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11 霧の中に浮かぶ家 1

短編で投稿した「始まりの森 モエナの災難」の続編になります


https://ncode.syosetu.com/n4919ie/

「やっと真面(まとも)に話ができる奴が現れたか」


「黒騎士さん

それ言わないと話ができないのですか。何かの呪いですか」


「やはりここは魔王城だ。間違いない

小僧、ここはやみくもに進んでも迷うばかり、特殊な霧の結界が張り巡らされている

門番はいるが秘密の抜け穴がある

我の言う通りに進めば確実に魔王城にたどり着く」


「本当ですか。黒騎士さん

【真実の大鏡】は魔王さんの私室にあるのですよね」


「今はどうなっているか定かではないが、それよりも王の間が先だ

そこがアッカバッカ様と勇者共の決戦の場

赤の魔女がいるなら心配はないと思うが、魔王様がどうなっているか確かめたい」



40階層のショボイ階層主をまたまた瞬殺し下層へ降りるナナシ


41階層の出口には大人よりも大きな鏡が置いてあった


「もしかして、これが【真実の大鏡】なのか。まさかこんな所に置いてあるなんて」


ナナシは鏡の前に立つ


こんなことになるなら黒騎士さんに鏡の使い方を聞いておくのだったと悔やむナナシ


鏡をのぞき込んだり話しかけたりするが、鏡からは何の反応も帰ってこない


『我は【真実の大鏡】なり。一日に一度だけ真実のみを答える者なり』


唐突に鏡から声がする


ナナシは慌てて鏡に話しかける

「僕の真名を教えてください」


『我は【真実の大鏡】なり。一日に一度だけ真実のみを答える者なり』


『やはり迷宮主に掛け合うしかなかろう』


「そうですね。神龍様

黒騎士さんが説得してくれるといいのですが」


『相手はすべて判っているさ

そうでなければここまで招いたりしないし、ここに【真実の大鏡】を置いたりはしない

何らかの思惑があるからだ』


ナナシは霧の森深くに踏み出していく


そこは今までの森の迷宮とは明らかに雰囲気が違っていた


霧の森を少し進むと湿地に左足を取られる。湿地の中から1メトルもある吸血ヒルが現れ、両足を拘束される


ナナシが【空歩】で飛び上がり吸血ヒルを引きちぎる。頭上から牙モモンガが飛び込んでくる。霧の中から妖樹が毒の樹液を吹き付ける。爆弾キノコが至る所に生えている


激しい攻撃はないが前に進もうとすれば、必ず罠と奇襲が待っている


『今までとは、まるで別の迷宮のようだな』



【サンシャイン】臨時パーティは霧の森を用心しながら進んでいた


先頭をハントンが勤めアンジェリーナ、ゴットン、アラタ、ルック、ロビンの順で41階層を進む


この階層に入ってから、度々魔物に襲われるようになる


襲ってくるのは狼や熊系の森の魔物ではなく、虎や豹などの木の上から奇襲を得意とする魔物や植物・木系の待ち伏せを得意とする魔物たち


しかも周囲は深い霧に包まれて視界がとても悪い


ハントンの持つ魔道具【羅針盤】によって罠を避け、後方からの奇襲をロビンが警戒する


それでも襲ってくる魔物にはアンジェリーナとアラタが対処する


彼らは30階層で【ダンデライオン】の二人を【転移魔法陣】で送り出した後、階層主を倒し31階層へ降りて行った


事前の確認通り魔物は襲ってこない


その後ひたすら40階層を目指した


【転移魔法陣】の使用も考えたが、今までありえない10階層下層への転移を経験した以上、彼らが1階層へ転移できる確率は低いと結論付けた。それより魔物の出現しない階層を一刻も早く走破する事を選んだ【サンシャイン】臨時パーティである


「食料は残り一日

前回来た時は5日くらいこの霧の中をさ迷い、結局40階層の入り口に戻ってきた」


「今回ははっきりと目標がありますからね。前回来た時に一瞬風に流されて霧の間から岩塔が見えた。おそらくあれが最終エリア

近くにルックが魔法でマーカーを付けてくれていますから、今回は迷う事無くたどり着けるはずです」


「階層入り口ある真実の大鏡はどうします」


「使えぬ物をどうする事も出来ないだろう。迷宮を攻略してから考えればいい」


【サンシャイン】臨時パーティは以前ルックが付けた魔法マーカーのある場所へたどり着くが、霧に阻まれて岩塔は見つけられない


「100メイル以内に塔は必ずあるはずだ。あせらず全周囲に注意を払え」



ナナシは深い霧の中を、薄日を頼りに一人進んでいた


「神龍様

もうそろそろですかね」


『100年も前の黒騎士の記憶だろう

当てにはならんぞ』


森を抜けると小さな滝が現れる


ナナシは迷うことなく滝つぼに飛び込む


2メトル程の滝つぼの奥に横穴があり奥へ奥へと泳いでいく


水中のトンネルを抜けると開けた地下洞窟に出る


「黒騎士さんの言う通り旧魔王軍の脱出通路は生きていましたね」


『ということは

あれも生きているということになる』


水面から上がったナナシは真っ暗な洞窟の中でゴトンゴトンと岩がぶつかり合う音を聞く


それは全身岩でできた10メトルは軽く超える大ムカデの魔物


洞窟の番人である


ナナシは黒龍剣を抜いて岩ムカデに切りかかる。岩ムカデの頭が真二つに左右に切られるが、ムカデは何事もなくナナシを潰そうと体当たりをしてくる


切られた頭は岩同士がくっついて元に戻る


『これは魔物ではない、魔道具だ

命持たぬ物ゆえ魔核を砕かぬ限り動き続けるぞ』


「魔道具!どこに魔核があるか判りませんよ」


『粉々に吹き飛ばせばよいが、洞窟を壊さないように【龍王爪】で切り刻め』


ナナシは小さな【龍王爪】をいくつも放って岩ムカデをバラバラにしていく


バラバラになった岩ムカデはそれぞれが小さな岩ムカデになってナナシに襲い掛かる。【龍王尾】が小岩ムカデを吹き飛ばす


『切りがないのう

これだけ切り刻んでも魔核が現れないなら、こやつの魔核は洞窟の奥、別の場所にあるはず』


ナナシが岩ムカデを振り切り洞窟の奥へ奥へと【空歩】で走り込む。ナナシの後を岩ムカデが合体しながら追いかけてくる


洞窟を抜けた先は30メトル程の広場になっていて、周囲を岩の壁が取り囲み、天井がなく霧の空が見えていた


岩の壁から新たな岩ムカデが2体姿を現わす

読んでいただきありがとうございます

ブックマークと評価をしていただいた読者様ありがとうございました


丁度【迷いの森 霧の迷宮編】のターニングポイントまでやってきました

何とか勇者に活躍の場、スポットライトを当てたいと思うのですが、なかなかキャラが確立できません

こんな勇者にしてという要望があれば、できるだけ取り上げさせていただきます

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