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お読み下さりありがとうございます。

ブクマ評価、コメントありがとうございます!


よろしくお願いします。

「よし!全快!」


窓の外を眺めながら握り拳を掲げて自分を鼓舞した。


〈元気なのはいいが、無理はダメじゃよ〉

『うん。もう大丈夫!無理しないよ!』


謎の解決に向けて動かなければ!

家に帰れない!



パシンと両手で頬を打った。


『無理せず頑張る!』

〈その意気じゃ〉


じじさまと顔を見合わせて笑った。







◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇



「体調はどうだい?無理してはいないか?」


ファルシュさんが気遣い心配そうに声をかけてくれた。


「大丈夫です。もう平気だから」

「無理はしないように」

「そうです。言わないのはダメだ」


心配から過剰に気にかけてくることに若干気が重くなる。こんなことで心配してもらうことに慣れていなくて戸惑ってしまう。マアディン卿も心配追随発言にも困った。気遣いされなれていないのだ。





マアディン卿が私の部屋に迎えに来たその時も一悶着があった。



「何であんなことしたのか」の質問に笑うだけだし。体調の心配して抱き抱えて運ぼうとするし。オカンか!

「田舎の貧乏貴族は丈夫だから」と言うも、「倒れた人の言葉は信用してあげません」と言われてしまった。


道中気恥ずかしくてたまらなかった。

もー!人を揶揄うなら、揶揄い返すよ!

アチラの方々にお願いして!




◇◆◇



「さて、皆が集まったのだが。話しは何かな?」


アエス王子が周りを見回した。


私が話しがあるとアエス王子に伝えてとファルシュさんに伝言を頼んだ。

そして今アエス王子の執務室に集まることになった。


「神殿について何か分かったことでも?」


ファルシュさんに聞かれた。

その質問に頷いた私だが、ちょっと自信がなくて視線が泳いでしまう。


「はい。集まって貰ったのは神殿についてですが。気になることがありまして……」


口澱む私に皆の視線が集まるのが居た堪れず居心地が悪い。


意を決して顔を上げ発言した。


「王様の後ろのアチラの方が怪しいんです!」


その発言に三人が顔を合わせた。

だよね?王様相手だもん。戸惑うよね。


「どう怪しいのかな?」

「四代前の王様が背後にいらっしゃるのです。レギール・ゼス・キュイベル王だと聞きました。白い長めの髭が特徴の王様です。

そのレギール王が神殿の話しをした時、ビクリと反応したんです。挙動不審というか……」


「明らかに何か隠しているような」と歯切れの悪いことしか言えない。

上手くニュアンスが伝えらなくてもどかしい。


アエス王子は優雅に足を組み、暫く考え込むと、「父上に話してこよう」と席を立った。



アエス王子から話を通してもらえば話は早くすみそうだ。でも王様との謁見を考えるとズンと気が滅入る思いがした。


霊体王様なら気楽話せるのに。

これで何もなかったら不敬罪とかにならないといいんだけどと心配になった。



◇◆◇



「許可が出たから応接室に行くよ」


アエス王子が許可を得て戻ってきた。


許可がもらえて良かったのか、これで違ってたらどうなるか。シーソーのように気持ちがガタガタ揺れている。


勢いよく、ふうと息を吐き、悩んでも仕方ない!と気持ちを切り替えてソファーから立ち上がり足を踏み出した。




さて苦手なカーテシーを頭の中でおさらいだ!


足が攣りませんように!



◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇




緊張する中、応接室に案内され足が攣りそうな挨拶を済ませるとやっとソファーに座ることができた。


なんかこれだけで達成感があるわ。

全然話しにも辿り着いてないけど。

疲労感に襲われている私を他所に、アエス王子が話しを進めててくれた。

流石有能王子。頼りになります!




「ほう。儂の後ろとな」

「四代前の王だと聞きました。曾々祖父に当たる訳ですが、何か口伝か文献などありますか?」


アエス王子が代わりに聞いてくれてとても助かった!王様に直接質問なんて緊張して無理だもん!



「特にないのう。して、レベナン嬢よ。儂はどうすれば良い?」


王様の口調が霊体王だった時みたいで少し緊張が解れた。


「背後のお方とお話ししてもよろしいでしょうか?」

「かまわぬ」

「ではそのまま、普通にしていてくだされば大丈夫です。念話は声に出しませんので」


「始めます」と一言かけて目を瞑った。


目を瞑らなくてもできるけど、周りが気になるので。緊張するし、気が散るし、注目されながらは集中し難い!




『レギール・ゼス・キュイベル王。お話しをよろしいでしょうか?』

〈う、うん?何用かのう。ああ、いつぞやは不正者の検挙に貢献しておったな。感謝しておるぞ〉

『……遠回しにしても無駄ですよ。お分かりでしょう。神殿をご存知なのは視えてますよ!』


私の剣幕にたじろぎ、おどおどと逃げ腰のレギール王に詰め寄った。


『終わらないと帰れないんです!家に帰れないんです!話してください!』

〈わ、分かった。だから離れるのじゃ〉


会話中、自分の意識を半分くらい飛ばして接近することもできる。

あまりやると幽体離脱になったりするからあまり多用はしない。


〈神殿を封印したのは我の父なのだ。建国より賜る女神の祝福を使い熟せなかった。それをそのままにした我もまた同罪であろうな〉


懺悔のような呟きから始まった戒告。




〈建国の歴史は知っておるか?〉

『はい。大地の女神テルーレの眷属エレートを初代が助けた。それにより祝福を受け、王は紫色の瞳を授かった。代々それが継承されている』


模範解答を受けてレギール王は満足気に頷いた。


〈だがの。詳しくは知らぬだろうから説明しておこう〉


聞いたら不味そうなので遠慮したかったけど。

仕方なくそのまま拝聴致しましたとも。



〈初代が祝福された時、王妃は身籠っておった。祝福は王とその腹の子供に授けられた。

それが三つ子だったため、一人が祝福を持ち、残りの二人は公爵家を興した。

なので初代三公爵家は、三つ子のうちの二人が興し、残りの一つは初代王妃の家門が起源となる。それが今の三公爵家の成り立ちだ〉


三つ子だったのも初めてきいたし、三公爵家の成り立ちも初めて聞いた。



ーーあの人も三つ子と叫んでいたが……。



続きを聞くため顔を上げしっかりとレギール王を見つめた。


〈三つ子が祝福を受けて、三人も祝福持ちが出来たと思ったが。祝福は紫の眼を持つもののみのであった。しかも……〉


王様は一旦区切って、溜息を吐くと一気に話し始めた。


〈三つ子と言うことも祝福のうちに固定されてしまっていたのだ。王の第一子を身籠ると必ず三つ子なのだ。

そして母体は三つ子に耐えられず、大半が亡くなった。初代王妃もそれで短命に身罷られた。

それを踏まえて、王家は王妃を守るため、第一子を身籠るのは側室にしていたのだ。

それを王妃が産んだことにすると。

だが、我が父は王妃を身籠らせてしまい産後すぐに王妃は亡くなった。

父は、こんな祝福は要らない。呪いだと。神殿を封じ、反神聖結界を張り、祝福を拒絶した。

その後、私もこれで将来王妃が普通に身籠っても平気だと思った。

だが、産まれたのは三つ子だった。眼も紫色であった。それで我が妻も短命でこの世を去った……〉


肩を落とし項垂れたレギール王は微かに震えていた。亡くなってしまった王妃様を思っていたことが痛いほど伝わってきた。


『祝福とは何だったのですか?』


祝福とは何なのかずっと疑問だった。

この際だから聞いてしまおうと尋ねた。


〈大地の祝福じゃ。この国が豊かさによって栄えたのは祝福のおかげじゃ。だが、封じてから祝福が消え、大地の恵みが徐々に減ってきておる。

神殿を封じて残ったのは三つ子と紫の眼だけじゃ。

父のやったことは、無駄だったのだ〉



大地の恵みの減りに気づかず、三つ子は生まれ、紫の瞳も生まれたことで、神殿の結界が効かないと思い、放置してそのままにしていたそうだ。

結界を張っても三つ子は産まれるし、瞳は紫色のままならどうでもいいと自暴自棄になっていたそうだ。


大地の恵みが減っているのは、後世にならないと結果が分からなかった。

徐々にゆっくりだったために、気付くのは代を重ねてからだったそうだ。

だから今は最高期に比べて三割四割ほど減っていると聞いた。


〈父は結界を張り神殿の入り口を封じ後宮を増築し完全に隠蔽した。元々、地下神殿は簡単に侵入出来ないように迷路のように入り組んでいた。知る者が残さなければこのままであっただろう。汝が視たおかげじゃな。感謝する。これで我も後悔せずにいられる。やっと重荷が解放された………口伝せずにいた後悔を………〉



当時、口伝のみので継承していたが、自分の父親の失態を告げることに躊躇し、神殿のことを口伝しないでいたため途切れたのだと。


今の王家が知ることは、

三つ子が産まれるから第一子は側室に。

継承者一人に紫色の瞳が出る。

これのみなのだそうだ。



背中を縮め両手で顔を覆い、声を震わせるレギール王。



私に懺悔ように話すレギール王の背中はとても苦しくて悲しそうだった。






ご読了ありがとうございました。

前に二章は15話と書いていましたが、たぶん17話くらいになります。

それと、他の視点ご二話ほどあります。


次話もよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 祝福は、王家の人々には、呪いだね。 王の産み母は大体短命なんて、生贄みたい。 まさしく、王家の闇の部分だったのですね。
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