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宣言

誰だって恋人に、気になることを聞いてみたいのでは?

宣言



自分には付き合い始めて1年と2ヵ月になる彼女がいる。


いつもの喫茶店で待ち合わをして、ウキウキしながら待っている。


『今日は何を話そうかな?』


そんなことを考えていると、彼女が来た。


そんな彼女に会えるのが嬉しくて、彼女の愛情をもっと独り占めしたくて、会った早々に、ある質問を投げかけてみた。


「ねえ、僕の嫌いなところを3つ挙げてみてよ」


「なんでそんなことを言うの?」


「いいから、お願い」


「いいわよ。えっとねぇ。。。我が儘なところ。マザコン。浪費家。不潔。変態。それにまだまだあるわ」


「おい、おい。3個だけと言ったんだけど。なんだか、聞いているだけでも、つらくなってくるなぁ。。。」


「そう言われても、なんだかわからないけてど、数えきれないほど浮かんできてしまうのよ。考えていると、なんだか益々嫌いになってきちゃったわ」


「そんなぁ。。。」


「それじゃあ、反対に良いところを挙げてみてよ」


「そうねぇ。。。」


「彼女はしばらくの間、考えていたものの、困り果てた顔つきで応えてくれた」


「ごめんなさい。何も思いつかないわ」


「えっ?何もないの?なんだか自信がなくなっちゃうじゃないか」


「しょうがないじゃない?」


「そんなぁ。。。なにかで聞いたことがあったから、こんな質問をしてみただけのに。。。相手の嫌いなところを挙げていると真剣に考えるようになって、益々好きになるって」


「まあ、そんなことは、まれにある話じゃないかしら?ただ私にとって言えることは、少なからず、ありえないことだわ」


「なんでそこまで言い切れるの?」


彼女の顔を覗き込んだが、彼女はどこ吹く風と言った感じだ。


それにもまして彼女に、はっきりと、たしなめられてしまった格好になってしまった。


「実はね。。。私にあなた以外に気になる人が現れてしまったの。ごめんなさい、本当にごめんなさい」


「えっ?うそでしょ?そう唐突に言われても。。。」


「その彼の嫌いなところを挙げようとしても、ひとつも思い浮かばないのよね。どうしてかしら?それにもまして、何故か、良いところばかりが思い浮かんでしまうのよ」


「う~ん」


自分はうなだれることだけしかできなかった。


「やはり、ごめんなさい。この際、別れましょう」


「げっ?うそでしょう?」


「いいえ、本気よ」


「そ、そうなんだぁ。。。好きになってもらうなことが、こんなにも大変なことだなんて、思いもしなかったよ」


「大丈夫よ。あなたは、ひとりでも生きて行けるわ」


「そんなぁ。。。そう宣言しないでくれよ。頼むよ。なんとか、ならないかなぁ?」


「最後にひとつ。あなたの嫌いなところをもうひとつ言うわ。その未練たらしいところよ。それでは、さようなら。元気でね。いつかあなたに似合った良い人が現れることを願っているわ」


彼女は本気に願っているとは思えない表情を浮かべながら、自分の元をあっけなく去っていった。





ー Fin ー


H.29.8.11.投稿作品



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