三十七話 薬師
エルフの国の大森林の外れにある年期の入った家の前にセイたちは来ていた。
煙突からは紫色の煙が立ち上っておりまさに魔女の家という感じである。
しかし、この家に住んでいるのは魔女ではなく薬師。
煙はポーションを作るときにでる物で、無害である。
もう一度言うがたとえ紫色で、えげつない臭いがしても無害である。
「はぁ、相変わらずこの家の煙は健在だな・・・まぁ、煙が立ち上っているって事は今は採集に行ってるのではなく調合の時間か。採集の時間だと数時間待つことになるから良かったな。」
「あの・・・ヒジリくん?本当に大丈夫なの!?すんごく臭くて、鼻が曲がりそうなんだけど!?それに、なんでヒジリくんは大丈夫そうなの!?」
「ここには昔かなり通ってたからな馴れた。うん、一日中ここで手伝いの仕事したら馴れるよ。俺はあのとき金につられてここで仕事したときの自分を殴りたいと思ったよ。まぁ、この強い臭いのお陰でゾンビとかのアンデットモンスターの腐臭もそこまで食らわなくなったかは良かったけどな。」
うん、本当に懐かしい。
あのときこのクエストを受けなければ俺は色んな意味で死んでただろうな。
ドラゴンゾンビの腐臭に耐えられるずにパックンチョされただろうし、ここで分けてもらったポーションがなければ感染症や血が足りずに死んだろうし。
セイはドアを三回ノックをするとこの家の主である薬師のエルフではなく、幼子が返事をしてきた。
「どちら様ですか?」
主ではなく出てきたのは七歳程のエルフの少女。
エルフ特有の若草色の髪の毛、碧眼をしており美少女というより美幼女という感じだ。
「お客さまですか?でも、お客さまにしては少し服装がみなさん怪しいですね。」
「俺たちは怪しいものではない。ここの主にセイが来たと伝えてくれ、そうしたら俺が怪しい者じゃないとわかるハズだ。」
「はい、わかりました。セイと言う方が訪れていると主にお伝えしてきます。」
そう言って幼女は扉をしめてトタタタと走って至ったようだ。
三分後、再び扉が開かれると白衣を来たエルフの美女が出てきた。
髪の毛と同じ若草色の眼鏡をしており、見た感じはやり手の研究者。
「おや、これはかなり珍しいお客さまだね。十年ぶりかねセイ。」
「相変わらず、エルフのお前は若作り出来てんだな、リン・シャーウッド。相変わらず、ここは臭いが強すぎるんだよ、連れが体調崩すかも知れないじゃないか。」
「そう言われてもこの臭いは仕方ないね。この臭い消せと言われて、ポーション作りをやめると色々な所に迷惑がかかるからね。それで、アナタはここになんのようかしら?」
「話すと長くなるから中で話せるか?」
「話しづらいないようか?」
「あぁ」
「分かった。着いたきな。」
セイたちは薬草の臭いが染み付いた家へと足を踏み入れていった。
セイ達は普段食事を摂ったりする食堂へと連れて行かれた。
ここは比較的臭いが弱いようで三人とも顔色はよさそうだった。
「さて、今回はアナタ何をするつもり?エリクサ―なら白金貨300枚。賢者の石なら白金貨1000よ。」
エリクサ―は部位欠損も直せるポーションの最上級ランクのもの、賢者の石は死んでから一日以内なら死者を蘇らせる奇跡の薬である。
「いや、今回は上級回復ポーションを100、魔力ポーションを200頼む。理由はこれから話す。」
「わかったわ。アナタは今回も何か変なことに巻き込まれているようだし、理由しだいじゃまけてあげるわ」
セイはこれまでも事を話し始めるのであった。




