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お読みくださりありがとうございます。

よろしくお願いします。

先程の場所に再度戻り検証することになった。


王様の許可は取ったし、これで思い切り調べられる。早く仕事を終えて家に帰りたい!


再びヴェクステル館長の精霊をお借りして視ることになっている。

じじさまもあまり私から離れられないから。精霊を使うにしても簡単に存在している訳じゃない。ヴェクステル館長がいてくれて本当に助かった。



さっきと同じ要領で精霊に導かれながら地中を移動し、祭壇に到達したら先程とは違う方向へと進んだ。

この祭壇が最奥だったなら、逆に行けば出入り口に当たるはず。

そう考えて精霊に動いてもらう。

狭い暗い通路を迷路のように進むと突き当たりになった。

道が違っていたのかとガッカリしたら精霊が上へと動いた。視界が上に向くと梯子があるのに気がついた。そのまま上へと移動すると塞がれた天井にたどり着く。


そのままスゥッと擦り抜けて、通過した先は、広くカラフルな部屋だった。




◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇





意識を戻し、先程視た部屋を皆に話した。



「何なんだろな、その部屋は」

「隠し部屋にしては入り組んでいるのだな」

「一時的に隠れ蓑にするには不合理ですし」


疑問を出しも答えには辿り着かず、その出入り口を探すことになった。


室内の様相を説明するとファルシュさんが思い当たりがあるようだった。

でも「相談しないと難しい」と言われ捜索は後日となった。




今日一日、あっち行って戻って、また行って。

疲れた。

なんだろ。

私、すごく疲れた。


そう。

はたりと気がついたの。


「何で私こんな仕事してんの?デビュタントして領地に帰るはずが!こんなとこでタダ働きじゃん!」


思わず口から溢れた愚痴は隣にいたファルシュさんの耳にも当然届く。


「タダ働きじゃないよ」

「へっ??」

「給金出してるよ」

「え?給金出てたの?」

「父君から聞いてないの?」

「聞いてません!」


「だから給金分働こうか」とファルシュさんは笑う。




父様ェェーー!!



◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇



王宮の庭園の東屋で優雅なティータイム。


ふうと、一息ついて味わう最上級の茶葉はフルーティで香り高い。


でも。


「なんでこのメンバーなんです?」


アエス王子、護衛のマアディン卿、黒髪ファルシュさん、ヴェクステル館長に、ヴィーエさん。


「許可を取るまでの時間潰しだよ」


アエス王子が慣れた手つきでカップとソーサーを手に答える。

あのカラフルな部屋は後宮の一室で、皇后の許可をもらうのだそうた。


そりゃそうか。

王様の後宮に他の男が入るなんて、例外もいいところ。下手したら不敬罪で斬られても可笑しくないエリアだ。

事の重大さに改めて気付き身震いした。


「相変わらず抜けているなぁ」とマアディン卿に頭をなでなでされながら笑われた。

ペシリと手を叩き前と同じく、「レディーに無闇に触らない」とジロリと睨んだ。

「何がレディーだよ。程遠いだろ」とヴィーエさん言ってますが。恥ずかしい過去をお婆様から聞いちゃうよ?顔を赤くして怒ってもしりませーんよ。




「普段アチラの方はずっと私達を見ているものなのかい?」


ヴェクステル館長は長い髪を優雅に掻き上げ肘掛けに身を寄せる。そのまま絵画になりそうなほどの秀麗な姿を拝めて心から感謝した。眼福。


「いえ、違いますよ。こちら本体の感情の起伏で引っ張られて出て来たりする以外は。ガラスの窓越しに見ている?居る?感じですかね?」


上手く説明が出来ず、うーんと頭を傾げた。


「アチラの世界を水の中みたいだとして、気になる時とか、水面が乱れると頭を出してくる感じ?」と言うと何となく伝わったみたいだった。


「トイレとかもばっちり見られてんのかと思ったぜ」と、ヴィーエさんがちょっと安堵気味に呟いた。

「お婆様に見られてたら恥ずかしいもんねー?」と言うと、「揶揄わないの」とマアディン卿に頭をワシッと掴まれた。

それ失礼過ぎ!


わーわーと騒いでいると、ピタリと皆が静かになった。

一斉に向いたその先に現れたのはーー。



「アエス。久しぶりね」

「お久しぶりでございます。母上」


この国の王妃であり、アエス王子の母君。



アリアージュ・ゼス・キュイベル王妃様だ。





ご読了ありがとうございました。

次話もよろしくお願いします。

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