第九話 学校の文化祭が鬼畜すぎる件
「わ、わわ、っ私と絃君がカップルッ?!?!」
(一体どうゆうこと?! 私と絃君がカップルなんて……! だって、まだ私たちは一緒に登校したり一緒にお風呂に入ったり絃君のお家に行ったり一緒にカフェに行く約束をしたり……しただけだよ!? まだまだ全然カップルなんて呼べな……ッいや!?
よくよく考えて見ればコレってタダのお友達だったらやってないことばっかりだよね……?! 寧ろカップルがやっててもおかしくない事だらけだよね?! ってことは私達って知らぬ間に……! ま、ま、まさか私と絃君は……!)
「これは一体どういう事だ、悠」
学校へ来てそうそう意味がわからないぞ。俺と咲良がカップル? そんなのあるわけない、俺は告白をした覚えもされた覚えもない。
無論、咲良さんレベルの美貌の持ち主が俺なんかにトキメク筈がないだろう。俺とカップルにされるなんて咲良さんが気の毒で仕方ない。
……何故なら咲良はもうすでに顔が真っ赤になっている、相当お怒りの様子だな……。
「さあな、正直俺もよく分からん。詳細は新聞部、部長、鈴木柊に聞いたらどうだ?」
そう言うと悠は俺たちの後ろを指さした。
「……っていったって」
「──あら! とうとう来たのね!!」
声高らかに登場してきたコイツが新聞部部長の鈴木柊。加藤咲良、篠崎絃ラブラブカップル事件の元凶だ。
因みに、咲良は劣るがそこそこ顔は可愛い。
「これまたタイミングよく現れるな、柊」
「だって私、篠崎のことずっと待ってたんだから!」
柊は胸に手を当て自信満々に答えた。まあ、そんなことを自信満々に言われても困るんだけどな。
「俺を待っていた?」
「はい! 待っていました! 新しい新聞記事のインタビューをする為に……! この記事、校内でとっても評判がいいんですよ! 人気シリーズを続刊するのは別に不思議な事じゃあないでしょう?」
柊から察するに俺たちのデマ記事は校内で人気を博しているらしい。……いや、人気云々の前になぜ俺たちが付き合ってる事になっちゃってんだ。
「あのなあ……」
「篠崎を待っていた筈なんですが驚きました。まさか加藤さんと一緒に登校してくるなんてね? でもまっ、カップルなんですから納得ですっ」
柊はニヤリと笑って俺と咲良、交互に何度も視線をうつした。
「いやいや、ちょっとまて、なぜ俺と加藤がカップルってことになってんだ」
俺は間髪入れずに質問を投げかける。
言わせてもらえばそもそも元々の前提がおかしい。柊に俺たちが付き合ってるなんて一言も言ってない。付き合ってないからな。
「それなら言わせてもらうけど付き合っていない男女が一緒にお風呂に入るなんてことありますかー??」
柊はしたり顔でこちらの様子を伺い、顎に手をあて攻め込んできた。
……ぐぬぬ。これは痛いところをつかれた。下手に本当のことを話してしまっては、またあの頃のような「篠崎女湯入った説」なんていう最悪な説が再発しかねない。かと言って黙り込んでしまったら負けを認める様なものだ。
この件については俺だけじゃなく、咲良の為にも何とか弁明したい所だ。
そんなことを考えていると意外にも咲良が口を開いた。
「ちょ、! 一緒にお風呂入った位でカップル認定するのはまだはやいと思う!! だって私たち付き合ってないもん!」
(よし、このまま何もしなければ絃君にも迷惑が掛かっちゃうし。私が絃君にいい所をみせるんだ!)
「ああ、俺もそう思うぜ?」
咲良に続いて悠も口を開いた。
「……そうだな。俺もそう思う」
二人ともが俺の味方をしてくれたようなので俺ものっておく事にした。すると柊もこれには効いたのか、さっきとは打って変わって何かを考えてこんでいるようだった。
「うーん。それならこうしましょ。文化祭のフィナーレを飾る全校大注目のイベントの紫羅欄花祭、ってあるでしょう?」
紫羅欄花祭とは文化祭で大注目の大人気イベントのひとつで立候補者が好きな人男女に告白をするというイベントのことだ。
因みに俺たちはまだ一年生なので経験した事がない。だが紫羅欄花祭は昔からこの学校の伝統として受け継がれてきた数少ないイベントのひとつ。
そんでもって一年生の俺たちにもその情報が知れ渡っているということでこのイベントの人気具合が伺えるだろう。
「ああ、あるな。それがどうした?」
「篠崎、あんたいっその事加藤さんに告白したらどう? ……いや、してよ」
いや本人の前で言うかそれ……
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