表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

君と泣き虫の一頁。

作者: ゆりまねぎ隊長

君と私の物語を一頁だけ。

彼の立場や身分を私は知らない。もしかしたら、優しいからお城の王子様や騎手だったかもしれない。それとも、面白い話をするのが上手いから商人やディーラー、物盗り……殺し屋とか。最期まで彼の姿は見ることが出来なかったけど、それでも泣き虫な私は彼が大好きだった。

その男の子はとても明るい人。



とっても面白い話をしてくれる。


私が悲しい時は慰めてくれた。


目の見えない私にとって、その男の子が世界の半分以上を占めていると言ってもいいだろう。



その男の子、小さな足音は大人の歩みに変わり、声も低くなった。私も女性らしく、子どもから大人に。


部屋の外もなんだか騒がしい。







その男の子は、何時からか私を尋ねてくれなくなった。

目の見えない私は待つことしかできない。


私はその男の子に触れられないことが、とても淋しいと知った。その男の子も同じだと良いのに。





だけど、その男の子は違う。いつも自分の手は汚れているからと触れさせてもくれない。訳を話してもくれない。



部屋の外はまだ騒がしい。









最後、




本当に最後の最期にその男の子に触れることができた。



久し振りに触れた小さな男の子とは、違う男の人。

でも、全然怖くないわ。



首筋に、


頬に、


唇に、




目に触れた。


瞼の下のラインをそって濡れていることが分かる。



「泣き虫……」


初めてその男の子が泣くことを知った。



「私とおそろいだったのね」

その男の子の事をまたひとつ知った。


私が泣く前に話を聞いてくれた優しい人は、最期になってもその訳も話してくれなかった。その事がどれだけ苦しいか。またひとつその男の子が好きになって、嫌いになった。


大嫌いになった。

でも、この男の子はもうその訳を聞いてはくれない。



「……泣き虫」

私がその男の子の事を知ることがどれだけ嬉しいのか、その男の子は聞いてくれない。それがそれだけ悲しいか、その男の子はいつも見ていたのに。





その日初めて、悲しいのに泣けなかった。

皆様、この噺を読んでくれてありがとうございました。


この噺を読んで、何か疑問に思ったことは無いでしょうか。


そうです。彼等の立場や噺の舞台については、ほとんどありません。


最初にヒントみたいなものを書きましたが、上手くそれを皆様に伝えることは出来なかったのではと、ひやひやしております。


彼等の立場だけでなく、舞台も何も描きませんでした。血濡れの戦場だったり、教会や病院だったりするかもしれませんね。


ご想像にお任せして、投げ出したものです。はい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 雰囲気を出そうとしていた。 [気になる点] 詩や独白感が強い話だったので、謎解きするには情報が足りず、そもそも出ている情報もどれだけ信じていいか分からない。 [一言] ヒューマンドラマっぽ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ