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11、メニアとの出会い

ガチャ


ドアの音。

後ろを振り向くと、ドアが開いていた。


おそらく、ドアの開閉音がしてドアが開いていると言うのは、普通のことだと思う。

が、今のおれにとっては信じられないことだった。


真っ白に永遠と続く場所だと思っていた。

那緒がきてから辺りを見渡したところ、ドアも、何ならモニター以外のものすら見つからなかった。

その何もなかったところに、ポツンとドアが現れ、開いた。

ついドアを凝視してしまって気がついたが、ドアの先も辺りは真っ白だった。ただその空間には、机と本棚と、そして今度は目に見えるドアが軽く10個は存在している。


そして、ドアに気を取られていたが、視線の先には女の人がいた。

焦点がずれていたため、目が合っていることに気が付かなかった。

そして彼女もまた、今ちょうど、目を見開いた。



そして、隣を見ると、さっきまで膝の上にいた那緒が少し離れた場所にいた。

こっちに来ないでと拒否られた後だから寂しい。

そして、先ほどまで流していた涙も跡なく消えていた。

ただ、顔や体の色は変わらぬままだから、もしかしたら我慢しているのかもしれない。目の青さは薄れてきているようだ。特に警戒の見えない様子から、那緒にとっては知り合いなのだろう。


「ナヨ様、いらっしゃったのですね。

物音がしたのできてみたら、随分とお綺麗になられましたね。」


「25年も地上に出ていたのだから、私だって、少しくらい容姿が代わるわ。」


「ふふ、お楽しみのようで何よりです。

それにしても、代わらずお若いですね。まるで18歳のようですよ?クスッ」


おれはただ、そこにいた女性と会話している那緒を眺めて、

ああ、そういえば那緒は面接が得意だったな、と思い出すだけだった。

当たり前だが、いつも一人称が「なお」ではないし、いつもふわふわしているわけではない。面接中はちゃんと素を隠すそうだ。


そして、18年でも28年でもなく25年なんだなと、ということは大学には1人で行ってしまったのかなと、少し悲しくなっていた。


それにしても、面接とはまた違う。

「〜わ」はよく言うが、そんなお嬢様ぽい言い方ではないのだ。だから、これもまた那緒の素ではない。いや、もしかしたら、おれの知っている那緒ではなく、こちらのお嬢様那緒が素なのかもしれないが。

神は素で上品なのだろうか。


「こんにちは。

初めまして、(わたくし)、ナヨ様の身の回りのことをお手伝いさせていただいています、メニアと言います。執事兼メイドのようなものでございます。

あなたが、ナヨ様の言っていたラヤ様ですね。

とても素晴らしい方だとお聞きしております。

今回はこちらに来られたこと、大変喜ばしく思っております。

以後お見知り置きを。」


「あぁ。あいや、はい。

こんにちは。那緒と…ナヨ様に、いつもお世話になっております、螺緒…ラ…えーっと名前は少し忘れてしまったのですが、そう言うものです。

あははー名前忘れるなんて緊張してるのかなーはは。


…これからよろしくお願いします。」


名前を忘れるとは。と不信がられた時、


「こちらの男性はラヤと言うのよ。

ところで、なぜメニアはラヤのことを知っているの…?」


那緒が話を進めてくれた。

処理能力が追いつかない。


那緒はナヨ様と呼ばれているそうだ。謎に。

そしておれは、螺緒ではなく、ラヤ、と。


一応、那緒が改まる程の人らしいので、敬語と、そして那緒はメニアさんからしたら偉い人らしいのでナヨ様、ととりあえず呼んでみた。


敬語がうまくできていたかの自信は皆無だ。

トップクラスの高校に通っていたはずなのに、動揺すると学んだことが活かせないなんて、もう少し勉強が必要なようだな。


そして、おれからしたら、メニアさんの『こちらに来られたこと、大変喜ばしく思っております。』は少し不快なんだが、ここで過ごしている人には伝わらないだろう。

おれは地球で生きて、那緒と仲良くしたかったんだがな。

だがおれも、「死者の世界から地球にやってきた人」がいれば、その元の世界がどんだけいいところであれ、「地球にこれてよかったな」とは言ってしまいそうだ。

特に愛国者ではないが、愛球者アースラバーではある。

地球は個人的に居心地が良かった。

他の星を知らないから言えるのだろうが。


後で説明してくれよ、と那緒に視線を向けると、背けられた。

そういえば、今おれは嫌われているんだった。


「ラヤ様のことは、ナヨ様が下さったお手紙から知りました。

他の人についてに比べ、とても細かく書かれていて、それほど仲の良い方を見つけられたのだと、安心したのです。

ラヤ様、ナヨ様のことありがとうございました。」


「ナンバー5宛の手紙なのになんで見てるのよ…。

ラヤとは幼馴染なんだわ…。細かく書いて当然でしょ…。メニアはいじるから言わなかったのに…。」


まだ拗ねているらしい。

おれの話になると少し声が小さくなる。


「ナヨ様、ナンバー5とも情報を共有することも私の仕事の一つでございます。」


先ほどからナンバー5は誰なのかと尋ねたいが、おそらくここには知らない人が多くいる。なので知らないことには首を突っ込まないでいよう。


そんなことよりも那緒が危険だ。


「メニアさん、ナヨ様の顔色があまり良くないので、診ていただきたいのですが…。」


「そうですね、ナヨ様、お部屋に戻りましょう。お仕事も溜まっているので。何せ、お戻りになられた時もお仕事をされなかったので、25年分も。」


「…知ってるわよ。」


そう言って、那緒はドアの向こうへ消えた。


…おれを置いて!!

もちろんメニアもドアを閉めて去っていった。

そして、ドアは消えた。


おれを残して!!


え?またモニターで見続ければいいのか?

いやその通りだが、おそらくここにきた人はそうして過ごすのだろうが、そうしようと意気込んだのだが、、

せっかく那緒と会えたのに、また離れ離れなんだな。

というか、神って天国にいるんだな。急に親近感湧いた。


だが、

相手が神なら、もう一生会えないのかな。


少し悲しくなるが、しかも、事情があまり聞けなかった。

結局玉樹についても、那緒の黒い刃についても。


と思っていると、再び、


ガチャ


と音がしたと思えば、メニアさんが顔だけ出して、


「…。

申し訳ありません。

今後についてトラヤ様からお話があると思われるので、トラヤ様の執事であるナンバー5がきたらついていってください。ノックは5回。2回と3回に分けて鳴ります。ノックが違う場合は絶対に開けないでくださいね。

では失礼いたします。」


完全に伝え忘れだと思うこれ。

おれにはわかる!

そのなんか失態犯してやば、みたいな顔!

その顔那緒そっくりだったんだが、メニアさんがうつしたんだな!


そして、絶対に開けるなって…。開けたら機織りでもしているのだろうか、鶴が。

開けたくなるようなことを言わないでほしい。


そもそも、ドアは出現するまで見えないし、開けるも何も相手が勝手に入ってくるからな…。おれに選択権はないんだよ…。

メニアさんは理解していないのか。それともからかっているのか。


いや、前者だろうな。多分、予想だと、那緒の部屋のドアは人を選んで開けれるのだろう。そうでもしないと、那緒に会いたがって来る人で対応が大変だからだ。

そして、安全な人はノックの数が教えられているのだろうな。

予想だが。

まあおれには関係ない。選択権がないのだから…(2回目)


はぁ、というか、天国に来た人はみんなこんな目に遭うのだろうか。

小さい子とか耐えられるかな。小さい子はまた別の保育園みたいなところがあるのかな…。そんな都合よくないか。


まあメニアさんに関しては、那緒がいたから来たみたいな感じだったから、彼女がいろんな人のところへ訪れることはないと思う。那緒もいないだろうし。

そうなると、訪問者はそのナンバー5とかいう人だけか。それはそれでいきなりトラヤ様とかいう人に会わされても困惑しそうだ。


そもそもトラヤ様とは…。

天国仲間がいたら教えてもらいたいものだ。

読んでくださりありがとうございます。


誤字脱字、適切でない言葉、などがありましたら、教えてくださると嬉しいです。

よろしくお願いします。

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