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第1話 ヒーローになりたかった。

初投稿作品となります。


最近、異世界転生ものの作品を見て思ったんです。主人公がモテモテすぎる!チートすぎる!恵まれすぎてる!……と。だから私はあえて、人としてどうしようもなく底辺な主人公を書こうと思いました。そんな底辺少年が魔界へ転生し、生前の悪行を悔い改めながら天国を目指し、人並み以上に頑張る、そんな物語です。


どうかカエデをよろしくお願い致します。

 男なら誰しも一度はこんな妄想をするだろう。


 学校に現れたテロリストを撃退したり、コンビニ強盗を捕まえたり、そんなヒーローになっている自分。


 ありもしない自分を頭の中で作り上げ、冴えない現実からの逃避……今年14になる不登校生の俺は日々そんな妄想を繰り返していた。


 深夜1時を過ぎた頃、小腹が空いてきた俺は親の財布から金をくすね、コンビニへ行くことにした。


「さみぃ~…」


 季節は冬真っ盛り。全身に黒の防寒着を纏った俺の風貌はまるで悪の組織の一員の様だ。


 知り合いに遭遇しないことを祈りながらコンビニへ向かう道中、前から化粧の濃い女性がスマホを弄りながら歩いて来た。


 おそらく夜の店で働いていて、その出勤途中なのだろう。この寒空の下、脚を大胆に露出してご苦労な事だ。肩には高価そうなバッグを引っ掛けている。


 ……その女性の背後からもう一人黒い影が歩いて来るのが見えた。その影は女性に近付くにつれ速度が上がっていく。


  ──そして……


「きゃあー!」


 女性の大きな悲鳴が聞こえた次の瞬間、女性の肩からバッグが消え、黒い影が俺の前を横切って行った。


 ひったくりだ…ッ!


 おそらく犯人には暗がりの中、全身黒ずくめの俺の姿が見えなかったのだろう。そんなことを考えてる最中、ある異変に気付く。


 ──俺は走っていた。


 無意識のうちに黒い影を追っていた。


 何の為……?


 その答えが出たのは、ひったくり犯が路地裏入った時だった。


「あいつを捕まえれば、俺は本物のヒーローになれる。妄想を現実にするチャンスだ!」


 俺は犯人が逃げ込んだ路地裏に踏み込んだ。


「…ッ!」


 瞬間、胸に感じる仄かな温もり。その感覚に気を取られている隙に、犯人は暗闇へと消えていった。


 胸に手を当ててみると、冷たい何かがそこにあった。


「……嘘…だろ…?」


 それは、俺の胸に深く突き刺さっていた。


 かつてない危機感に、脳が一瞬にしてあらゆる考えを巡らせ、ある結論に至った。


「誘い込まれた……ッ!?」


 路地裏という人目につかない場所で俺を刺し、血痕で追跡されないようあえて凶器をその場に残して逃走したのだ。


 次第に全身から寒気と死を感じた俺は、助けを求め大声を出した。


 ──筈だったが……


 2年間、家族とコンビニの定員にしか発声する事が無かった俺の喉は、人がギリギリ聞き取れるであろう音しか出せなくなっていた。


 誰にも気付かれず、ひっそりと死ぬ……。親の金をくすねたヴィランには相応しい最期なのだろう。


「もし、生まれ変われるなら……」


 ある誓いを胸に、ゆっくりと目を閉じた。

ヒーローになることを夢見ながら、実際は真逆の行いをする……本編書きながら「こいつほんとどうしようもねぇな」って思いました。でも彼はまだ14歳なので、多少自分に甘くても良いのかもしれません。でも私は親の金取ったことはねぇなさすがに

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