表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀色の人工竜人  作者: 猫崎
人工竜人
4/67

襲撃


私達の村から王都までは馬車で6日程で着く。


「あの、すいません」


 村から出て2日目の休憩時間に、私は一番強そうな騎士に声を掛けていた。


「なんだい、綺麗な嬢ちゃん。まだ王都には着かねえぞ」


「あの、素振りを見て欲しいのですが」


「は? 嬢ちゃんがか?」


「はい、ダメでしょうか?」


「いやー、嬢ちゃんには似合わねえから止めときな」


 強そうな騎士、茶色い髪のおじさんは私が冗談を言ってると思っているのだろう。


「ちょっ! 嬢ちゃん!!」


 私はおじさんの腰から剣を抜き取る。

 どうせ冗談と思っているのだろう。


「稽古、付けてくれますか?」


 ランさんに少し教えて貰った通りに剣を振る。 


「くくっ、面白そうだな! 良いぞ!」


 それから休憩時間になると、私はおじさんに剣を教えて貰っていた。


「ここはこうだ! もっと脇絞める!」


 騎士のおじさんに教えられながら、私はこのまま何事も無く無事王都に着くだろうと考えていた。



 ◇  ◇  ◇  ◇



 村を出て五日目。

 道が二つに分かれている箇所に着いた。


「右の道が王都に続いてる。左の道には町があってな」


 おじさんがそう言っていると、左の道から二台の馬車を囲むように騎士達が進んで来るのが見えた。


「お、ありゃお前らと同じ学園生だな」


 おじさんが馬車を見ながら言ってくる。


「ウィンツ隊長、こちらには現れませんでした」


「おう、そうか。そりゃよかった」


 甲冑を身につけた男がおじさんに話し掛ける。

 隊長? おじさんが? と私は疑問に思う。  


「じゃあこのまま行くか」


 そうして私は馬車二台、子供六人、騎士9人となって王都を目指した。



 ◇  ◇  ◇  ◇



 六日目の休憩時間、事件は起きた。

 背後の森から、突然8体の影が姿を現したのだ。

 影は濁った緑色の体をしており、腹は大きく膨らんでいる。右手には木を削って作ったと思われるこん棒が握られており、腰にぼろ布を巻き付けただけの姿。オークだ。

 子供達はいきなりの出来事にパニックになり。泣き出す子、放心する子などが出てきた。

 騎士達はいきなりの襲撃に少し対応可能が遅れる。

 子供の数は6人、騎士は9人、オークの数は8体。

 人数的には勝っているが、人間と魔物の間には大きな力の差がある。

 

「クソ! お前ら子供達を守れ!!」

 

 唯一冷静だったおじさんが、騎士達に号令を飛ばす。

 でも遅い。

 何故なら今、私達に1頭のオークが向かってきているから。

 背後にはフィアが居て、近くに騎士は居ない。


(不味い不味い不味い!!)


 私はまだ魔物の相手をしたことが無い。

 村の近くの森には何故か魔物が居なくて、普通の動物しか狩ったことがないからだ。


(不味い本当に不味い!!)


 今の状況は生まれてきて最大のピンチと言えるだろう。

 だって、先程から私も体が震えてしまっているからだ。

 見上げる程の巨体。浴びせられる殺気。恐くない筈が無い。でも──


(私が動かなかったらフィアはどうなる?)


 思い出せ、自分がこれまで何をしてきたのかを。

 私はあのオークみたいな理不尽に抗う為に鍛えて来たんじゃないのか?

 なら、今動かなくてどうする。

 私は目の前の圧倒的な脅威に抗うんだ。そして勝つ。

 今まではずっと鍛えてきた。己に降りかかる理不尽に抗うために。

 なら、その成果を出せば良い。簡単じゃないか。


「かかってこい! オーク!!」


 私は理不尽を打ち破る為に、フィアを守る為に異能を発動した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ