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「ともかは聞いた? 伊登にも耳が生えたの」

「えっ」


 それは初耳だった。

 話すことに慣れたことによってあまり行ってなかったから気づかなかった。

 あのとき川相くんの様子がおかしかったのはそういうことだったのかもしれないと結論づける。

 気になることは確かだから移動してみたら確かにぴょこぴょこと動いていた。

 私の大好きな獣耳、犬夜くんのはもう触れないけど伊登さんのなら触らせてもらえるかもと期待。


「お、ともかか」

「うん、ね、ねえ、触ってもいい?」

「ふっ、いいぞ、香なんか許可すら取らずに触るからな」


 ああ、これだよこれ、なにがあっても吹き飛ばしてくれるほどの癒やし。

 友達のあやのちゃんも大好きな尻尾に触れて嬉しそうにしていた。


「あ、ともかさんも来たんだね」

「あ、うん、耳が生えたって聞いたら気になっちゃって」

「可愛いよね」

「うん、凄く可愛い」

「優しくしてあげてね、なんかそわそわするみたいだから」


 もちろんそのつもりだ、乱暴にやるわけがない。

 それにしてもそわそわか、私に生えてても同じようになったのかな?

 というかそわそわしているのは完全に彼だ、自分も触りたそうにしている。


「そいつはめばえの彼氏だからな」

「えっ!?」

「知らなかったのか? こいつらは付き合ってるぞ」

「それは君たちもでしょ」

「ま、そうなんだがな」


 おぉ、いつの間にそんなことに。

 ならどうして彼はあんな顔をしていたんだろう。

 でもまあおめでたいことには変わらない、おめでとうと言ってお祝いをしておく。


「いいなあ、同性だから気にせず触れて」

「正輝も触っているだろう、家ではあんなに大胆に……怖い人間だ」

「意味深な言い方やめて!? 頑張って我慢しているんだから」


 そう、私もいま頑張って我慢している。

 伊登さんのもいいけど犬夜くんの耳が好きだったから。

 香ちゃんと楽しそうに話している彼を見るとぎゅっと胸が締め付けられるけど。

 だけど我慢できる、当分の間は伊登さんを利用させてもらうことになっちゃうけどね。


「ともか、ちょっと来い」

「う、うん」


 わっ、もしかしてばれちゃったかな?

 仮にそうでもこの気持ちを捨てることになるから好都合か。


「他の人間と上手く喋れるようになったか?」


 あ、それか、彼のおかげでできているので頷いておく。

 あれからたくさんの友達ができた、表面上だけであったとしても構わない。

 あの教室に堂々といられる理由ができた、居場所ができたと言っても過言ではない。

 協力してくれた彼には感謝しかなかった、もちろん川相くんにも。

 

「ありがとねっ」

「おう」


 だからこの気持ちはぶつけない。

 そんなことをしたら迷惑をかけるだけだから。

 話せなくなるということではないからとすっきりしている自分がいたのだった。

読んでくれてありがとう。

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