気になる?
やっぱり気になるよ。
気になる?
街の雰囲気はすっかりクリスマス一色になっている。
自分には付き合い始めて2年ほどの彼女がいる。
奮発してクリスマスイヴに合わせてレストランを予約した。
そしてまさに彼女の来るのをまだかまだかと待っている。
「お待たせ」
彼女のにこやかな笑顔にドキドキする自分。
彼女はスレンダーな身体にシックなドレスを身にまとい現れた。
彼女が席に着いてから、乾杯のシャンパンを頼んだところで、クリスマスプレゼントを彼女に手渡した。
「はい、君へのクリスマスプレゼント」
「ありがとう」
彼女は手に取り、眺めた。
「これは、何かしら?」
「まあ、開けてみてよ」
彼女は手の平サイズの箱にかけてあるリボンをとき、中から透明な球体を取り出した。
「水晶?あらっ、ちがうわ。。。何なの?」
彼女はその球体の中に細かな機械を見つけ出したのだった。
自分は彼女のために説明をしてあげた。
「これは自分が開発した装置で、この場所にいながらその人の記憶をこの球体に鮮明に映し出すものなんだ。しかも優れたことに未来も過去も映し出せるんだよ。名付けて、『記憶せんめい』。すごいでしょう?」
自分は自慢げに彼女に話した。
「なんだか、お煎餅のような名前ね」
「ここにあるボッチで年月日を変えるだけ。すると、その操作した人の記憶を映し出す仕組みになっているんだよ」
「へぇ、そうなんだ」
「今、自分が操作したから。。。」
しばらくすると球体に画像が現れた。
「ねっ?この前デートした日の様子が見れるでしょ?あの日、楽しかったよね」
「わあ、すごいね」
「それじゃあ、試してみてよ」
今度は彼女が手に取り、年月日を操作した。
「いつに設定したの?」
「あのね、来年のクリスマス」
「もう、来年のクリスマス?気が早いね」
しばらくすると球体に画像が現れ始めた。
どこかのレストランのようだ。
「あららっ?私の未来の記憶にはあなたがいないようだわ。代わりに、。。。。。一緒にいるこの男のひとは誰かしら?」
「。。。。。そんな記憶は自分にはないよ」
ー Fin ー
H.27.12.12.投稿作品




