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第八話 俺の学校が修羅場過ぎる件

「げ、げ、絃くん?! 何やってるの?!」


(絃君にまたがる裸の少女……。やっぱり幼馴染と一緒にお泊まりするって言うのは本当の事だったんだ、しかも絃君こんなに嬉しいそうに裸の美少女と戯れてるしっ。絃君の上に股がってる女の子って、まだ小学生くらいだよね? ……って事は、ま、まさか絃君って、ロリ、コン?!)


「……篠崎、雨?」


終わった。全てが終わった。姫乃と咲良からの刺すような眼差し。なぜこんな事になったのだ。俺の上には紛うことなきのロリ美少女。


誤解されても仕方ない、いやされない方がおかしい。咲良も俺をロリコンだとバカにし貶すだろう。……俺は無実なのにっ。


「いやいや、誤解は良してくれ! 俺は単に風呂へ入ろうとしただけだ!」


「そんなことより早く服を来たらどうなの」


「はい……」


姫乃は下賎な人間を見るかのような目で俺を見つめた。しかし、その割には少し顔が赤らんでいたような気がした。



俺は手早く雨を再び風呂(ろうごく)へ送り込み、元の服を着て玄関前へと戻ってきた。


「い、色々と悪かった」


流石に初対面同士を放置した後、何事もなかった様に帰って来ては無神経な奴だと思われかねないので謝っておいた。……因みに悪いのは全ては雨だかな。


「ま、まっ、まさか隣に住んでいるのが絃君だったなんてね。! ビックリだよ」


咲良は明るく、恰も裸の馬乗り美少女の件はなかったかのように話を続けた。が、しかしその目は泳ぎまくって顔はおろか耳の方まで赤くなっていた。


「ええ、そうね。小学生の女の子と風呂へ入ろうとするなんてビックリよ」


姫乃は皮肉交じりにそう言った。


(絃君が小学生とお風呂に入るかー。なんか思い出しちゃうなー)

「あはは、私と絃君が一緒にお風呂──」

「──ッ咲良、! これも何か縁だと思って、明日一緒に学校へ行かないか?!」



ふう。危ない危ない。少し油断したらもうこの有様だ。恐らく咲良は「私と絃君が一緒にお風呂入った事、思い出しちゃう」的な事を言おうとしたんだろうが、そうはさせない。


お風呂の件は姫乃に知られては困るのだ、咲良が帰ったら気まずくなりそうだし。


「え、ええ!? が、が、学校?! 一緒に?!」


「ああ。咲良には話して起きたい事があるんだ」


俺は理由もなく咄嗟に学校へ行こうなんて言った訳じゃない。俺には考えがあるのだ。反応から察するに恐らく咲良は盛大な勘違いをしている。事が大きくなる前に誤解は解いておかないとな。


「わ、わ、分かった。明日、玄関前で待ってるねっ!」


そう言って微笑んだ咲良は夕日と相まってとても可愛らしかった。




そしてこの頃の俺は気付いていなかった、咲良と学校へ行く事で、俺たちの通う学校を騒がす大騒動の火種になってしまうことを。




「篠崎、このことについてはしっかりと話してもらうわ」


「は、はい……」


俺はこの後姫乃からみっちり尋問と制裁を受けた。


♢ ♢ ♢


朝日が俺の部屋に差し込みベッドから飛び起きた。今日は絶対に寝坊出来ない日だ。寝坊なんてしたら咲良を待たせる事になってしまう。一緒に行こうなんて誘ったからには俺が寝坊なんてしたら俺の立場がない。


それから俺は学校の支度をし、姫乃お手製の目玉焼きを食べた。妹の雨は昨日、俺が姫乃姉妹寝室用の空き部屋に案内したところ居心地が良かったのかまだ寝ている。


なので俺は合鍵を姫乃に渡し、髪セット、香水、身だしなみを整え咲良との待ち合わせ場所の玄関前へ向かった。


「いってきまーす」


──ガチャ


♢ ♢ ♢


「咲良、おはよ」


「おはよぅ」


咲良はまだ眠そうな目していた。


「よし、行こっか」


それから俺たちは昨日の事や幼馴染との関係について話をしながら学校へ向かった。



私は今、篠崎絃君と二人きりで初登校中だ。絃君はこれまで幼馴染やら妹さんやらの話をしてくれていた、でも全く頭に入っていない。私の頭の中は真っ白だ。……昨日の夜から緊張して全然眠れなかったし。


私がこうしている最中にも絃君は話しているがよく理解できない。


……こんな事で絶好のチャンスを無駄にしていいのか。折角の二人きりの登校、この先あるかも分からない。それならここで絃君との何かしらの接点を見つけなきゃ。よし。その為には……!!


「あっ、あのさ、! 最近近所に美味しいカフェが出来たらしいから一緒に行かない?!」



突拍子もなく咲良はカフェの話を始めた。カフェのことしか頭になかったのだろうか。さっきからどこか上の空だったもんな。


「カフェ?」


「うん! すっごく人気なんだよ!」


そう言って目をキラキラさせる咲良はとても可愛かった。


「カフェかー。俺はカフェなんて全然行ったことがないな」


だがしかし俺はカフェに行ったことがない。最近カフェができたことは知っていたがガラス越しに見えるのが女子高生ばかりだったので敬遠していた場所だ。


「……だめ、かな?」


「いやいや全然ダメじゃない。寧ろ嬉しい、俺も気になってたしな」


「ホント?!」


そう言うと彼女は再び目をキラキラと輝かせた。


「ああ、日付は今週の土曜でいいか?」


「うん!!」


「よーし! 決まりだ!」


それから俺たちは再び雑談をはじめ学校へ向かって行った。


♢ ♢ ♢


そしてとうとう俺たちが学校へ着くと、なにやらいつもとは違って校内全体が騒がしく人だかりができていた。

一体何事だろう。勿論こんなことは初めてで隣の咲良も困惑しているようだった。


「──ッ! 篠崎きたぞ!」


「隣に見てみろよ加藤も一緒だぞ!!」


「二人ともおあついね〜!」


生徒たちが一目散に俺たちを指さす。一体何が起きている。俺たちは困惑しつつも教室へ入り親友の悠へ話を聞くことにした。




「悠、これはなんの騒ぎだ?」


「これを見てみろ、これが今日の朝全校へ振りまかれた。……もうお前は一躍学校の有名人だ」


悠がそういって見せてきたのはスクープと書かれた、新聞部から発行された新聞のようだった。



『【衝撃】加藤咲良と篠崎絃はラブラブカップル?!』


「はあ?! な、なんだこれ?!」

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