勇者の想い ~密かな想い~
番外編です。
いつもと違う書き方をしているので変かもしれません。
それぞれの視点で書いているので会話の流れとかがおかしくなっていますが、温かく見守って頂けると幸いです。
1話完結の全3話です。
平凡な見た目。
平凡な性格。
押せば倒れそうな小さい背中。
特別強くもないし特別勇敢でもない。
なのに、どうしてそんなに頑張るの?
やめちゃえばいいのに。
逃げればいいのに。
分かってる。
あんたはきっとこう言うんだ。
「みんなを守りたい」って。
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バタッ
アリ「痛い、、。」
変な夢。
ベッドから落ちて打った頭も手伝って気持ちの良い朝とはいかないわね。
アリ「おはよーございます。」
ロゼ「あら、おはよう。アリシア。」
私の大好きな人。
騎士になれなかった落ちこぼれのアタシをずっと見守ってくれて、自分の信念のためには仲間にだって厳しく出来る優しくて強い人。
アタシが目指した騎士の姿そのものだ。
まぁ、なれなかったけど。
ミディ「せんぱーい。おはよーのチューですー。」
この子のことは、、まぁ、好きかな。
ちょっと変わってるけど、自分に素直で他人にも素直で真っ直ぐな子。
あんな風に他人に気持ちを伝えられるのは本当にすごいと思う。
アタシには、、多分無理かな。
色んな気持ちが邪魔してくるから。
ノア「ミディアさん!朝からはしたないですよ!それに、、私だって、、。」
この子も好き。
みんなに優しくて他人のために心から泣いたり笑ったり出来る子。
きっと、確かな自分を持ってるから出来るんだろうな。
同じ髪色なのにこの子の方が綺麗に見える。
あぁ、これ、、嫉妬ってやつかな。
嫌な女だな。アタシ。
ロイ「朝っぱらからお前ってやつは。後輩の前でくらい大人しくできねぇのか。」
こいつのことは、どうなんだろ。
自分でもよく分からない。
優しいけど、弱いし頼りないしアタシにはすぐ暴力振るうし。ムカつく。
でも、この小さな背中はここにいる誰よりもずっと近くで見てきた。
だから、あんたのことは一番知ってるってみんなにちょっと自慢したいかな。
アリ「はぁ、、。何か今日、、変な感じ、、。」
ここはとても居心地が良いけど、たまにすごく居づらくなる。
だって、みんなちゃんと『何か』を持ってる。
アタシには何もないのに。
それが堪らなくツラい。
どっかに逃げ出したくなる。
ロイ「アリシア?どうしたんだよ?」
アリ「わっ!ビックリした、、。急に声かけないでよ。」
ロイ「悪い。何か今日ボーッとしてるからさ。何かあったのかと思って。」
アリ「あー、ううん。大丈夫よ。」
ロイ「そか。ならいいけど。」
そうやってみんなに優しいところ。
好きだけど、大っ嫌い。
それはみんなにするんでしょ?
他の子が同じようにしてても今みたいにするんでしょ?
だって、それがあんたの優しさだから。
だからずっと背中を見てたアタシのことなんて多分気付いてない。
あんたが見てるのはいつだって目の前にいる人だから。
後ろにいるアタシなんか見えるわけないよね。
こんなに近いのに、ここにいる誰よりも離れてる気がする。
ロイ「まぁ、これでも食って元気出せよ。」
アリ「これ、、アタシの好きな、、、あんたに教えたことあったっけ?」
ロイ「んー、あったかな。けど、お前が食べてるの見てたら好きだって分かるよ。」
アリ「何それ。」
分かるわけないじゃない。
だって、あんたの前で食べたの一回だけだし。
こんなの頬張ってる顔なんて見られたくないから隠れて食べてたのに。
アリ「アタシのこと知ってるみたいな言い方しないでよね。」
ロイ「何だよそれ。知ってるに決まってんだろ。ずっと一緒でずっと見てきたんだから。まぁ、ここに来てからだから、全部は知らないけど。少なくともここにいる人の中では一番知ってる。」
心がざわつく。
熱くて苦しいのにすごく満たされる。
そっか。
見えてなかったのはアタシだったのね。
背中ばっかり見てたからアンタがアタシを見てるのに気付かなかったんだ。
バカだな。アタシ。
アリ「知った風なこと言わないでよね。なんちゃって勇者のくせに。」
ロイ「何だよ!せっかく励まそうと思って買ってきたのに。」
アリ「、、、ありがと。」
ロイ「お、、おう。急に素直だな。やっぱり何かあったんじゃねぇのか?」
アリ「何にもないわよ。あんたも食べる?」
ロイ「じゃあ、もらおうかな。おっ、旨いなこれ。」
アリ「当たり前でしょ?アタシのお気に入りなんだから。フフッ。」
優しい時間。
みんなには悪いけど、ちょっとだけ独り占めしてもいいかな。
今度からは背中だけじゃなくて顔も見るようにしてみるね。
恥ずかしいからほんのちょっとだけだけど。
アタシの大好きな弱くて小さい勇者の顔を。




