プロローグ~幼児期~
俺の名前は赤城一樹。年齢は18歳で社会人1年目だ。ちなみに、彼女はいない。
特に秀でた才能はなく、特技と言えばゲームが少し上手い程度の、いわゆるオタクである。
休日には趣味のゲームや漫画、ラノベ三昧で、徹夜も珍しくはない。
5人兄弟の3男として生まれた俺が高卒で働き始めたのは、決して裕福とは言えない赤城家の財政事情と、軍資金の確保のためだった。兄も姉も大学へ進学し、俺の学費の余裕は悲しいことにない。
まぁ、軍資金の確保という理由の方がつよいのだが。
そして、とある休日。
普段から通っている、人通りの少ない道。新しいゲームやラノベやらを仕入れに出かけている道中、突然だった。
「きゃああぁぁぁぁ!」
知らない女性の大声。近くにはニットにマスクをした、男性と思われる人がいる。その手にはナイフが握られていて、血で赤く染められている。
「えっ?」
状況が飲み込めない。
「ちっ!見られたか!」
その男性がこちらへ向かってくる。
ヤバい!
俺はその場を逃げ出したが、反応が遅れた分追い付かれた。
そして、背中を刺された。
痛みで動くこともままならない俺に、もう一度男はナイフを突き刺した。
そう、俺は不幸にも通り魔の現場を見てしまい、口封じに殺されたのだった。
痛い。辺りには自分から出た血の生臭い匂い
薄れていく意識。
「死にたく…ないなぁ…」
最後まで考えていたことも趣味の事ばかり。
やり残した事が山ほどある。
「あぁそういえば俺…童貞かぁ…」
そして、意識が途切れた。
「ヘレン頑張ったな!」
声が聞こえる。
辺りが明るい。
生きてたのか、それとも死後の世界か。
そう思ったが声は出ない。
目を開けたその時写り込んできたのは若い20代中頃位の男性と、ヘレンと呼ばれた女性だ。
ヘレンは透き通るような銀髪のセミロングヘアーに、青い瞳、まるで人形のような美しさだ。
一方でグレイスは黒髪に黒い瞳は、まるで日本人のようだ。腰には日本刀の様なものが2つある。
「グレイス。あなたが名前をつけて。」
ヘレンがの言葉から男の名はグレイスと言うようだ。
はいはい、なるほど。
これは最近小説などで流行っていた、転生というやつか!
しかも前世の記憶を残したままとは…
「グラン!…なんてどうだろうか!?」
グレイスが言う。
2人の名前を合わせるとは安直な…
そう思いはしたものの意見などできるはずもなく…
「強そうな良い名前ね」
どうやら決定のようだ。
よく見るとグレイスの近くに二人の子供がいた。おそらく兄弟だろう。
「ラティス!フレイ!今日からグランは2人の弟だ!仲良くするんだぞ!」
『はーい!』
長男のラティスは6歳。長女のフレイは4歳で、2人とも顔立ちは調っていて、グレーの髪にグレーの瞳は両親の特徴を受け継いでいると言えるだろう。
「大きくなったら、俺が剣術を教えてやるからな!」
「私が魔法を教えてあげるの!」
二人が言うのをグレイスが止めて
「こらこら!気が早いぞ!まだ適正もわからないじゃないか!」
ふふっ、とヘレンが微笑んだ。
大事なことなので伝えておくと、どうやらこの世界は剣と魔法のファンタジーな世界のようだ。
平和な日本から転生した俺はやっていけるのだろうか、そんな不安がよぎるなか、時はすぎていくのであった。
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初投稿で至らないとは思いますが読んで頂けたら幸いです。




