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第六話 俺の幼馴染が可愛すぎる件

「みー。篠崎、遅いのですよぉー!! おかえりなのです」


「おう、ただいま」


「みんな篠崎の帰りを待ってたのですよ。にぱー」


「あら! 篠崎さん。随分と遅かったですわね──」


「──ッ?!」


──ガシャン!!


「……ってててて」


「をーっほっほ! かかりましたわねぇ!」


「ったく何すんだよ」


「はぅ〜! 罠に引っ掛かっちゃう篠崎君もかぁいいよぉ〜! お持ち帰りい!!」


「おかえり! 篠ちゃんもご飯食べちゃいなよ」


「お姉の手作り料理ですよ」


「おっ楽しみだぁ!!」


カナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナ


以上、篠崎絃の妄想。


♢ ♢ ♢


ひぐらしではなくカラスが鳴く頃、俺はとぼとぼと家までの道のりを歩いていた。


 色々あって「篠崎女湯入った説」が再発されかねないイベントが起こってしまった今日の下校途中。篠崎は惨めにも妄想をしていたのだ。因みに妄想の内容は帰宅後の家の様子である。

 とは言ってもこんな妄想起こり得ることの無い話なのだがな……。とは言っても起こりえないわけでもない。

 いや、俺の妄想の人物が存在するかどうとかの話ではなく、それを抜きにしてこのハーレム状態をつくれるかどうかの話である。さて、コレはどういうことだろうか。


事の発端は俺の幼馴染である「姫乃露(ひめのつゆ)」が俺の通う学校へ乗り込んできた時に遡る。


♢ ♢ ♢


「なんだあの子! スッゲぇ可愛くね?!」


「か、可愛い、うちのアイドル加藤咲良にも引けを取らないレベルだ……」


「あの美人の子、人探してるらしいな。手伝っちゃおっかな??」


「人? 誰探してるんだ?」


「それも篠崎らしいぜ?」


「嘘だろ!? 篠崎のヤツ羨ましいな……」


「やば! あの子かわいくない?!」


「うん、モデルさんみたい!」


俺の幼馴染、姫乃がどうやら学校まで乗り込んで俺を探しているらしかった。無論なんのようかは知らんが、その美貌と風格は瞬く間に校内へ広がった。


「迷える子羊よ。人をお捜しですかい? 私が助けてあげようではないかっ!」


声高らかに姫乃の話しかけているコイツは校内でトップクラスに有名なナルシスト、自惚玲太(うぬぼれいた)


立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花の肩書きを持つ姫乃に話しかけるとはなかなかの度胸の持ち主だ、その自信っぷりは他の男子をみれば一目瞭然。他の奴らは目をハートマークにしておっふおっふして近づこうとすらしていないからな。


「悪いわね。それなら遠慮なく聞かせてもらうけど篠崎絃っての捜してるの、どこにいるか知らない?」


「篠崎、それならアッチの教室に……っ!」


「さんきゅ」


ただし姫乃に気はなく会話は一瞬で終了した。


♢ ♢ ♢


「やっと見つけたわ篠崎」


俺が教室から出ようとすると俺を行かせまいと姫乃が立ち塞がった。


「げっ?! なんでお前がここに?!」


俺は思わず声が漏れる。本来ここにいるはずのない姫乃が居るのだから仕方ない。


「んなこと後よ後! てかアンタどうせ暇でしょ?」


「おいおい! そんな言い方はないだろ! ……あながち間違ってはいないが……」


なんだコイツ。いきなり来て俺の事を暇人呼ばわりか? ……否定できないのがさらに悔しさを引き立てる。


「だと思ったわ。そして今日は頼み事があってきたの」


「頼み事?」


「あのー。私の妹がさ、鍵無くしちゃってさ」


姫乃は上目遣いでコチラにチラチラと視線をうつす。にしてもコイツ強引に話を進めやがるな。急用でもあんのかな。


「一緒にさがせってか?」


「い、いやいや。そういうことじゃなくて。今日もう遅いし、さ」


「……それなら俺に何をしろと?」


「い、言いづらいんだけどさ、ま、単刀直入に言えばさ、……今日アンタんちにさ、私たちをさ、泊めてくれないかな? なんて」


姫乃はわざとらしく振る舞う。この手の策略は幾度も経験してきた。……ただし可愛いんだよな。


「無論、お断りだ。さっさと帰って野宿でもするんだな」


「ちょっと! アンタ酷くない?! 超絶美少女とその妹を見捨てて野宿しろと?!」


「なーんて、冗談だ。自分で超絶美少女とか言ってるのはどうかと思うが……ま、俺んちに泊まってもいいぞ別に。ただし見合った分の代償は頂くがな」


「へーっ意外とあっさりね」


今度は嘘偽りのない感情で驚きをみせているようだ。


「ああ、一人暮らしで寂しかったとこだし、別に今回が初めてじゃないしな」


そう、俺と姫乃は幼なじみ。幼い頃から一緒な分一緒にお泊まりくらいはした事がある。だがしかし、お風呂など一緒に入っていない。入りたいのに入れていない。なぜかって? コイツには妹がいる。俺が姫乃に手を出そうとすれば妹が俺と姫乃の中を引き離す。そしてそのあとに俺へと罵倒、これが俺と妹のルーチンだからだ。


ルーチンからわかる通り恐らく俺は姫乃の妹に嫌われている。理由は色々あるが俺が家へ帰れば分かることだろう。補足だがもろちん姫乃の妹ということもあり彼女は美少女だ。


「それもそうね。……じゃ鍵、貰っていい?」


「いいぞ。でもお前、なくすなよ?」


「も、もう! 分かってるわよ!! 第一にうちの鍵なくしたの私じゃないし!!」


「それと、代償の件。楽しみに待っとけよ」


「え、ええ、た、楽しみにし、しとくわ……っ」

(ま、まさか篠崎の奴……ッ!?)


そう言って姫乃は立ち去った。楽しみにしてくれているのは有難い。超BIGなイベントを起こしてやろうじゃねえか。


それから俺は先生から呼ばれていたので職員室へ向かった。


♡ ♡ ♡


一方その頃遠くから見ていた加藤と悠。


「は……っ?!」


ちょっ?! 絃君と一緒にお泊まり?! いきなりそんなイベント来る?! 折角絃君との距離が近づいたのに! もう!! 早速幼なじみとか言う最恐のライバル来ちゃったあ?!


「どうした咲良大丈夫か?!」


お泊まりって事は……。それに絃君、代償が何とかって言ってたよね、? それってもしかしてお泊まりイベントでの絃君の真骨頂の解禁?! ってことは絃君と姫乃さんは今日の晩……


「あ、あわわ、篠崎くんが女の子と二人で……」


シュウシュウシュウ


「絃のヤツ〜。アイツも隅に置けないな──ッて加藤さん! 顔真っ赤だぞ!!」


♡ ♡ ♡


てなわけで俺はただいま夕焼けが綺麗な自宅の玄関前に佇んでいる。……さて、姫乃はどんな歓迎をしてくれるのかな? メイド服で歓迎してくれちゃったり? あ、猫耳もいいな、いや。それよりバニーガールもいいよな……期待に胸を膨らませつつ俺はドアノブに手をかけた。


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