ごめんなさい。
コンコン・・・
「失礼します。」
緑虎が、ポットとカップを持って部屋に入ってきた。柚子はふてくされたような顔で緑虎を見つめ、桃花にいたっては緑虎を見ようとはしない。
「少し、横になられたほうが・・・。」
「ほっとけ(怒)」
「出てって・・・」
「・・・かしこまりました。」
緑虎は、悲しそうな顔でティーセットと小さな紙袋を置いて退室する。不思議に思った柚子はその紙袋の中身を確認した。
「桃花・・・」
「・・・何?」
「これ、くま用の服じゃねぇ?」
柚子が袋から出したのは、小さなハンガーにかかった黄色いパーカーとジーンズのズボン。それにブーツ。それ以外にもいろいろ・・・
「小さな本まで入ってやがる(笑)」
「・・・くまたん・・・の服?」
「きっとそうだって。許して欲しいんだよ、きっと。口で言えっての。」
「でも・・・緑虎・・・嫌い。」
「だろうな(笑)」
そういいながらも、桃花はくまの人形に服を着せていった。
「かわいい。」
「ぴったりだし(笑)」
いつしか姫達に笑顔が戻っていた。
翌朝・・・
「桃花~!柚子~!準備できた・・・か・・・」
その部屋には、何も残っていなかった。
テーブルの上には手紙が・・・
パパへ
ごめんなさい。もう少し遊びに行ってきます。
桃花
お土産ちゃんと買うからご心配なく。ママによろしく!
柚子
「あいつら~・・・」
怒り心頭の魔王の顔見て、龍鬼と緑虎は、自分の身体がどんどん冷たくなっていくのがわかった。
「いいの~?柚子ちゃん。」
「こんなことしちゃって(笑)」
「いいの!」
「行きたいところ・・・あるから・・・。」
「本当、お前ら度胸あるな。魔王を撒くなんてさ~(笑)」
「その魔王の血を思いっきりひいてるんで、来靭姉さん!」
「うん・・・パパ怖いけど・・・やさしい。」
「はいはい。てかどっちだよ!」
逃走再開。
陽菜が電話で仲間に相談。ホテルの地下駐車場にレンタカーを置いてもらっての逃走。向かう場所はまず、来靭の相棒を迎えに行くところから始まる・・・。




