12、ナンゴとの出会い
コンコン
2度、ノックの音が聞こえた。瞬間、ドアが見えた。
コンコンコンコン
「あ、やべ、間違えて4回やっちった。まあ、こっちが開けようと思えば開けれるドアだし…関係ないよな。
事故事故〜」
完全に聞こえた。
やっぱ防犯設備最悪だな!ここ。
間違えてとか仕事として大丈夫かよ。
ガチャ
「ちわーっす。ナンバー5だ。よろしくなー。」
「こんにちは。ラヤです。よろしくお願いします。」
ラヤと自己紹介はちゃんとできた。やった。
てか、ナンバー5、かっる。メニアさんの何だったんだろう。
全員に教育されているわけではないのだろうか。
そして、ナンバー5は名前だろうか。囚人のようだ。
「にいちゃんそんな畏まんなくていーぜ。
今からトラヤ様のところに案内すっけどさ、トラヤ様、そんな堅いやつじゃないからさ」
この軽いナンバー5も様付けできるんだな。
こいつの堅くないは信じても良いのだろうか。
ところで、ナンバー5は非常に長く言いづらい。
ナンバー5を略して【ナンゴ】ってどうだ?
え?今失礼なこと思っただろ。開き直ってやる。
何てったっておれは那緒と長い間一緒にいたからな。そりゃ二人揃ってネーミングセンス皆無よ。期待しないでくれ。
「そうか。じゃあナンゴよろしく」
「ナンゴってオレの名前か?へへ。いい名前だな!気に入った。さんきゅーな。
んじゃぁついてこい」
そして案内に従って、ドアの向こうの空間を歩いた。
何というか、真っ白だ。
なのにナンゴは右に曲がったり左に曲がったり。
ここの住人にしかわかららない道があるのだろう。ナンゴの通った場所が数秒間白く光る。踏み外したら違うところに行かされる気がするので、その光った場所の上を歩く。
「なぁにーちゃん、言いづれーんだが、。
…その線の上歩く必要ないぜ。」
「…え?」
「オレが歩いた跡を踏み外すことなく歩いてるよな。
その能力はすげーけど、別に方角合ってれば問題ないぜ。
あ、なんなら、こっから北北東方面に真っ直ぐだから、先行っててもいいぜ!
ドア出すのにオレが必要なだけだからな」
笑顔が眩しい。
まさかのこの行動無意味宣言。
真っ直ぐすぎる。
「あ、あぁそうなのか。
じゃあなんでグネグネと歩いてるんだ?」
ドアを開けるための儀式だろうか。
「遊んでるだけだぜ!
そっちの方が楽しいだろ!」
へへ〜と笑いながら言った。小学3年生男子、のようなイメージだ。
遊びかよ!!
よく小さい頃にやった、歩道橋の白だけ踏んで渡るというものと同じ感覚だと思う。多分。
そのせいでおれは今でも、無意識で白だけ踏んでしまう。リズムが悪いなーと思うと、線の幅が違ったりするのだ。なぜか違和感というか、もやもやとするので、タイミングが合うように一歩下がったり、一度片足を多くしたり調節までしている。一応ちゃんと言っておこう。一応ちゃんと言っておくが、流石に信号や周囲はきちんと確認している。!
我ながら幼稚で恥ずかしい。が、している人は多いのではないかと思っている。
そんな感じに楽しく歩く少年ナンゴの後をついていった。
歩く周囲には、さすがはトラヤ様なこともあり輝くものが多く置いてある。と言いたいところだが、本当に何もない。つまらない。
唯一の救いはナンゴが話せるやつってことだ。
「なあナンゴ、トラヤ様って、どういう人なんだ?」
「んー。オレの主だ!
すっごい人なんだ!神階はミギナだから結構なんでもできるんだぜ
神階がサクイトールのじっちゃんはもうキャロに記憶を預けてどっかに人として転生しちまったから、今はトラヤ様が神の中のトップだ」
軽いステップを踏みながらナンゴは説明してくれた。
のだが、神階って、ミギナって、サクイトールって、キャロって、、なんなんだ…!
知らないことが多すぎるってことはわかった。
ナンゴのこの性格だから質問がしやすいので全部聞いてみることにした。
「なるほど、かなりすごい人ぽいんだな。ありがとな。
ところで、おれはここにきてから間もないから知識がなくて、ミギナとかサクイトールとかキャロの説明お願いしてもいいか?」
「あっそか、にーちゃん神界きたばっかだもんな!
んーとな、」
「えちょっと待て、ここは天国じゃないのか?神界?」
「え?にーちゃん、知らないでここ連れてこられたのか…?」
「ん?ああ。目が覚めたらここだった。」
「それは、、
特殊だな!!」
「そうなのか。」
おれが何も知らずにここにきたと聞いた瞬間、少しだけナンゴは戸惑った雰囲気となったが、なんとか持ち前の明るさに戻ったらしい。
さて、おれは色々と勘違いをしていたようだが、よく考えれば、神が普通に天国にいることもない…のか?
天国の近くに 神がいるなんて親切だなーなんて思っていたのに。
天国を知らないから実際がどうなのかはわからないが。
それより、神の住居におれが足を踏み入れてしまったことが気になる。特に問題なく、モニター人生を、そして時々那緒に合わせてくれればおれは満足だ。神界と天国間違えたのかな。
「じゃあにーちゃんほんとになんも知らねーんだな!
神界っていうのは神か神見習いがいるところなんだ。だからにーちゃんもそーなんじゃないのか?」
「いやぁ、どちらにもなった覚えはないな。おれは人間だからな」
「そーなのか
じゃあトラヤ様にちゃんと聞かなきゃだな!
あと、ミギナ・サクイトールは神階の一種で、神の中の階級というか進化形態の名前なんだ
キャロは記憶の樹だな
神階には、ハティス→アマグオ→ミギナ→サクトイールがあんだ!
そんで、サクイトールが終わったら、記憶の樹に自分の記憶を埋めて、神としての記憶が失われてからどこかの星に人間として生まれるんだ
ちなみにオレはキャロから生まれるんだぜ!」
「…複雑だな。
おれに関係のないことかもしれないが、那緒が関わってるなら知らなきゃいけないよな。
ところで、どこかの星ってことは、地球以外にも人間がいる星があるのか?」
「んー、オレは説明していいのかわかんねーから後でトラヤ様に聞くといいぜ!」
「そーいえばにーちゃんって死んでここ来たんだろー。
死ぬ前の世界ってどんな感じだったんだ?」
ある程度、情報をもらえたところで——理解はできないが——、今度はおれが質問に答える番になったらしい。
「あぁ、そうだな、おれは地球っていうところに住んでてな、とても面白いところなんだ。
こんな真っ白じゃなくて、街中にいろんな色が溢れている。
たくさんの色を見ることがおれの人生の目標なんだよ」
「そうなのか
いつか行ってみたいぜ!
トラヤ様の部屋はまだしも、廊下とか他の部屋って本当に真っ白だからな。
色を見るっつーのはどーゆーことだ?」
「そうだな、ちょっと難しいんだが、
たくさんの色は、たくさんの場所にあって、同じような色でも見る時とかによっても感じ方が違くて、それぞれ違う感情をくれる。
だからおれはいろんな色が見たんだよ。
いろんな色を見るっていうのは、いろんな体験をするってことだからな。
地球にはたくさんの国っていう地域の塊があって、それぞれ国によって特徴が違うんだ。ある国から見たら汚く見えても、他の国から見たら綺麗に輝いて見えることもある。感じ方が変わる。すごい興味が湧かないか?」
「なるほど。
んー難しくてわかんねー。
けど、すっごいすごそーだな!!いい夢だと思うぜ!」
そういえばこの話は最近は那緒にしかしていなくて、他の人には一度笑われた経験があるからできなかった。
のに、ナンゴにはやけにすんなりと言えるもんだ。
知ってる人より、何も知らない人の方が話せるってもんかな。
色を見るって、やっぱおかしいのかな。
学校のみんなは宇宙飛行士だとか教師だとか、そういう一つの夢があったからな。
おれは「夢が決まらなくて世界旅行がしたいとか言っているんだろ」と思われてもおかしくない。
確かに、世界旅行なんだよな。いろんな体験をしたところでどう活かすかも決まってないおれ。
だけど、おれ的にはそれでも良いと思ってる。それで自分で生計を立てられるなら、好きなことをして良いと思ってるんだ。
その生計を立てるために最近はいろんな分野を勉強していたのだが…な。
「でもよ、なら尚更にーちゃん、こっち来たくなかったか?
真っ白だもんなー」
「そうだな、夢のためにはここにずっと居るのはあまりよくないな。
だけど、こんな眩しい白も初めて見たから、来て損はないな。
そもそももう戻れないんだろ?」
「オレはここから出たことがないからわかんねーけど、全てはトラヤ様の判断なんじゃねーかな。
トラヤ様が戻すって言ったら戻れる気がするんだ。」
「…トラヤ様すごいな。生き返るのか?
みんなも驚きそうだ。」
「あ、トラヤ様のドアついたぞ!入ってもいーか?」
永遠と続く白い空間の中、ついに目的地へと辿り着いた。
欲を言うならば、モニターとか作れるなら、車や一瞬で移動できるドアとかが欲しいものだ。
…ん?メニアのはドアを開けたらつながっていた気がするのだが。なんの違いだろうか。
「ああ、問題ない。道案内ありがとうな。
なんか入る上でルールとかあったら教えてほしい。」
おれより小さい頭を撫でながら言った。
おれが170cmだから、おそらくナンゴは155cmほどだろう。
男子にしては小さい気もするが、ナンバー5って名前だし、性別がないのかもしれない。
そもそもキャロから生まれるのは人間か神か、それともまた違うものなのか。
まあ、この世界については、滞在することになるならおいおい知っていこう。
「へへ。オレも楽しかったぜ。
トラヤ様は、礼儀正しいやつにはめっちゃ優しんだ。だから、最初は礼儀正しくすることだな。
人払いしたら、少しは認められた証拠だから、あとは言われた通りにすれば良いだけだ」
「なるほど、礼儀正しくっておれの地上だと、
失礼しますでお辞儀して、そのまま歩いて入っちゃうんだが、それで問題ないのか?」
「なんでそんなことまで聞くんだ?
気にしなくても大丈夫だぜ!
でも、失礼しますでお辞儀したら、歩いて、オレが止まる位置まで行ったら、膝をついて下を向くんだ。
そしたらトラヤ様が権現するぜ。
あとはさっき言った通り、礼儀正しく指示通りに、だ!」
「あぁわかったありがとうな。
おれはいつでも大丈夫だ。」
なんとなくとても緊張して心臓が痛いが、ここまできてしまったなら戻れないし、何より、トラヤ様には色々と聞かなきゃいけないことがあるんだ。
ここで怯んでなんかいられない。
「ああ、じゃあ開けるぜ!」
読んでくださりありがとうございます。
誤字脱字、適切でない言葉、などがありましたら、教えてくださると嬉しいです。
よろしくお願いします。
ここら辺から複雑になってくるので矛盾しているところなどがありましたらそれも教えていただきたいです。




