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派遣勇者!  作者: よん
17/31

逆襲の勇者志望!

~~聖堂院、王都警備隊第一部隊詰所~~


モナ「ーーー以上で集会は終了とする!解散!」


「よしっ!今日も頑張るぞ!」


オレの名はグレイ。

王都警備隊第一部隊所属の見習いだ。

実は、こう見えてオレは異世界からの転生者だ。

数ヵ月前にこの世界に転生してきて勇者になろうとしたが、この世界の勇者事情は色々と複雑であっけなく不採用。

その後、必死の就職活動で何とか警備隊の見習いになることが出来た。

ちなみに一緒に転生した奴がいたが、あいつは早々に勇者を諦め商人になったらしい。

今では結婚して子供もいるらしく順風満帆な異世界ライフをエンジョイしているようだ。

だが!オレは諦めない!

いつか正勇者になって憧れのあの人に想いを伝えるんだ!


王都警備隊第一部隊隊長 モナさん。

オレの上司であると同時にオレが密かに想いを寄せる人。

サラサラの長い栗色の髪に綺麗な灰色の瞳。

色白でスラッとしていて警備隊の制服がよく似合う。

オレはこの人に一目惚れして警備隊に入った。

そしてこの人のために正勇者になるんだ!


~~王都ウィザリア中央市場~~


グレ(とは言え、見習いの仕事は基本的に街の巡回だけ。トラブルなんて滅多に起きやしないし、街の外の問題はほとんどあいつらが解決してやがる。)


ーー勇者派遣会社ブレイブロード。

転生したばかりの頃にひどい目に遭わされた悪徳会社だ。

オレは正勇者を目指すと同時にあいつらへの仕返しも密かに計画している。逆襲のグレイだ。


グレ(見てろよ、、。派遣勇者め。見習いとは言えオレは警備隊員だ。この権限であの時の仕返しをしてやる。まずは見回りの仕事をしつつあいつらの情報収集だ。)


「ブレイブロード?あぁ、いつも牧場の仕事を手伝ってもらって助かってるよ。」


「あぁブレイブロードね。この時期は収穫が忙しくてよく仕事を依頼するけど、きっちりこなしてくれて本当に助かるよ。」


「あそこの姉ちゃんはみんなベッピンで目の保養になるわい。フォッフォッフォッ。」


グレ(何だよあいつら。めちゃめちゃ好評じゃねぇか。と言うか、派遣とは言え勇者のくせに牧場だの収穫だの雑用みたいな仕事ばっかりじゃねぇか!勇者ならもっとドラゴンとか魔王軍とかと戦えよ!)


ふてくされた様子で街を歩くグレイ。


グレ「くそっ、何かねぇのかよ、、ん?あいつは、、確か、、、、。」


グレイの視線の先で小柄な少女が買い物をしている。


「はいっ!毎度あり!いつもありがとね!」


ノア「いえ!こちらこそいつも美味しいお魚ありがとうございます!では失礼します。」


グレ(間違いねぇ!ブレイブロードの派遣勇者だ!!名前は、、くそっ!思い出せねぇけど、あの時の仕打ちは忘れねぇ!)


~~~~~~


ジャキッ


ノア「私、、忠告しましたよね?、、、冗談は命取りになるって、、、。」


~~~~~~


グレ(あの時、マジで怖かったんだからなっ!その後しばらく夢に見るくらい怖かったんだからなっ!一緒にいたあいつなんて夜に一人でトイレ行けなくなってたんだからなっ!しかしっ!あの時のオレとは違うっ!今のオレは警備隊員!よしっ!聞き込みがダメなら直接乗り込んでやる!)


タタタッ


ノアに駆け寄るグレイ。


グレ「あの、少しよろしいでしょうか?」


ノア「えーっと、、私ですか?」


グレ「はい。ブレイブロードの勇者様ですよね?」


ノア「、、、。」


グレ(あれ?間違えたか?)


ノア「はい。そうですけど、、。」


グレ(何だよ今の間!焦るじゃねぇかよっ!!おっといかんいかん。ここは冷静にいかねば、、。)


グレ「ゴホンッ。実は許可証の件でお話がありまして。」


グレ(確かこいつら許可証の更新サボってるかもって先輩が話してたからな。証拠を掴んで営業停止にでもさせてやる!)


ノア「許可証ですか?先日更新したばかりですけど、、。」


グレ(あーれー?!話が違う!どうしよう、、。けど、ここで引いたら怪しまれるかもしれねぇ。、、ここは押し切る!)


グレ「えっ、、ええ!実は更新した許可証に不備があると報告がありまして。第一部隊隊長から回収するようにと言われております。」


グレ(とりあえず隊長の名前出しとけばビビるだろ。後は許可証を受け取ってからバレないように細工して部隊に報告して摘発してやるっ!)


ノア「あー、モナさんのところの方ですか!許可証なら事務所にありますよ。私もこれから事務所に戻るのでよろしければ取りに来られますか?」


グレ(あーれー?!全然ビビってない!?ってか、何か隊長と知り合いっぽいんですけど!!何かヤバそうな展開なんですけど、、。しかしっ!後には引けねぇ!)


グレ「えっ、、ええ。では、伺わせて頂きます。」


ノア「フフッ。では、行きましょうか。」


グレ(何だろう、、この見透かされてる感、、この子、、怖ぇ。)



~~ブレイブロード事務所~~


ガチャッ


ノア「ただいま戻りましたー、、あれ、誰もいませんね。あっ、どうぞ。こちらです。」


グレ「しっ失礼します。」


グレ(うぅっ、、数ヵ月経ってるとはいえ、、ここに来るとやっぱりちょっと思い出すな、、いや!!ビビるな!!オレは名誉ある警備隊隊員だ!!堂々としてれば上手くいくはず!)


ノア「困りました、、許可証の保管庫の鍵は社長が持っているんです、、すぐに戻られると思うのでお茶でもいかがですか?」


グレ「えっ、、ええ。では頂きます。」


ノア「では、少しお待ちくださいね。」


グレ(くそっ、、さっさと許可証を受け取ってこんなとこおさらばしたいのに、、)


ガチャッ


ロゼ「ただいまー。」


グレ(ヒィッ!)


ノア「あっ、社長おかえりなさい。ちょうどよかった。お客様がお見えですよ?」


ロゼ「お客?そんな予定無かったけど、、。」


グレ「はっ初めまして!自分は王都警備隊第一部隊所属グレイと申します!」


ロゼ「グレイ、、?ふぅん、、初めまして。ブレイブロード社長のロゼリアです。で、警備隊員さんが今日はどういったご用件で?」


ノア「先日、更新した許可証に不備があったので回収するようにとモナさんに言われて来たそうですよ。」


ロゼ「へぇ、、それは大変ね。少し待っててもらえます?保管庫の鍵を取ってくるので。」


グレ「あっ、はい、、。」


ガチャッ

バタンッ


グレ(何なんだよ!あの威圧感!!怖ぇよ!!あー、もう早く帰りたい、、。)


バーーーンッ


勢いよく事務所のドアが開く。


モナ「お姉ちゃーーん!!今日は早上がりだから遊びに来ちゃったー!!お菓子持って来たから一緒に食べよーー!!」


グレ「たっ隊長!?」


モナ「、、、えっ?」


ノア「あっ、モナさん。いらっしゃいです。社長ならいま部屋に、、」


ガチャッ


ロゼ「いやー、許可証なんて滅多に出さないからなかなか鍵見つからなく、、、あーー!モナーーー!!なになにー?遊びに来たのー?キャーーー♥️」


モナに抱き付くロゼリア。


モナ「お姉ちゃん、、これはどういうこと?」


ロゼ「んー?あー、この人?何か許可証に不備があったからモナに回収して来いって言われてきたらしいけど、、。」


モナ「そんな命令出してないけど?」


ノア「あらあら。」


ロゼ「まぁまぁ♥️」


ボキボキッボキボキッ


モナ「おい、貴様。どういうことか説明してもらおうか?」


拳を鳴らしながらグレイに迫るモナ。


グレ「あっ、、あの、、これは、、その、、えっと、、」


ドカッバキッボコッ


グレ「ギャアーーーーー!」



~~その夜、ブレイブロード事務所~~


鉄拳制裁を受け縄で縛られたグレイをブレイブロードの面々とモナが取り囲む。


ロゼ「ーーってことがあったの。」


モナ「うちのバカが本当にごめんなさい!」


ロイ「なるほどねぇ、何かおもしろそうだから見たかったな。」


アリ「あんた、自分が関係してないとなかなかヒドいわね。」


リー「でもまぁ、フフッ。子供のイタズラみたいでかわいいじゃない。」


ラン「そうかぁ?いかにもバカの考えそうなことだぞ。」


ノア「でも、何で仕返しなんて?グレイさん。それともAくんさんって呼んだ方がいいですか?」


グレ「それは、、、今、、なんて?」


オレが聞き返そうと見上げるとそこには昼間見た少女と同一人物とは思えない程に不適な笑みを浮かべた少女がいた。


ノア「Aくんさんってお呼びした方がいいですか?って聞いたんです。フフッ。」


グレ「もしかして、、バレて、、、。」


ロゼ「最初からね♥️」


ロイ「ノアのイタズラ具合が社長に似てきたな。」


ノア「そうですか?フフッ♥️街で会ったときから面白そうだったのでつい、、」


グレ「あの時から、、そんな、、」


リー「バレてないって思ってたの?、、フフッ、、それは、、あなた、、フッ、、さすがに、、。」


アリ「リーゼさん、、笑ったら、、かわいそ、、フフッ。」


ミディ「ニャハハッ。おバカさんだねー。」


ラン「やっぱりバカだったな。」


ロゼ「モナ。おもしろい部下が、、フフッ、、いるわね。」


モナ「お姉ちゃん!からかわないでよ!、、、プフッ。」


グレ(あー、ダメだ、、。この人達は関わったらダメな人達だ。オレが間違ってたんだ、、。もう真面目に生きよう、、。)


ロイ「しかし、お前、グレイって名前だったんだな。」


グレ「、、あー、これは、市民権をもらったときに自分で付けたんです。転生前の名前は使えなかったので。」


アリ「自分で、、?、、プフッ。」


グレ「??」


リー「アリシア。彼は異世界の人だし、知らないんだから笑ったら、、かわいそう、、、フフッ。」


グレ「あの、、オレの名前が何か?」


ミディ「あのね、こっちのお話で『お漏らしグレイ』ってのがあるんだよー。」


グレ「、、お漏らしグレイ?」


ラン「ある勇者の話でな、弱いくせに見栄っ張りの勇者が人々に頼まれて魔王退治に行くんだが、魔王を目の前にしてビビりすぎて漏らしちまって魔王に笑われるって話だ。」


ノア「こっちの世界では見栄っ張りの人なんかを例えるのに使われますね。『あいつはお漏らしグレイみたいだ』って感じに。」


グレ「ちっ、、、ちきしょーーーーー!!!」


バタンッ


縄に縛られたまま夜の街へと走り去るグレイ。


ロイ「あーあ。みんなやり過ぎですって。それに『お漏らしグレイ』って『勇者グレイ伝』の一部を面白おかしく変えた作り話ですよ?あんな風に教えなくても。」


ロゼ「また来られても困るし、これくらいしとけば彼も懲りるでしょ。」


リー「そうね。そう願うわ。」


ラン「バカは治んねぇって言うけどな。」


アリ「けど、モナさん。あの人が異世界から転生してきたって知ってたんですか?その辺の話聞いても驚いてませんでしたけど。」


モナ「あー、お姉ちゃんから聞いていたので。彼は警備隊に所属してるって思ってますけど、実際は保護してるんです。特例ですし彼の存在が何にどう影響するか分からないので。今頃うちの隊員に保護されてると思いますよ。」


ロゼ「モナはできる女ね♥️」


モナ「もうっ!お姉ちゃん恥ずかしい♥️」


ロイ(相変わらずだな、、この姉妹は、、。)


ロイ「ノアは最初から分かってたんだろ?この前のあいつだって。」


ノア「はいっ。気配ですぐ分かりました。あの人の気配は変わっているので、、異世界の方だからでしょうか、、?」


ロイ「かもな。その時にすぐ言えばこんなくだらないことそこで辞めたと思うけどな。」


ノア「何か企んでる様子だったので、おもしろそうだなって。フフッ。予想以上におもしろかったです♥️」


ロイ(なんだろう、、ノアが社長に似てきたな、、。)


ノア「フフッ♥️」


~~ウィザリア市街~~


ダダダダダダダッ


グレ(ぢぎじょう!ぢぎじょう!もうあんな奴ら二度と関わりたくねぇ!!警備隊も辞めてやる!!どっかの田舎で幸せになってやる!!ぢぎじょう!!)



翌日、警備隊に連れ戻されたグレイは給仕見習いとして新しい職場に勤めることになり、街では真夜中に縄で縛られた男が泣きながら街中を走り回っていたとしばらく話題になっていた。



逆襲失敗!!

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