表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/251

ゴール騒乱 11

短編で投稿した「始まりの森 モエナの災難」の続編になります


https://ncode.syosetu.com/n4919ie/

「騎士キャシュは重大な忘れ物を取りにこの場を離れました

魔道具の確認は私が行います」


モエナやけくそである


ナナシ君と台座の上に上がる 龍の剣に変化はない


ナナシ君と剣の前に立つ 変化はない 周囲もやけに静かだ


ここでモエナは自身の聖威を徐々に開放する


歩いて下の広場に行こうとしていた者たちが足を止め振り返る


そこには目視できるほどの聖なる光の粒がモエナを中心に広がっていた


人々は思わずルーンの印を結ぶ


それは地方にいる人々が一生に一度見ることができるかどうか


教会の礼拝で司祭がいつも口にする【聖威の光】魔を祓い、魔を滅するルーンの力


貴賓席に座る大公を始め幾人かの者は聖威の光を見たことはあった


しかしこれほどはっきりとしかも力強い聖威の光は見たことがない


「高位シスターと聞いていたがルーンの使徒でしたか」


大公は左腹を擦りながら隣に座るオロロン司祭に話しかける


「わたくしも地方巡礼に初めて参加するルーンの使徒(候補生)とは聞いておりましたが、これほどの聖威とは」


オロロン司祭は彼女の中に眠る聖具はいったい何なのかと考えていた


コティは【聖威の光】の美しさに魅せられながら右肩がいつにも増して痛み出し顔をしかめる


コルパス宰相は小刻みに震えている


モエナの隣にいるナナシは初めて見る【聖威の光】に包まれて呆然としていた


そこには恐怖も畏怖もなかった


自らの体の中を光がとおり過ぎていく。もしかしたらこれが癒しの力?


ナナシは魔法とは違うルーンの不思議に魅せられていた


やがて光は小さくなりモエナの中に消えていく


「魔道具は何も変わっていないわね」


なんとなくガッカリ感を伴いながらモエナが言った


モエナからすれば【聖威の光】なんて大それた呼び名で呼ばれても結局はただの光である


台地がひっくり返る訳でも、海が割れる訳でもない


もちろん光を見た魔物は一目散に逃げだす


でも逃げ出すだけで退治も消滅もできる訳ではない


モエナの自己評価の低さに比べて周囲の評価は真逆である


槍騎士がどこかに走っていったことなどすっかり忘れられ、追うように命じられた兵士さえ棒立ちになってルーンの印を結んでいる


そこにいるすべての人々がモエナに尊敬の目を向ける


当然である魔物との戦いにおいて【聖威の光】があれば魔物は一目散に逃げだす


なぜならそこに留まれば自分が滅ぶと知っているから


絶対に負けない戦い程、楽な戦いはない


ましてや魔物との戦いは負ければ即死を意味する


だから今回ルーン総本山は西外教会にルーンの使徒を遣わせた


ルーンにとって絶対負けられない戦いがゴール大公国で起ころうとしていた



「シスターはすごいシスターだったんですね」


「そんなことないわよ。万年候補生の落ちこぼれシスターよ

ナナシ君もちゃちゃっと剣を抜いてみて」


モエナは聖騎士キースが向かった下の広場が気がかりだった


「はい、判りました」


そう言うとナナシは龍の剣に振り返り、柄に手を伸ばす


その時下の広場の方から光の柱が立ち上がった


さきほどモエナが示した【聖威の光】とは比べ物にならないほどの力強い光の柱


そして天空へ伸びた光の柱の中から大剣が現れる


巨人の剣と思えるくらいの大剣はゆっくりと広場へと降りていく


「まさか【破邪の大剣】

キース様はゴールで何をするつもりなの」


マルル様の予言も魔族の存在も知らされていないモエナは何が起こっているのか判らず戸惑うばかりだが【破邪の大剣】が体現するほどの危機がルーンの民に迫っているのは間違いない


モエナはキースが「ルーンの民を守れ」と言った意味を考え、今更ながら不安になった


しかし時は待ってはくれない


闘技場にいる人々にも確実に危機はせまっていた


今ここにいるルーンの民を守ることがモエナの役目だ



ナナシは目の前の景色が一瞬で変わったことに驚愕していた


ナナシの指が剣の柄に触れたか触れないかの瞬間


今彼は大きな洞窟の中にいる


洞窟には入口はなく頭上がぽっかり空いていて三日月が見えている


明かりもないのに全く暗さを感じない


広い洞窟なのに岩肌までがはっきりと見える


「やっと真面(まとも)に話ができる奴が現れたか」


洞窟の中央に鎧を着た騎士が立っていた


いつの間に現れたというよりも、騎士がそこにずっと立っていたことが今の今まで認識できなかったようにナナシには思えた


ルーンの槍騎士様も背が高かったが、彼は更に一回り大きい


身に着けている鎧は黒一色


そして頭の部分、首の上にはドクロが乗っていた


どう見ても人間ではない


ナナシはとっさに逃げようとした


魔物を見たことも戦ったことも何度もある。漁に出て襲われたことやハンターとして魔物を狩ったこともある。しかし目の前のドクロはそんな魔物とは全く別の存在だ

第一魔物に話しかけられたことなど一度もない

ゴール騒乱がやっと中間地点まで投稿出来ました

これも読者の皆さんの応援のおかげです 感謝

今回から後書きで補足説明をさせていただきます


長さの単位

1センチ=1セチ

1メートル=1メトル

1キロ=1キョロ


時の単位

1秒=1ビウ

1分=60ビウ

1時間=1アワー


時刻に関しては解りにくいので24時間で言い換え無し

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ