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薬売りと魔王  作者: 月森 かれん
第2章
19/31

決裂

 エリス達は薬の材料集めのために集落の外に出ていた。

すでにモンスターを何体か倒したようで手に複数の素材を持っている。

 エリスはそれらを見ながら首を捻っており、見かねた

ベルゼブブが声をかけた。


 「薬屋に聞きに行った方が早ぇんじゃねぇか?」


 「うーん……」


 「行きづらいのか?」


 「行きづらい訳ではないんだけど、ちょっと性格が――

下がってっ!」


 2人が今までいた場所に稲妻が走った。

それはすぐに消えたが飛び退いた時に起きた風で、2人のローブに小指程の穴が空いた。

 エリスは手に持っていた素材を急いで小袋にしまう。


 「チッ、やっぱ避けやがった」 


 不機嫌そうな声が聞こえる。その方を見るとグラドと

ジョルジュが臨戦態勢で構えていた。

 エリス達も戦闘の構えを取る。

 

 「来たな、クソガキ」


 「誰がクソガキだ!フード野郎!目にもの見せてやる!」


 「ハ、やってみろ!」


 ベルゼブブはそう言うと右手を自分の方に曲げてグラドを挑発する。

 グラドは目を吊り上げて歯ぎしりすると体から赤いオーラを放つ。魔力を高めているようだ。

 

 「ナメんな!サンダーライン!!」


 「……シルバードール!」


 ベルゼブブが造り出した金属の人形によりグラドの魔法の軌道がそれに引き寄せられた。


 「避けづらいモン出してきやがって」


 「わざわざ避けられる様な魔法使わねぇよ!

くらえ、ウィンドブレイド!」


 「ファイアウォール!」


 グラドの魔法が炎の壁に当たって跡形もなく消える。

ベルゼブブは目を細めてニヤリと笑った。

 

 「これで終わりじゃねぇだろ?」

 

 「当然だ!地面に平伏せさせて頭踏みつけてやる!」


 2人は魔法をぶつけ合いながら離れていく。

彼等をを見ながらジョルジュが静かにエリスを見据えた。

 

 「2人とも喧嘩っ早いな……。

……ついてきてくれって言っても君は従わないよね?」

 

 「…………残念ですが」


 「だよね……。やっぱりこうなるか。

マーレ港でも言ったしね。次は戦う事になるって」


 ジョルジュは少し悲しそうに呟くと体から黄色いオーラを放つ。

 エリスも体にオレンジ色のオーラを纏わせてジョルジュを軽く睨んだ。

 2人の戦闘が始まろうとした時だった。


 「止まんな、お前さん方」


 立派な髭を生やしたドワーフを先頭にぞろぞろと武器を構えてやって来た。10人以上は居る。


 「それ以上続けるってんなら俺達も参加するぜ。

第3者としてな」


 つまりジョルジュ達やエリス達とも敵対する事を意味している。

 ドワーフの声が聞こえていたようでグラドがジョルジュに駆け寄る。そしてドワーフ達を睨みつけた。


 「誰だか知らねぇが上等だ!かかって来やがれ!」


 「待って、グラド。ここは引き下がろう」


 「あ?」

 

 肩を掴んできたジョルジュを不服そうにグラドが睨む。


 「なんでだよ⁉ここまで来て引き下がれるか!」


 「ここの民は争いが嫌いだって聞いたよね?

今は何ともなくても後々こちらが不利になるかもしれない」


 「不利になっても叩きのめせばいいだろ!

っておい!引っ張んな!」


 ジョルジュはため息をつくと強引にグラドのローブを掴んで去って行く。思っていたよりも行動力があるようだ。

 呆然とその様子を見ていたエリス達に立派な髭を生やしたドワーフが近づいた。怪訝そうな表情をしている。


 「お前さん、何者だ?なんでいかにも身分の高そうな奴等に追われてるんだ?」


 「……いろいろありまして。黙っていてすみませんでした」


 「言った言わなかったの話はどうでもいいんだ。

ただ、またさっきのような事が起こるんなら、悪いが早く

集落から出て行ってくれ」


 「わかりました……」


 エリスの返事を聞くとドワーフ達は集落に帰っていく。

すると、どこからかベルゼブブが現れてエリスの隣に立った。


 「少し地下に行ってたぜ。クソガキの慌てふためく様は

面白かった」


 笑いながら言うベルゼブブをエリスは呆れながら見ている。そしてある一点を見て目を見開いた。


 「……右足に染みが」


 「ああ、地下に行く前にアイツのレーザ()()()()()()()。少し調子に乗らせておこうと思ってよ」


 「……バカ」


 「は⁉お前、誰に――痛って⁉」


 エリスは懐から包帯を取り出してベルゼブブの右太腿に

キツく巻いていた。包帯が白から徐々に赤く染まっていく。


 「わざわざ受けなくてよかったのに。

悪魔でも痛みは感じるのね」


 「そりゃ悪魔だって皮膚抉られたら痛てぇし、血も出る。不老だけどな、死ぬ時は死ぬぜ」


 「そうなんだ……」


 エリスは相槌を打つと立ち上がった。

止血は終わったようだ。


 「で、ドワーフの奴等はなんて?」


 「また今回のような事が起こるんなら早く集落を

出て行ってくれって」


 「ふーん、アイツ等は戦いが嫌いなのか。珍しい」


 「……そうみたいね」


 「クソガキ達もまだこの大陸に居るだろうな。どうする?」


 エリスは何も答えずに大きく息を吐いた。

その様子見てベルゼブブは眉をしかめる。


 「やっぱ常時魔力を消費してんのがキテるんだろ?」


 「………………」


 「ドワーフ達には感謝しとかねぇとな。

それにしてもあのクソガキ、意外と賢い。オレ様をお前から遠ざけるとは。あのまま続いてたらお前、捕まってたぜ」

 

 「……捕まった方がいいのかもしれない」


 ベルゼブブは一瞬目を見開いた後、眉をつり上げると

エリスの胸ぐらをつかむ。


 「今なんっつった?捕まった方がいいだと⁉

今までお前の為に行動した奴等の努力を踏みにじる気か⁉」


 「……その人達には申し訳ないけど」


 「なら、今までなんで逃げて来たんだよ!」


 「『約束』だから。両親との。

それと、あなたは意外と感慨深いのね。人間の事なんて

どうでもいいのかと思ってた」

 

 エリスは小さい声で言うとため息をつく。


 「ため息をつきてぇのはこっちの方だ!

…………ハッ、見損なったぜ、エリス・テオドール。

捕まるならとっとと捕まっちまえ!」


 ベルゼブブはそう吐き捨てると乱暴にエリスを地面に落とした。そしてすぐに黒い靄を纏って姿を消す。

 エリスは肩で息をしながら起き上がると

悲しそうにベルゼブブが居た場所を見つめていた。

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