同僚の勇者!
ラージスライム討伐依頼をこなす為に得意先である領主の屋敷を目指すロイとアリシア。
ロイ「てめぇ、、。」
アリ「どっ、、どーしたのかなー?ロイくん」
ロイ「いつもなら自分からモンスターを探しに行って襲われたがるのに今日はやけに大人しいと思ったらモンスター寄せの香水してやがったな!」
アリ「なっ、、なんのことかなー?アハハー」
ロイ「たかだか30分程度の山道でゴブリンやらウルフやらボアがこんなに寄って来るわけがねぇだろ!朝の遅刻もこの準備のためだな!!この変態ドM女が!!」
アリ「ヒドイっ!!遅刻はしてないじゃない!!
それに確かに私はドMだけど変態は言い過ぎよ!!」
ロイ「一部認めてんじゃねぇよ!」
アリシア。
勇者派遣会社ブレイブロードに勤める派遣勇者でオレの仕事上のパートナーでもある。
女性騎士を目指してオレと同じく田舎からこの街にやってきた。
容姿端麗で凄まじい剣術の使い手。
単純な戦闘能力なら女性騎士どころか正勇者にもなれる程のレベルなのだが、、。
妄想癖のあるドMという残念過ぎる性癖の持ち主で、ことあるごとに凌辱されるかもというギリギリの緊張感を味わおうとする。
そのせいでモンスターとまともに戦うことが出来ないため、ハイスペックにも関わらずどこにも雇ってもらえず、ブレイブロードの派遣勇者で生計を立てている。
ロイ「社長もお前のどこを気に入ったんだか、、。」
アリ「あー、なんかね。あなたは見た目だけは良いから見張り役を付けてればお客さんの受けが良くて依頼が増えるって言われたわね。」
ロイ「お前、、、それバカにされてるじゃねぇか、、。しかもその見張り役ってオレのことか、、、。社長、、。」
アリ「あの時の社長の冷たい視線がもう、、、♥️」
ロイ「もう、、好きにしてくれ、、、」
しばらくしてようやく領主の屋敷に到着した二人。
ロイ「ここか。」
アリ「何か、領主っていう割りに小さな屋敷ね。」
ロイ「まぁこんな山奥の領主じゃこんなもんだろ。行くぞ。」
アリ「うん。」
ピンポーン
「はい。どちら様でしょう?」
インターフォンを押すと女性の声が聞こえてきた。
ロイ「どうも。勇者派遣会社ブレイブロードの者です。討伐依頼を受けて参りました。」
「それはご苦労様です。少々お待ち下さい。」
アリ「綺麗な声ねぇ、、。」
ロイ「あっ、、ああ、。」
アリ「あれれ?どうしたのロイくん。顔が赤いよ?もしかして変なこと想像してる?」
ニヤニヤした表情でロイの顔を覗きこむアリシア。
ロイ「お前と一緒にすんな。」
ガチャッ
屋敷の扉が開くと一人のメイドが立っていた。
メイド「お待たせしました。どうぞ中へ。奥さまがお待ちです。」
アリ「はーい。」
ロイ「はい。」
屋敷の中へと案内される二人。
メイド「奥さま。失礼致します。」
ガチャッ
寝室らしき部屋に通されるとベットに女性が腰かけていた。
メイド「こちらブレイブロードからお越しの方々です」
「あら、ようこそ。こんな山奥までご苦労様。」
メイド「こちらが領主のユミル様です。」
ロイ「初めまして。派遣勇者のロイです。」
アリ「同じく派遣勇者のアリシアです。」
ロイ「この度は我が社への依頼誠にありが、、」
ユミ「堅苦しいのは無しにしましょう。ロゼリアとは長い付き合いよ。あの子が寄越した人なら信用できるわ。」
ロイ「はぁ、、、。ありがとうございます。」
ユミ「早速で悪いんだけど依頼のお話をさせてもらってもいいかしら?」
ロイ「はい。もちろんです。」
山奥で果樹園を営むという領主のユミル。
果樹園にはモンスター避けのまじないを施していたが年々効果が薄くなり、最近になってとうとう果樹園にモンスターが侵入するようになったらしい。
ロイ「少しよろしいですか?」
ユミ「何かしら?」
ロイ「仮にも領主という立場があるわけですし我が社のような偽物ではなく本物の勇者を雇われた方がよろしいのでは?」
ユミ「そうね。領主という立場を考えるならその方がいいのかもしれないわね。」
領主や貴族といった上流階級の人達の間では正勇者に依頼を受けさせるというのが一つのステータスになっている。
依頼主は高額な報酬を支払うことで競い合うように財力を示し、勇者は高額な報酬と名声を得る。
その結果、高額な報酬を支払えない人は勇者に助けを求めることが出来ず、モンスターに虐げられた生活を送る地域さえある。
ユミ「私は地位や名声にはあまり興味がないの。領主という立場も両親から引き継いだだけ。この子と二人で果樹園を営みながらのんびり暮らせればそれでいいの。
それに正勇者はお金の話ばかりで信用できないの。それで困っているところにロゼリアと出会ってね。あの子の目指す勇者の話を聞いてその可能性を信じてみたくなったの。」
そう言うとユミルは無邪気な笑顔で窓の外の景色を眺めていた。
ロイ「社長の目指す勇者、、、」
ユミ「フフッ。今度本人に聞いてみるといいわ。それじゃ依頼の件よろしくね。」
屋敷をあとにして果樹園を目指すロイとアリシア。
アリ「なーんか、良い話聞いちゃったねー。」
ロイ「だな。」
アリ「これは頑張らないとね!!スライムなんてパパッと退治してユミルさんを安心させてあげなきゃ!」
ロイ「、、、、」
アリ「なーに暗い顔してんの!!」
ロイ「いや、張り切ってるとこ悪いけど、お前モンスター目の前にしたら妄想膨らみすぎてまともに戦えないじゃねぇか。」
アリ「、、、」
ロイ「、、、」
アリ「さっ、、さぁーて!果樹園まであと少し!」
ロイ「はぁ、、帰りたい、、、。」
その後、十数体のラージスライムを相手に一人奮闘するロイと粘液まみれになりながら大興奮でラージスライムに迫りモンスターにドン引きされるという奇跡を起こしたアリシアだった。
アリ「いやーーー!やめてーーー!来ないでーーーー!いやーーー♥️」
ロイ「てめぇ!自分から迫ってんじゃねぇよ!」
アリ「いやーーーー♥️」
依頼完了!?