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そこで僕は腕を上げた。チャリンと音がする。いつ気づいたのか分からなかったけど、僕は自分が鎖に繋がれていることを知っていた。黒っぽくて錆びたにおいのする鎖は手首と足首の計四ヵ所を檻に縛りつけていた。鎖は意外とピンと張っていて、あまり動けない状態だった。そもそも僕は動こうとしなかったので真実は分からない。
······知っていた?
「そうだな······その鎖、それからこの花、この檻。何もかもが狂っているとお前は思わないか?」
声が話すと風が通ったように花がいっせいに揺れた。でも僕の髪は揺れなかった。
狂っている。そうかこれは狂っているのか。
自分が存在しているということが「狂っている」の一言で収められたのに僕は憤りをおぼえた。
「狂っているといえばそうなのかもしれないけれど」
一拍息をつく。
「そもそも僕はなんでこんなところに?」
はじめて疑問に思った。