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お目に止めてもらえて嬉しいです。
よろしくお願いします。
「あ、生きてる王様だ」
「不敬であるぞ!!」
王様の側近から叱咤され慌てて顔を伏せた。
『王様生きてるじゃん!』
〈生きとるのう〉
「ソルシエレ・レベナン男爵令嬢。王より褒美を授与する!」
ただ今王様と謁見してます。
デビュタントしてもいないのに!
王様に謁見なんて!!!
あ、いや。
霊体王様なら視てたけど。
アレは別物だし。
例外だから。
隣に父様居るけど。
ガタガタブルブル。
私も緊張でガチガチのゴチゴチ。
挙動不審の二人にこんな苦行。
褒美いらんから帰してください!!
◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇
豪華なベッドで目を覚ました後ーー。
牢屋の中で気絶するように眠っていた私は、ことの顛末を先程聞いた。
王様は消えた後、自分の身体に戻っていたそうだ。
死んでなくて本当に良かった。
王様は意識が戻り、助力した私に褒美を取らせようとしたら牢屋にいてびっくりしたそうだ。
王様から、無罪だから釈放しろとの命で私は王宮に移動となったそうだ。
保護者の父様は、呼び出されド緊張で一緒に謁見中。
娘が牢屋行きになったり、王宮に移動したり。目まぐるしいことになって、父様を振り回してばかりで申し訳ない。
「褒美は何がいい」
だいぶ悩んで税の免除を願い出た。
貧乏男爵家なので。領地もそんな広くないから国にとって大して痛手にはならないと思うし。
領地の改善にお金を回したいのだ。
「なら、儂からの礼は昇爵を与えよう。爵位を男爵から子爵とする」
「身にあまる栄誉に心より感謝致します」
爵位が上がり俸禄が増えるのは嬉しい。
貧乏男爵なのに私を預けた神殿に毎月寄進していたのを知っている。財政の厳しいのに娘を頼んだ手前とは言え、毎月寄進するのは厳しいはずなのに。
離れていても親子だと。
見捨てられてないのだと。
微かにでも繋がりが残っているのだと縋っていたのは私だった。
でも、上がった何割かは私のお小遣いにして欲しいもんだ。
「さて。ソルシエレ令嬢よ。巻き込まれたそなたは真実が知りたいであろう」
そう口にした王様は側近に説明を指示した。
犯人は、銅像を立てた大臣一派だそうだ。
銅像に王様の髪を入れた木箱を埋め込み呪術で呪い、王様を幽体離脱させたそうだ。
霊体が抜けていれば身体は徐々に弱り、病死扱いになるのを狙ってのことのよう。
でも、王様の霊体を木箱に縛り付ける筈が、解呪されてしまい王様の意識が戻った。
呪いが返され、呪術者は呪い返を受けて瀕死状態。
大臣一派が木箱を埋めたことを殺された理髪師が書き残していた紙が見つかり、それが証拠となって逮捕されたそうだ。
あの右足と言って消えた霊がそうだったのだと思った。
「ソルシエレ令嬢よ。儂を助けてくれて感謝しておるぞ。貴重な体験は生涯忘れぬであろう」
「過分なお言葉。身にあまることで御座います」
「また、謁見に来るがいい。楽しい話しを聞かせて貰おう!」
「へ?また、ですか??」
どうやらアチラの話しを聞きたいようだ。
わはははと笑う王様。
私は笑えないのですが?
また来るの?
また謁見しなきゃダメ?
もうヤダよーーーー!!!!
◇◆◇
説明後、側近の皆様方から謝られた。
側近達も情報収集の一端で掴んだ情報源が私だったから致し方ないんだけど。
尋問した時の人達からは特にもの凄く謝られた。
仕方ないし私の落ち度もあるので、謝罪を受け取るので、もう穏便に済ませて欲しいと伝えた。もう帰りたいので。
でも。
なんだかんだで引き留められて、なかなか帰れない私。
もう疲れた。
もう帰りたい!
視えるのは懲り懲りだーーーーー!!
これで一章終わりです。プロローグみたいなものなので、簡単に流しました。
二章は15話くらいになります。
やっとヒーロー登場です。
恋愛モードになるのは三章からです。のんびりですね。
次話、別視点がはいります。
ご読了ありがとうございました。
次話もよろしくお願いします。