休日の勇者達!
ある晴れた昼下がり。
街をブラつくロイ。
ロイ「はぁ、、ったく。昨日はひどい目に遭った、、。」
昨日の夜、痴女二人から何とか逃げ切ったオレは夜通し同僚に弁解するという何とも惨めな目に遭っていた。
ロイ「よく考えたら何であそこまで必死になってあいつに説明する必要があったんだ、、、。」
何とかアリシアの誤解を解くことは出来た訳だが昨晩の自分の必死さが今日のオレには理解出来なかった。
ロイ(まぁ、一応はパートナーな訳だし。変な誤解をされたままじゃ仕事もやりづらいしな。昨日の必死さはそういうことにしておこう。。しかし暇だ。。)
~~~朝、事務所にて~~~
この日、何故か社長から全員に休暇が言い渡された。
ロゼ「最近珍しく忙しかったしみんなも疲れてるだろうから今日はおやすみ!!ゆっくり休んで明日からまた頑張ってちょーだい!」
ロイ(珍しくって、、社長が認めるのかよ。。)
ロゼ「ロイ?何か言いたそうね。」
ロイ「いっいえ!!何でもありません!!」
ロゼ「そう?ならいいわ。最近はあなたにも随分頑張ってもらっていたからしっかり休んでちょうだい。」
ロイ「、、、はい。ありがとうございます。」
ロイ(何だろう、、この言わされた感、、)
ミディ「お休みかー!じゃあせんぱい!今日はボクとデートしましょ!!」
リー「ダメよミディア。今日はアリシアと3人でお出かけ。あなたも年頃なんだからもう少し服装に気を使わないと。」
ミディ「えーーー。これお気に入りなのにーー。そ・れ・に♥️この服なら先輩にすぐに脱がせてもらえ、、、」
ガシッ
リーゼに首根っこを掴まれたミディア。
リー「さっ行くわよアリシア。」
アリ「はっ、はーい、、」
ミディ「あーーー!せんぱーーーーい!!!」
ミディアを引きずるリーゼとそれに付き添うアリシア。
そのまま3人は街の方へと向かっていった。
ラン「さて。んじゃ、オレも久々に武具でも見に行くかね。ロイ。お前も行くか?」
ロイ「いえ。オレは大丈夫です。どこかで適当に時間潰してますんで。」
ラン「そか?まぁ気が向いたら夜に飯でも行こうや。」
ロイ「はい。ありがとうございます。」
そうしてランスロットも街の方へと向かっていった。
ロゼ「あなたはどこにも行かないの?」
ロイ「ええ。特に服にこだわりがあるわけでも無いですし、武具も必要なものはありますし。街に行っても買うものが無いので」
ロイ(考えてみたら仕事以外にすることないんだな、、オレ、、、)
ロゼ「、、、。それなら一つ頼まれてくれる?」
ロイ「何ですか?」
ロゼ「私も最近忙しくて街に行けてないの。今日も用事で街の方には行けないから代わりに行って情報収集してきてちょうだい。」
ロイ「情報収集ですか、、、。」
ロゼ「そう。情報は商売の要よ。お願いね。」
~~~~~~
そんな訳で当てもなく街をブラついていた。
ロイ(情報収集ねぇ、、。まぁたまには街に行ってこいってことだろうな。社長の優しさってやつか。)
ミディ「あっ!!せんぱいはっけーーーん!」
後ろからロイに飛び付くミディア。
ロイ「おわっ!!あぶねぇな!急に飛び付くな、、、」
いつも通り説教をしてやろうかと思ったが、いつもと違う後輩の姿に目を奪われた。
綺麗にまとめられた銀髪。
白地に黒い蝶の模様が描かれた着物。
はしゃいではいるがどことなく雰囲気も清楚な感じがする。
ロイ「(;゜゜)」
ミディ「せんぱい?どーしたんですか?」
ロイ(はっ!しまった!思わず見とれてしまった!不覚だ、、。)
ロイ「なっ、何でもねぇ。それよりどうしたんだよ。その服装。」
ミディ「これですか?何かリーゼさんがたまには大人っぽい服装してみなさいって。
極東の着物?って服らしいです。
ちょっと動きにくいんですけど、この絵がかわいくて気に入ったんで買っちゃいました!
似合ってます??」
ロイ「あっ、、、あぁ、、、」
ミディ「きゃーーー!!せんぱいに褒められたーーー♥️せんぱーーーーい!!!」
再びロイに飛び付くミディア。
ロイ「おわっ!」
ロイ(ダメだ!今日のこいつは見た目が違いすぎていつもみたいに出来ない!くそっ!このかわいさは反則だろ!)
ミディ「せんぱい、、、。」
頬を赤らめロイの耳元でミディアが囁く。
ミディ「極東では女性は心に決めた男性の前でしか肌を見せないそうです。ボクの全部見てもらえますか?」
ロイ「!!!!Σ( ̄□ ̄;)」
普段とあまりにも違いすぎる妖艶な後輩に普段通りに振る舞えず、耐え兼ねてその場から走り去るロイ。
ミディ「あーーー!せんぱーーーーい!!!まってくださいよーーー!」
ロイ(なんだこれ!なんだこれ!!なんだこれ!!!なんだこれ!!!!)
一心不乱に街中を走るロイ。
ドンッ
「キャアッ」
前を見ないで走っていたせいか、誰かにぶつかってしまったみたいだ。
ロイ「あっ!すっすいません!!だいじょ、、!?」
そこにいたのは綺麗なピンクに花の模様が描かれた着物を着たアリシアだった。
髪飾りも付けているからか雰囲気が全く違う。
アリ「ロイかー。もう!気を付けてよね。」
ロイ「おっ、お前、、その格好、、」
アリ「あー、これ?いいでしょ!リーゼさんに選んでもらったんだー!リーゼさんの服装前から興味あったんだよねーー!」
さっきのミディアといいアリシアといい今日はやけに見た目のポテンシャルが高い。
いや、見た目だけならいつも高いんだが、今日は高過ぎる!!
アリ「けど、この服結構動きにくくてさー。ちょっと疲れちゃった。。ねぇ?あそこの公園で少し休まない?」
ロイ「あっ、、あぁ、、、、。」
公園のベンチに腰かける二人。
ロイ(なんだこれ!なんだこれ!!なんだこれ!!!なんだこれ!!!!)
アリ「ーーーーでさ、ーーーー?」
何か話してるが全く耳に入らない。
ロイ(くそっ!今日はどーなってんだ。ミディアとアリシアを意識しちまうなんて、、。)
アリ「ねぇ!聞いてる?」
ロイの顔を覗き込むアリシア。
ロイ「おぅわぁっ!!」
アリ「なっなによ!変な声出さないでよ!」
ロイ「わっわるい!ちょっと考え事してて聞いてなかった。何の話だっけ?」
アリ「もうっ!だーかーら!ミディアのことどう思ってるの?」
ロイ「ミディア?いや、普通に後輩だろ。まぁ見た目が良くて無駄にハイスペックな変態だけど。けど、嫌い、、ではないな。」
アリ「そう、、、。じゃあ、、あたしは?」
ロイ「へぇっ?」
アリ「あっ、あたしのことはどう思ってる、、の?」
ロイ「どうって、、同僚で仕事のパートナー、、、」
アリ「それだけ?」
ロイ「へぇっ??」
頬を赤らめロイを見つめるアリシア。
ロイ(いやいやいやいや!何だよこれ!!お前そんなキャラじゃねぇじゃん!!何でそんな乙女な顔でオレのこと見てくるんだよ!!これじゃまるで告白される、、、みたいじゃ、、)
ロイ「あーーーー!ロゼリアさんに頼まれ事してるんだったーー!そろそろ事務所にもどらないとーーー!悪いけど先に帰るなーー!」
見事なまでの棒読み。
今どきの幼稚園児の劇でももう少し感情込めて言えそうなもんだ。
ロイ(ちきしょー!なんなんだ今日は!さっさと事務所に帰って社長に報告して部屋に帰って寝よう!)
全速力で事務所へと走るロイ。
ガチャッ
ロイ「ハァッハァッ、、たっ、、ただいま、、もどり、、、まし、、、ブフォッ!」
綺麗な赤い髪。
吸い込まれそうな赤い瞳。
夕陽に照らされた綺麗な赤い着物。
服の上からでもはっきりと分かる程にたくましい体。
そこにいたのは着物を着たランスロットだった。
ロイ「なっ、、なにしてんすか、、、。」
ラン「おっ、、おぅ、、、。たまにはこういうのも悪くねぇかと思ってな。どうだ?似合うか?」
頬を赤らめロイに近付くランスロット。
ロイ「えっ、、あの、、その、、、ランスさん?ハハッ、、何の冗談すか??顔がマジすぎて笑えないっすよ!」
ラン「ロイ、、オレな、、もう抑えきれねぇ、、」
壁際へと追い込まれるロイ。
ロイ「あっ、、あの、、ランスさ、、、」
ラン「ロイ、、、、」
ロイ(あぁ、、終わった。オレの男としての人生はこの人に奪われて終わるんだ、、。こんなことならミディアの誘いに一度くらい乗っておくんだった、、、さようなら、、オレの青春、、。)
すべてを諦めたかのように目を閉じるロイ。
ランス「ブフッ、、もう無理、、限界、、、。」
ロイ「えっ?」
ラン「あーーはっはっはっ!」
突然笑い出すランスロット。
それをきっかけにして事務所の奥からブレイブロードの面々が現れた。
アリ「アハハハッ!!ランスさん本気で迫りすぎですよ!ロイったら子犬みたいに怯えてっ!アハハハッハハッ!」
清々しいまでに爆笑するアリシア。
リー「ふっ二人とも、そんなに笑ったら、、かっ、かわいそう、、よ、、フフッ」
肩を震わせながら笑いを堪えるリーゼ。
ミディ「あーー♥️迫られて怯えるせんぱいもかわいくてたまりません♥️」
新しい何かを見つけてしまったミディア。
ロゼ「ごめんね。ロイ。ほんとは最近元気がないからみんなで励ましてあげようって計画してたんだけど色々準備してるうちに楽しくなってきちゃって。。どうせならいたずらしちゃえってなっちゃったのよ。悪気はない、、フフッ、、のよ。」
社長としての体裁を保とうとしているものの笑いがこぼれ出すロゼリア。
ロイ「、、、、、。」
その日ブレイブロードにはロイ以外の何とも楽しげな笑い声が響き渡った。
翌日、探さないでくださいという置き手紙と共に姿を消したロイだったが、数時間でロゼリアに発見され無事に連れ戻されるのだった。
依頼完了?!