ゴール騒乱 18
短編で投稿した「始まりの森 モエナの災難」の続編になります
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数ビロも置かず二列目の槍持ち死人兵が迫る
さらに後ろにも後ろにも
ナナシは一歩二歩更に前進し槍持ち死人兵を切り捨てる
二射三射と弓矢が迫る
全面の死人兵を一刻も早く始末しないと、回り込んでくる剣持死人兵に横撃される
数の力に呑み込まれてしまう
前列の死人兵の体を貫いて後列の死人兵の槍がナナシを襲う
間一髪その槍を避けるも体勢を崩すナナシ
相手はグール
負傷など考えない。恐れない。弓矢の巻き添えも槍に貫かれることもお構いなしに命ある者を攻撃してくる恐ろしい兵士
体勢を崩したナナシはそのまま飛び上がり、死人兵を蹴って空中を駆ける
トントーントーーン
足場もない空中を大股で駆け上がり重力のままに落下する
死人兵を縦切りにし、その勢いのままに剣を地上に叩きつける
小隕石が落ちたかと間違えるほどの衝撃と共に、前列の死人兵が羽飛ぶ
倒れた死人兵をなで斬りにするナナシ
ナナシは向きを変え、迫りくる剣持死人兵に向かって走る走る
一閃二閃三閃
剣を打ち合うこともなく龍剣によって剣持死人兵が切られていく
後は人面樹の向こう側の弓持ち死人兵と・・・・
先ほどからすべての死人兵に指示を出している全身骨の馬に乗った首無し騎士ディラハン
ディラハンが右手を高く上げ、前に下す
進めの合図かとナナシが思い、身構えた時
地面から新たな死人兵が生み出される。その数100体以上
考えてみれば当然だ
切ろうと砕こうと死人兵は不滅
ディラハンは壊れたロウソクを溶かし新たなロウソクを作ったに過ぎない
これが軍団の力
この状況を切り抜ける手段はディラハンを瞬殺するしかない
マゴマゴしていれば死人兵にモエナが殺される
その時人面樹が動き出す
徐々にナナシ達に近づいて樹と樹の隙間を狭め人面樹の壁を作っていく
ナナシは人面樹を切れない
今まさにモエナが命を掛けて弔おうとしているのが人面樹である
ナナシは白い鎧を脱ぎ捨てる
鎧は紐のように解けナナシの腰に網目状の鞘となって収まる
死人兵が新たな隊列を組み突撃してくる前にナナシは再度飛翔する
早くもっと早く
数の不利をスピードで補う
ナナシは死人兵を次々と倒していく
もはや死人兵はナナシのスピードに付いて来れず、丸い円を描くように全方位に防護体制を取る。しかし円の中心に龍剣の衝撃がさく裂し、死人兵を吹き飛ばす
陣形の崩れた死人兵にナナシが突っ込む
そして最後の死人兵を倒した時、さらに高く飛翔するナナシ
人面樹を飛び越えて新たな死人兵が生まれる前にディラハンを瞬殺する
人面樹の牢獄を飛び越えた時、弓持ち死人兵の放った矢がナナシに迫る
ナナシは弓矢を掃い馬上のディラハンを・・・!!
馬上にはディラハンはいなかった
その時、ディラハンはナナシの更に頭上に飛び上がっていた
狙うは人面樹の牢獄で祈りを捧げるシスターただ一人
「逃げろぉシスターモエナ」
ディラハンの狙いに気が付いたナナシが叫ぶ
ナナシは空中で方向転換しようとするが弓兵の波状攻撃を受けうまくいかない
ディラハンは空中で長槍を構えモエナへと投げる
ディラハンの投げた長槍が祈りを捧げ続けるモエナに迫る
モエナに届く刹那、横から高速で飛んできた龍剣によってコースを変えられた長槍が大地に突き刺さる
ディラハンが地上に落下しモエナに迫る
ナナシも人面樹を再度飛び越えモエナの下に走る
ナナシはすでに鎧を脱ぎ捨て、龍剣を手放していた
にもかかわらず10メトル近くを飛び、常人ではありえないスピードでディラハンに迫る
モエナまで一息の距離まで迫ったディラハンが走りながら剣を抜く
ナナシがモエナとディラハンの間に走り込む
構わずディラハンはナナシごとモエナを葬ろうと剣を振り下ろす
死人兵との戦いを経てナナシは龍剣から【剣の所有者】として認められていた
龍剣がナナシの呼び声に答えナナシの右手に戻る
ディラハンとナナシの剣が激突する
カッキィィィィーーーン
当たるものはことごとく切り伏せてきた龍剣が剣同士で打ち合うことはなかった
今初めてナナシは剣士同士のつばぜり合いをしている
一瞬でも剣を引けば相手に両断されると恐れたナナシは一歩も引くことなく剣を前に出す。その瞬間ディラハンはナナシの力を利用して剣をいなす
いなされたナナシは前のめりになる
ディラハンが大勢を崩したナナシの首を落とそうと斜め切りに剣を振り落とす
ナナシは前方へ飛んでディラハンの剣をかわす
ディラハンはナナシが体制を整えぬ前に追い打ちをかける
ナナシはディラハンとの格の違いを痛感していた
ナナシが飛び出してくることを予測し裏を描いてモエナを狙い、剣で挑んでもこの有様である
「それでも」
強引に龍剣を地面に叩きつけ衝撃の反動を利用してディラハンとの距離を取る
「負けられない」
元々命を持たないディラハンは自身の疲労や損傷など顧みない
ディラハンは防御を無視した力押しの連続攻撃でナナシを圧倒しようと右手で剣を高く振り上げる
ナナシは両手で龍剣を上段に構え、同じく防護を無視したスピードでディラハンを圧倒しようと前に出る。
リーチではディラハンに分がある
だがナナシの踏み込みがそれを更に上回る
カン、カン、カン、カカカカーーーン
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