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10 迷宮探索 7

短編で投稿した「始まりの森 モエナの災難」の続編になります


https://ncode.syosetu.com/n4919ie/

「我々には現在三つの選択肢がある」


ここでゴットンは一呼吸息を吐き、今までよりちょっと早口で話し出す


「一つ目は【転移魔法陣】を使わず迷宮を逆走して自力で1階層を目指す

二つ目は更に下層へ進み、迷宮主を攻略する

三つ目は再度【転移魔法陣】を使用する」


「一つ目はほぼ不可能でしょう。今の食料をここの八人で分け合いながら30階層を上がるのは無理ですし、確実に【魔物暴走】に出くわします」


「二つ目は迷宮主が招待してくれているなら、これからも戦闘なしで進めるでしょう」


「ちょっと待ってくれ。戦闘なしってどういうことです」

トーナが【サンシャイン】のメンバーに尋ねる


「言葉通りだ。俺たちは20階層で二人を助ける以外は、ここまで一度も魔物と戦っていない」


「そんな馬鹿な。ありえない」

トーカリが絶句する


「今後もそうだとは限らない。とにかく今は異常事態だ」


「三つ目の【転移魔法陣】を使用するのは、1階層の出口なら吉、40階層なら覚悟がいる。おそらく、そこが終点の可能性が高い」


「もしパーティの意見がまとまらなかったら」


【サンシャイン】の四人、臨時の二人、【ダンデライオン】二人

意見が分かれた場合、どうするか


「それは分かれてから考えればよい。全員が生き残る可能性が高い選択をするだけだ」


ゴットンがまとめ、それぞれが考えをまとめようとする


「ところで消えたナル君の事は」

アンジェリーナが尋ねる


「あくまで可能性だが黒騎士の可能性が高い」


「何か仕掛けてくると思いますか。普通ならここへ向かってきているはずです」


「セーフティエリアで戦闘は不味い。相手は巨人鬼を一撃で撃破できる」


「何ですか、その黒騎士って、巨人鬼をって」


「うちの荷物持ちだ。正体はまだ不明だが、大鬼との戦闘で巨人鬼二体を単騎で撃破している。一人で20階層から下層へ進んでいった」


「・・・・・」


【ダンデライオン】の二人は理解不能、思考停止してしまう


しばらく沈黙が続きロビンが口を開く

「逆走は無理だ。下層へ行くか、再度【転移魔法陣】を使用するか

自分は【転移魔法陣】を進めます。仮に40階層へ飛ばされても最悪ではない」


ルックが続ける

「手持ちの食料と安全を考えれば、自分もロビンと同意見です」


ハントンが遠慮がちに手を上げて話し出す

「【転移魔法陣】の信頼性は今の時点では安心できない。仮に20階層へ戻されるとか、死地に飛ばされる可能性もあります。食料を切り詰めてでも下層へ徒歩で降りていく方が良いのではありませんか」


【ダンデライオン】の二人は

「助けてもらって勝手を言うようだけど、私たち二人だけで【転移魔法陣】を使用したい。迷宮内で装備も荷物もない現状では、私たちにそれ以外の選択肢はない」


「アンジェの意見は」


「私は選択肢をもう少し確認したい。たとえば29階層へ逆走してみるとか、階層主部屋へトライするとか、31階層を調べてもいい

今までと同じように魔物が出てこないなら、みんなの意見を検討しましょう。もし通常の迷宮に戻っているなら、この異常事態の原因はナル君って事になる」


全員が顔を見合わせ考え込む


「もしそうなった場合、彼が来るのを待ちますか。ゴットン」

アラタが初めて意見を言う


「ナルがいない状況で【転移魔法陣】を使って、ここに飛ばされている。迷宮主がどんな思惑かは理解できないが、アンジュの言う通り調査は必要だ。選択肢の信頼性も上がるからな」


【ダンデライオン】二人での【転移魔法陣】使用は確定として、前後の階層の様子を調査してから魔法陣を使用する事とし、いくらかの食料を渡す事を条件に帰還できた場合ハンター組合への伝言を二人に(こと)づける


その後の【サンシャイン】の行動決定は調査終了後、ナルが現れるのは3日後と予想した



ナナシが30階層のセーフティエリアに到着した時、そこにはすでに誰もいなかった


『下層階でも逆走するぞ

どんな魔物が出るか。楽しみだ』


「持ってきた食料が後2日分しかありません

恐らく40階層で食料はなくなります。できれば戦わず40階層まで駆け抜けたいです」


『何度同じ事を言わせる。小僧の目的は40階層へ到達する事ではあるまい

【真実の大鏡】を使わせてもらいたければ、相手に屈しない力と実力がなければ交渉さえできないぞ』


その後、ナナシは30階層のショボイ階層主を瞬殺し、31階層へ降りていく


相変らず下層へ進む限り魔物は現れずナナシは空中を一気に駆け抜け39階層へ至る


「ここで逆走します。神龍様

いざとなれば40階層へ逃げ込みますよ」


『大鬼皇帝以上となれば龍族あたりか。森の龍族となれば緑龍当りか

中々楽しい戦いになりそうだぞ』


現れたのは伸長3メトル 全身黒い鎧に包まれた騎士


ナナシの記憶通りなら、いつも夢の中に現れる黒騎士さんでした


黒騎士もどきの龍剣が大上段からナナシへ振り下ろされる。ナナシが黒龍剣で受け止める


カキン


鈍い音がして黒騎士もどきの龍剣がへし折れる


ナナシが黒龍剣で黒騎士の胴を掃えば、黒騎士もどきは上下に真二つになる


決して本物の黒騎士ではない。動きも業もナナシが夢で戦った黒騎士には遠く及ばない


切られた黒騎士は黒い霧のようになり、元通りに復活する


『つまらんのう

戦う相手としても今一つ。練習台としても力不足

これでは足止め役にもならないぞ』


「無視して40階層へ行きませんか。神龍様」


ナナシは黒騎士もどきを無視して40階層のセーフティエリアへ飛び込む


そこにも誰もいなかった


武装を解き、黒龍剣を鞘に戻す


この時点で食料は残り1食分


【サンシャイン】のみんなは無事帰還できたのだろうか


ナナシはセーフティエリアで一人休憩に入る

読んでいただきありがとうございます

ブックマークと評価をしていただいた読者様ありがとうございました

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