやモエナには【サラマンダー】に対抗する力は残っていない


モエナは【七聖剣】の結界をルーンの光で補助できるかもしれないと考え【破魔の大弓】を持って神殿の中へ移動する


【サラマンダー】が入り江を溶岩で埋めながらザイレーンの北城壁に迫る


その時、ボスフォラス火山の北側上空から黒い鎧を着た騎士が舞い降りる


黒龍剣が【サラマンダー】の赤黒いうろこに包まれた胴体に振り下ろされる


ドドドドドォォォォォォ


トリプルインパクトの加重衝撃が【サラマンダー】の体を押しつぶし溶岩の中に沈める


押し飛ばされた溶岩が津波となって北の城壁にぶつかり、大穴から街中へ溶岩が流れ入る


魔法使いが何人も慌てて駆け寄り氷魔法で溶岩を固める


別の魔法使いも土魔法で空いた穴をふさごうとするが中々うまくいかない



やっと「北極の大地編」のハーフターンとなりました

次回サラマンダー戦に決着し、ナナシがいよいよ北限の更に北 北極に大地へと踏み込んでいきます



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