つち
このつちで育てたい?
つち
ここに土がある。
『つち』
もちろん私達は土がなくては生活などできない。
土があるからこそ、普通に生活が営めるのだ。
ただの土。いやいや、普通の土とは違うのだ。
土でもこの土は、そんじょそこらへんの土でない。
ものすごく栄養がある。リン、カリウム、窒素、などなどはもちろんのこと、特殊な物質を加えて出来上がったのだった。
栄養があるからと言って、この土を食べたりなどしない。
植物を育てるのに適している。
この土は植物を早く成長させるためのバクテリアを増殖させる。
私はこの土を実験室より少し袋に入れて自宅に持ち帰り、植物を育てることにした。
家にある植木鉢にこの土を入れ、植物を育て楽しむのだ。
植木鉢にその土を入れ、花の種を蒔いた。
するとどうだろう。
通常3カ月かかって育つ植物が、たったの1ケ月で育ってたくさんの花を咲かせた。
『すごい』
けれど枯れるのも早かった。
通常1ケ月は咲いている花だったが、一週間も待たずに4日間で咲き終わってしまった。
しかし応用すれば良いのだ。そう、野菜を育てるのに適した『つち』として売り出せば良いだけなのだ。
『ふ、ふ、ふ、ふ、ふ』
できたのだ。
私は特許を取得するとすぐに、『つち』を売り出した。
瞬く間に、この土の評判が評判を呼び、売れに売れた。日本全国に行き渡ったのではないかと思われる程だ。
なにしろ、すぐに野菜が育ち、すぐに収穫できるのだ。それもたくさんの美味しそうな実を付ける。収穫してからはすぐに食べてしまえばよいのだ。
しかし、。。。
その野菜を食べた私達は。。。
ー Fin ー
2015.8.9.投稿作品




