三十五話 宝物庫①
「なぁ、セイ殿。」
「ん?どうかしたのか?トイレか?トイレなら待っててやるから行ってきたらどうだ?」
まぁ、トイレと言っても洞窟の横穴しかしかないが。道端よりはましだろう隠れられるしな。
「いや、トイレでは、ないのだが、一つ聞いてもいいか?」
「おっ、何をだ?」
「いや、そのフードつきのコートは暑くないのかい?ずいぶんよさげな生地を使用しているが・・・もしかして、何か魔法でもかけているのかい?」
おっ、阻害認識の魔法をかけてあるんだが気づくとはな・・・流石アーロンの娘だ。アイツの観察眼は子にも遺伝してるとはな
「うーん・・・魔法ではないな・・・涼しいのはこのコートの素材だな。ちょっと特殊な魔物の素材を使っていてな、ま、何の素材かは教えないけどな。知りたいならアーロンに聞いた方がいいぞ。確かアイツもこれの素材の服を持っていたしな。」
「む、教えてくれも良いじゃないか。父上の所に戻れるのは一月位になる。忘れるじゃないか!」
絶対嫌ですよ。だって教えたら俺が誰かバレるし。この魔物は天空の覇者グリフォンの希少種の物で、確認されたのは十年前のとある場所で・・・その時のパーティーが英雄八人だからな。
言った瞬間バレるんだよ。一人ずつ容姿とか、居場所確かめていくとな・・・
「えー、おっ、着いたぞ。おーい、ティファニア!ミクさん!」
宝物庫の扉の前で二人は世間話をしながら待っていたようだ。扉は開かれて、中には所々光っている。
おそらく金貨や剣、鎧が光に反射して輝いているようだ。
「どうだ?めぼしいものはあったか?」
「それなりに金貨は有るけど、武器はそこまでね。あっ、一つだけ騎士っぽい鎧があったけどどうする?」
「あっ、それ、多分ボクのです!」
「あれ?セイさんこの方は?」
「えーと、獣人の国の騎士団長の娘で、クロアって名前だ。捕まってたから助けてきたんだよ。多分その鎧、彼女のだと思うよ。よく見たらどこかに獣人の国の紋章があるはずだ。とりあえず鎧は返すつもり。」
アーロンの娘を無駄死にされると後味悪いし。アイツにあったとき何されるか・・・話聞いたところ。アイツはクロアのこと溺愛してるっぽいしな。
「ずいぶんまた、凄い肩書きの方ですね。騎士団長の娘といえば英雄の娘じゃないですか。」
「驚かないんだな?」
「まぁ、もう慣れましたよ。その方より規格外な人と一緒にいますからね。」
「まぁ、そうだが・・・」
「セイ殿!鎧ありがとうございます。これで、とりあえず防御面はどうにかなります。あとは武器かなにか都合していただければ・・・」
「この中にないのか?」
「えーと、ちょっと盗賊と戦闘したときに力を入れすぎて・・・」
顔をうつむけながらゴニョゴニョと言っていて普通の人は聞こえないだろうがセイの耳はその声を拾っていた。
「まぁ、何だ。盗賊のやつだが好きなの持っていけよ。」
「ありがとうございます。」
ティファニアはセイの元により、小さな声で聞いてきた。
「えーと、何があったんですか?」
「えーと、あれだ。折っちまったんだよ。馬鹿力ってやつだ、みんなに聞かれるのが恥ずかしいだけだろう。」
「そうなんですか。」
そうなんですよ




