電話を切った背中に・・・
ピッ・・・
「魔王様。やはり連絡されたのですね。」
魔王の後ろに緑虎が立っていた。魔王は、少し苦笑いをすると「お前らにもばれてたか。」とつぶやく。
「今日は、思いっきり叱ろうと思ったのにさ・・・やっぱりダメだわ、怒れねぇ・・・(笑)」
魔王はそういいながら、桃花の部屋に入っていこうとしたが・・・
そこで携帯電話が鳴った。相手は魔界の悪魔・・・つまり仕事の電話。
「お前な・・・今、そっちに戻れねぇって言ってんだろ!!」
「いや、しかし・・・」
「しかし、じゃねぇんだよ、てめぇよ!!ぶっ殺すぞ、オラッ!」
そういい放つと、魔王は携帯電話の電源を切った。その時、背中側から冷たい視線を感じる・・・。
ヒクッ・・・ヒック・・・
魔王と緑虎が後ろを振り向くと、そこにはくまの人形を持った泣きそうな顔の桃花の姿が・・・
「も・・桃花(焦)起こしちゃったな・・・ごめんな。」
「パパ・・・怖い・・・」
「ごめんな。ちょっと友達とケンカしただけだから。怖くない、怖くない(焦)」
魔王は、泣きそうな桃花を抱え上げて部屋に戻っていく。
そこに、ドアからコンコンと音がした。緑虎がドアを開けると、そこには来靭達がいた・・・。
「「「ど~も(怒)」」」
そういいながら、来靭達はズカズカと上がり、奥へと進んでいく。
「キッチンあるな。やるぞ!」
「OK!!」
「了解!」
「お前ら、何する気だ?」
緑虎が来靭にそう聞くと「姫様のデザート作りです(怒)」と言い放つ。
手際よく、桃の缶詰を開け、数cm角に切っていく。それを少し解けたバニラアイスに混ぜて塩をたっぷり入れた氷水につけて混ぜていく。その横で、陽菜がスーパーの袋からグラノーラを取り出すと、カクテルグラスに少しずつ入れ、月星はプレーンヨーグルトの箱を開けると、ケトルでお湯を沸かし、グラスに瓶に入った黄色いジャムを入れる。
それをただ呆然と見つめる緑虎だった・・・。
その頃、桃花の部屋では・・・
「パパ・・・。」
「何だ?」
「・・・ごめんなさい・・・お家・・・出て行って・・・。」
「そうだな。」
そういうと、魔王は桃花の顔に軽くパンと叩いた。桃花は「ごめんなさい・・・。」といって魔王にくっついた。
「今度から、ちゃんと言ってからお出かけすること、わかったか?」
「・・・うん。」
魔王は、桃花の頭を撫でながら、優しい顔でそう言い聞かせた。
その頃キッチンでは・・・
「よし!完成!」
その手元にあったのは、2つのフルーツパフェだった。グラノーラの上にプレーンヨーグルトが入れられ、真ん中に桃の角切りが入ったバニラアイスを置き、その周りを桃が花を開くように乗せられていた。
そして、月星がジャムの入ったグラスに氷を入れると、上からお湯を注ぐ・・・冷たい柚子茶の完成。月星と緑虎が桃花の部屋に、来靭と陽菜が柚子の部屋にそのパフェとお茶を持って入っていった・・・。




