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メモ ラブ

憧れちゃうなぁ。。。

メモ ラブ




私は都内に通うOL。


そんな私には同じ事務所内に片思いの彼がいる。


何故かどうしても声など掛けれない。


それはわかって欲しいのだけど、私の性格上の問題。


私自身でも知っているのだけど、ものすごい内気な性格なのよ。


これは生まれつきなのよね。


何度となく私自身を変えないといけないと思ってはみたものの、無駄な努力に終わっている。


それでも少しずつ変わっているのかしら?


でも、少しずつ変わっているとしても、そんなに時間がかかってしまったら、間違いなく私はおばあちゃんになってしまうわ。


そんなある日、信じられない出来事が私の身に起きた。


ご想像の通り、あろうことか、片思いの彼からメモを受け取ったのでした。


そりゃあもう目を通した時に、ビックリする以外なかったわ。


突然、事務所で何事もないような感じで、ピンク色したメモが私の机の引き出しに入っているのだもの。


最初は何のことかと思ったわ。


引き出しを開くと、ただメモが何事もないかのように静かに置いてあって文字が私の両方の目に飛び込んできた。


その内容の最後に、読み終わったら連絡先だけ記憶して、シュレッダーにかけて捨てて下さいとあった。


それを読んでいると、背後に人の気配が。。。それは、同期の○美だった。


ちょうど読み終えたところで、最後の文面が妙に頭に残っていた。


私は○美にばれないように、手にあるメモを手の平の内側に隠しなから、急いでシュレッダーに向かった。


その後を○美は意地悪くついてくる。


「何を手に持っているのよ?」


○美は興味津々それを奪い取ろうとする。


私はそれこそ必死にかわして、小走りでシュレッダーに向かい、シュレッダーに入れ始めて、ふと連絡先を覚えておくことを忘れていたのを思い出した。が、時すでに遅く、みるみるうちにバリバリバリと音をたてて機械の向こう側へと吸い込まれていってしまった。


『あ〜ぁ、やっちゃったぁ。ドジな私』


落ち込んでみたところで、時間を巻き戻すことなどできるわけなどない。


愕然とシュレッダーを眺めるほかなかったわ。


『私は彼のメモの指示のように従ったまでよ。そうよ、彼の指示よ』


でも悔しい。私はきりっとした態度で○美を見つめた。


「なによ。何か私が悪いことした?」


恨むつもりなどなかったけど、納得できないでいた。


『何故?何故?最初から彼はそのつもりだったのかしら?いじわる?私のことをいたずらにもて遊んでいるの?』


あらぬ方向へと思いを巡らせてしまっていた。


○美は私のことをつまらなそうにみていた。


「な〜んだ、誰からかのお誘いのメモかと思って追いかけたのにシュレッダーなんかにかけちゃってさ。大事なものだったら、シュレッダーなんてかけないもんね」


○美はそう言い残すとその場から離れて行ってしまった。


『あ〜悔しい』


やっとの思いでもらえた彼からの言葉。


みるも無残に細かく粉砕してしまった。


その場に悔いるように立っていると、いつの間にかその彼が後ろに立っている。


「その様子からすると、連絡先がわからないのかな?」


ハッ、としてうなづいていた。


すると彼から新たに1枚のメモが渡された。


「はいこれ、。。。ドジっ子な君だから想定していてよかったよ。良かったら連絡をちょうだいね。シュレッダーにかけなくてもよいよ」


そう言って彼は離れて行った。


そのメモには連絡先だけが書いてあった。


私は思いがけない出来事に顔を赤くして、またしても、しばらくボーッと突っ立ていた。


すると陰から見ていたのだろう。


○美はすぐさま駆け寄ってきて、にこにこしながら『やったじゃん』と私を小突いた。


私はその1枚の愛すべきメモを見つめ、何度も何度も見つめ返しながら、ふつふつと湧き上がる喜びに、いつしかにやけただらしない顔になっていた。




ー Fin ー


H.27.12.09.投稿作品





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