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第三十二話:爺さんとロイヤルファミリー

ラフェルは第三王子。昔そう書いた。

 よし、悪は滅びたの。周りの騎士たちがポカーンとしとるわい。ついでに言えば国王陛下やラフェル王子もポカーンとしとるわい。エミリー嬢は……すごいすごーいとか言いながら手を叩いてはしゃいどるのう。なるほど大物じゃわい。


「で、では色々大変じゃったが頑張るんじゃぞ」


 そのまま有耶無耶にして逃げても良かったが、一応王子殿下を護衛するという約束じゃったからなあ。挨拶くらいはしとかんと。


「さあ、エミリーちゃん。帰るぞい」

「うん、かえるー」

「おっ、お待ちください!」


 呼び止められたか。なんというか面倒じゃのう。


「先程の魔法は一体……」


 ちゅーて魔法ですらないんじゃよなあ? 前の光明真言が聞いたから不動明王真言も効くかもとか思っただけで。


「ワシにも詳しい事は分からんぞ。そうさのう、御仏の加護とでも思っておけばええ」

「ミホトケ? 我々の神とは違うのですか?」

「あー、まあ、神様みたいなもんじゃ」

「と言うと大精霊様?」

「よーわからんがそうじゃろう」


 実に適当だと思われるかもしれんが、そもそもこの世界の神様とか大精霊様とか知らんのじゃよ。手紙が入っとったのは女神様じゃしなあ。神様=女神様なんじゃろうが。ワシは仏教徒じゃからのう。


「ともかくこのまま返したのでは王家の面目が立たぬ。すまぬが晩餐に招待させて欲しい。礼をさせてくれ」

「なんじゃややこしいのう。まあ王子の誕生会をやり直すならそっちに参加でええじゃろ」

「いや、その前にぜひお礼を……」


 なんとも困ったのう。ん? なんじゃなエミリー嬢?


「ねーねー、おじーちゃん。おいしいものたべれる?」

「ふむ、城の晩餐会ならばその可能性はあるのう」

「わたしたべてみたい! だめ?」


 くっ、そうやって可愛く首を傾げるのは反則じゃよ! それも指を唇に当ててるとか。これが当ててんのよってやつかのう?


「お、おお、エミリー嬢も参加して貰えるなら大丈夫なのか?」

「え? まあ、エミリー嬢が行きたいと言えばワシには否はないのう」

「ならばお二人でお越しください!」

「やったぁ!」


 ん? なんかはしゃいだ声が王子殿下の方から聞こえた気もするが気のせいかのう? 元の世界では耳も悪かったがこの世界では感度良好なのじゃよ。


 それから城の待合室で待って、フィリップ殿には連絡しとかんとなあ。


「ルドミラール子爵へはもう連絡が行っていると思います」


 なるほど。ん? ワシは口に出しておらんがクラリッサさん、心を読んだのか?


「いえ、貴族の社会とはそういうものなのです」


 なんというかメイ道は奥が深そうじゃなあ。暗殺術とかにも長けとるんじゃないかの? なんでクラリッサさんがそこでニッコリと意味ありげに微笑んでおるのか?


「用意が出来ました。こちらにどうぞ」


 王城の執事が呼びに来てワシらは長い廊下を食堂まで案内された。食堂は大きさはそうでも無いが、王と王子、それから女性が二人と男性が二人、よく知らん人物が座っておった。


「食事の前に私の娘と息子を紹介させてもらおう。ラフェルはもう分かっているから大丈夫だと思うが」

「ミカです。一応長女ということになっております。ラフェルの姉です。隣国に嫁ぐことが決まっておりますのであまり気にしないでくださいませ」

「ガブリアです。次女で、ラフェルの姉です。今は学校に通っております」


 学校があるのか? 全寮制とかじゃないのかのう?


「貴族学校では魔法を専攻しております。後ほどご教授いただければと思います」


 いやいや、ワシ、この世界の魔法はそこまで詳しくないぞ? いや、何となく頭に魔法の知識が流れ込んでくるが無視じゃ無視!


「軍務卿を勤めています第一王子、アレクです。妾腹の為、王位継承権はありません」

「外務卿を勤めています第二王子、ロッシです。私も妾腹です」


 なるほど、第三王子が王位継承出来るのはそういう事か。妾腹……身分の低い母親から産まれた子どもなんじゃな。


「ワシは昔冒険者をやっとってな。その時のパーティメンバーの女性の子どもなんじゃ。親からは結婚を反対されてな」

「その女性は?」

「ワシが住処をつきとめた時には亡くなっておった。それで子どもだけでもと引き取った訳じゃ」


 ふうむ、この王様、ことごとく連れ合いに先立たれとるようじゃな。なんという不運。可哀想になってくるわい。いや、ワシなんて連れ合いすらもおったことがないんじゃからワシの方が可哀想なのかもしれん。


「おじーちゃんのおよめさんにはわたしがなってあげるね!」


 さすがにワシはロリコンでは無いし、そんな気も起きんしのう。エミリー嬢は飴玉目当てなのが丸わかりじゃからカウントには入れておかんでおこう。


「それではそろそろ食事が運ばれてくる。これは礼じゃ。マナーなど気にせず王城のシェフの腕を堪能してくれ」

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