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引き出し

わたしだけの引き出し。それは、。。。

私の部屋に秘密の引き出しがあるの。


本当は誰にも教えたくないのだけど。


その引き出しは5段あり、木製の古いもの。



わたしは1番下の引き出しを開けてみた。


そこにはひとつの箱が入っていた。


それこそいつまで経っても悔やまれる過去の出来事をこの箱に閉じ込めているのよ。


誰にだって後悔するような出来事はあるでしょ?


わたしは、その箱を捨ててしまいたかったけど、焼却される前に誰かに拾われて開けられてしまうと困るので、それもできずにいた。


絶対に開けて欲しくない箱。


わたしはこの状況を誰かに見られていないかドキドキしながら、1番下の引き出しを閉じた。



次にわたしは下から2番目の引き出しを開けた。


わたしは学生時代で、いじめられていて、1日、1日、学校に行くことが辛く、クラス替えまで、あと何日、あと何日行けば解放されると数えながら過ごしていた。


あの時は親にも兄弟さえ、誰にも話せなくて、すごくすごく辛かった。


でも今は自由だわ。


わたしはこの引き出しをもう決して開けることはないだろう。



次に真ん中の引き出しを開けてみた。


そこからは、日常のごくありふれた生活が垣間見れた。


社会人になり、家族と過ごす平凡な日々。ただ混雑する通勤電車に揺られ、仕事をして、帰って寝て、また次の日も同じ繰り返し。。。土曜日、日曜日にようやく解放されたかと思いきや、すぐに月曜日。いつまで続くのかしら?


楽しみはなんなの?


わたしはこの引き出しをちょっとだけ不満気に閉じた。



それから、上から2番目の引き出しを開けてみた。


そこには、私の淡い恋がしまってあった。


するとあの時の想いが、一斉に飛び出してきた。


会社のない休日の暖かい日差しに包まれ、彼とコンビニで購入したソフトクリームをお互いに食べさせて、はしゃいでいた。


わたしは彼がソフトクリームを食べようとした時にわざと押し付けて口の回りにぐちゃっとなった彼を見て、ゲラゲラ笑っていた。


彼も躍起になって仕返しをしようと試みて、わたしが払いのけたら、それがまた彼の頬にベタっとなり、さらにゲラゲラ笑っていた。


そんなこんなで、彼はついに仕返しを諦めて悔しがっていた。


楽しかったな。ちょっとばかり懐かしいなぁ。


いつまでも、いつまでも大切な思い出だものね。


わたしはその引き出しをゆっくり丁寧に閉じた。



そして、わたしはついに1番上の引き出しを開けた。


実はそこに、わたしのこれからの『未来』が入っているのよ。


これからわたしに、どんなことが待ち受けているのかワクワクしているの。


そして、わたしは開けたその引き出しの中にごそごそと入り込み、中から手を伸ばし、そっと閉じた。



― F i n ―

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