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新天地への手引き  作者: 加賀優介
第一章
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黒い城

第一章

扉の先に広がっていたのは、広大な草原であった。僕はその世界へと両足を着けてから、扉をしっかり閉めた。


僕は目的の場所へと向かうべく、歩き始めた。

少し歩くと、目の前に大きな川が現れた。


(これは中々……)


その川は、幅が広く、流れも急であった。見た限り水深はそれほどないようなので、渡ろうと思えば渡れるのだろうが……できれば渡りたくない、というのが僕の思いである。一張羅であるこのベージュのズボンを、僕は濡らしたくなかったのだ。


しかし、川の向こうにある景色を目にした僕は、やむを得ずそこを渡る決心をする。

僕が見たものとはずばり、これから訪ねなくてはならない目的地そのものである。

僕の目的地とは――広い湖に囲まれた、巨大な黒い城であった。



湖から城へと、一本の石橋が掛けられている。距離にして百メートルはあろうか。

僕の瞳に映る黒い城は、依然小さいままである。さらに、城の周りには霧が立ち込めているため、その全貌を目にすることは未だにできないでいた。


(だけど……だからこそ、余計に重厚な雰囲気が出てるな……)


広大な湖の中心に、霧を纏いながら大きくそびえ立っている黒い城。――言葉では到底言い尽くせない荘厳さが、そこにはあった。


僕は一歩一歩、しっかりとした足取りで石橋の上を歩いた。……叩いて渡るような真似はもちろんしない。城の荘厳さは、石橋にも伝播しているのだ。それはまるで、鬼教官を前にした訓練兵の整列であった。

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