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えっ ?

期待しちゃいます。

えっ?




「博士、ようやくできたのですね。待ちくたびれましたよ」


自分は60歳も越えていたので、薬ができないうちに死んでしまうのではないかと思っていた。だから、薬が出来たとの連絡は飛びあがるほど嬉しかった。


薬が出来たとの連絡を受け、自分は博士の研究室に駆け込んだ。


何を隠そう、私は秘密裏に博士に薬作りを依頼していたのだった。


「ついにできたのですね?若返りの薬」


「そうじゃな」


「だけど、この薬を飲んで若返り過ぎて、赤ん坊になってしまうなんておちになるのじゃないですよね?」


「そんな訳はあるまい。君は私をばかにしとるのかね?」


「いや、そんな。博士を尊敬しております。博士が気を悪くされたのでしたら、謝ります」


「まあ、別によい。私は寛大だから、もう気にせんことにする」


「それはそうと、早くその薬を見たいのですが?」


「まあ、そう慌てるな。せかすと間違いのもとじゃ」


そう言いながらも、博士は棚からひとつの瓶を取り出した。瓶はコルクで栓をされていた。


その瓶は720mlのワインの瓶となんら変わらなかった。


「あぁ、見ての通り、この瓶は私が飲んだワインの空き瓶じゃよ」


「そうなんですかぁ。。。」


それでも瓶の中身はワインのような液体でないのが見てとれた。


博士は瓶を軽く振ってみせた。


瓶の中で薬どうしの擦れる音が小さく、さくさくと聞こえた。


「博士、何錠飲めば良いのでしょうか?」


「1錠で5歳分。君がなりたいと思う年齢分を飲むとよかろう」


「わかりました。博士、早速、若返りたい。5錠ください」


自分はすぐさま左手を差し出していた。


博士はもったいぶるように、ついにコルクの栓を開けた。


自分は博士の手のひらに数錠の薬が落ちるのを食い入るように見ていた。


自分は博士から5錠の薬を受け取ると、すぐさま飲み込んだ。


すると、その効果はすぐに現れた。


「どうじゃ?若返っただろう?」


「なんだかとても気分が良いです。なんでもできるような気分です。突然ですが、無性に走りたい」


自分は身体中に駆け巡るみなぎるパワーを感じ、衝動を抑えることができなくなってしまった。


「博士すみませんが、ちょっくら、そこら辺りを走ってきます」


「ちょっ、ちょっとまってくれ。。。」


博士の止めようとする声は聞こえたが、自分の行動は抑えようがなかった。そして、自分は研究室の扉を勢いよく開けて走り出そうとした。が、あっさりと足がもつれて、おもいっきり転んでしまった。


「あいたたた」


「だから言ったじゃろ。。。ちょっと、まてと。。。」


転んでしまったことが府に落ちずにいると、博士の呆れた顔が近づいてきた。


「あのなぁ。。。人の説明は最後まできいてくれんかのぉ」


「だって、自分の気持ちが抑えられなくて。。。」


「それは分からなくはない。ようはこの薬は人の心の中にある『老けてしまったと思う気持ち』を若返らせるものじゃよ。それに、。。。」


「それに、。。。何ですか?」


博士は少しとまどった感じだったが、素直に応えてくれた。


「私はワインが好きじゃ。だから、その薬には凝縮したワインのアルコール成分が入っているのじゃよ」


「自分はもしや酔っ払っていたのですか?」


「まあ、考えたってわかると思うが、薬で外見や体力まで変わるなど、無理にき決まっちょるじゃろ」


自分は地面にぶつけた膝をさすっていた。


「単純に酔った上に無理するから、そんなことになるのじゃよ。自分自身の『 歳 』を考えて行動せんと、思わぬ怪我をしてしまうぞ。気をつけなさい」



ー F i n ー


H.28.11.14.投稿作品



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