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07 会議は踊る 3

短編で投稿した「始まりの森 モエナの災難」の続編になります


https://ncode.syosetu.com/n4919ie/

1ヶ月に及んだズース城会議が閉幕した


各国の利害は一致せず、合意は得られなかった


ここに至り、ホムラ枢機卿はルーン教法王ルゥイ三世の名の下に旧ゴール大公国の全土をルーン直轄領と宣言する


ゴーラットに新たにルーン行政府を置きオロロン司祭を初代長官に任命する


その上で北部マリーラットを含む旧オークス選定候領をゴーランド帝国に委託し、それ以外の領土はバレンシア王国に委託する


今後の旧ゴール大公国の帰属に関しては、来年以降に話し会うとした


それは会議後半でカーマイン首相より、選帝公オークスの息子とゴーランド帝国将軍の娘との婚姻及び帝国貴族に准じられると報告され、それを聞いたバトン伯爵が戦争も辞さずと発言するに至り、ホムラ枢機卿から緊急動議として提案される



旧ゴール大公国ゴール大公館

ネクロマンサーマミューによって起こされたゴール騒乱より3ヶ月あまり、今、(あるじ)なき館は無人のまま閉鎖されている

ここに、一つの影がどこからともなく現れる


「やれやれ

にわか聖女様のおかげで、要らぬ時間を取らされたわ」


影は迷いなく館の中庭から奥へ奥へと進み、更に隠し通路から地下へと降りていく


そこは真ん中の廊下から左右にいくつかの部屋に分かれていた


ドアのない突き当りの一番広い部屋に入り、魔言を唱える。すると部屋の景色は一変し、まるで洞窟のように風景に変わる


ここはマミューが大公館の中に秘密裏に作った実験施設、マミューに寄って様々な人体実験や死人兵の強化実験が行われていた場所


部屋の中心には2メトル程の魔法陣が描かれている


「マミューはヘマをしたが、この魔法陣を残した

幻影将軍ポゥ様も抜け目がないお方よ

おかげで儂にも出番が回って来たがな」


男は魔法陣の中心に立ち、魔法陣に魔力を流し込む


徐々に魔法陣から怪しい光が放たれ始め、召喚士ガ・ウハが魔法陣の中に沈む



ズース城を離れゴーランド帝国へ帰国するカーマイン首相が、ホムラ枢機卿に挨拶する為彼の宿泊先を訪れる


「此度のお計らい感謝に堪えません。ホムラ枢機卿」


ホムラ卿は如何にも不機嫌そうに感謝を受け入れる

「バレンシア王国と貴国との戦争はルーンの望む所ではない」


「もちろん、それは我が国も同様です

ただ今の感謝は【聖具】の返還についてです」


「それに関しては私よりもダンズウェルス卿に申し上げてくれ

旧オークス領までの軍の撤退とゴール全土のルーン直轄領の承認を引き換えに【聖具】返還を進められたのはダンズウェルス卿だ。そうそう枢機卿から伝言を預かっている

【貴国が必要とするなら聖騎士をいつでも派遣する】との事だ」


カーマインは表情を変えず、深く頭を下げる


「話は変わりますが聖具の返還の御使者には、是非【ゴーラットの聖女】様の来訪を要請いたします

旧ゴール大公領ではすごい人気だそうですね」


「検討しよう。だが彼女は聖女ではない使徒だ」



結局、【サンシャイン】は下層へ降りる事になった


千匹のオークと戦ってダンジョンから帰還できる可能性はないと結論つけた


ナナシはパーティメンバーと逸れるタイミングを逃してしまう


【サンシャイン】パーティは魔物に遭遇することなく20階層へ到達する


「10階層まで1日、20階層まで3日

笑ってしまうくらいのスピードだ」


セーフティエリアで休息を取りながら【転移魔法陣】と階層主(かいそうあるじ)の部屋へ入る扉を見比べるゴットン


「断固帰還すべきだ」

ロビンが主張する


「同感だ

だが実際【転移魔法陣】が機能するかさえ怪しい」


「それに関してはハントンに今チェックしてもらっている」

ゴットンが答える


「階層主はどうする」


「通常はオークキングだが、今彼は11階層にいるだろう

どんな奴が出てくるか不明だが、今戦闘をする余裕は我々にはない」


ナナシは考えていた


単騎で、全力で戦えるならオークキングも千匹のオークも倒せると、たぶん【サンシャイン】も同様に倒せる


だけどメンバーの何人かは死ぬ


彼らだけ帰還させる方法はないか・・・ないな


ハントンが【転移魔法陣】のチェックをして戻ってくる


「確認する限り異常はないです

転送は可能ですが地上に転送されるかまでは・・・申し訳ありません」


不測の事態を考え十分な休息を取り、【転移魔法陣】を使用して帰還する事になる


みんなに気づかれないように階層主を・・・無理だな



「やっと真面(まとも)に話ができる奴が現れたか」


「黒騎士さん

深階層に誘っている人に心当たりはありませんか」


「あるぞ

森深くに敵を誘い込み、罠と奇襲で疲労させ敵を壊滅させる

実に頼りになる魔女だ」


「その人なら次に何をしてくると思いますか」


「奇襲が難しいとなれば罠を仕掛けるだろうな」



みんなが目覚めて【転移魔法陣】の前に立つ


「僕が一人で先に転移を試します」


「無意味だ

残った者にはナル君がどこへ転移されたか確認できない

全員で手を繋いで一緒に転移した方が生き残る確率は上がる」

ゴットンが否定する


その時ハントンが【転移魔法陣】の傍の床に【折り紙】が落ちているのを見つける


【折り紙】を開いてみると、そこには他のパーティからの救援要請が書かれていた


「20階層で【魔物暴走】に遭遇か」


ルックが【折り紙】を見ながら続ける


「差出人は三つ星パーティの【ダンデライオン】

どうしますか。ゴットン

我々に救援の義務はありませんが」


アラタが無言でゴットンを見つめる


ゴットンもアラタを無言で見返す


「助けよう

場所は判るな。ルック」


ルックが黙ってうなずき


「【折り紙】が案内してくれますから」


「ロビン ハントン ナル

お前達は【転移魔法陣】で地上に戻れ、俺達は【ダンデライオン】を連れて後から帰還する」


「いや

それなら帰還せずゴットンさん達が戻ってくるのをここで待つ

その方がリスクは低くなる

食料もまだまだ問題ない」

ロビンが答える


「判った

だが2日経っても我々が戻らない時は迷わず【転移魔法陣】で帰還しろ」


ロビンはうなずき、ゴットンと握手する


【サンシャイン】メンバーはルックが折った【折鳩】(おりはと)を追いかけて20階層を逆走していった

読んでいただきありがとうございます

ブックマークと評価をしていただいた読者様ありがとうございました

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