表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/94

王立騎士団リーダーのセルバートの村に着く << マイネ 2 >>

ゲームの中の出会い  << マイネ >>

https://ncode.syosetu.com/n9816kr/2/

 僕とフェアリーは村の明かりを目指して歩いた。

 たどり着く頃には、だいぶ夜も深けていたが、明かりは少しも減っていなかった。

 村には多くの人が集まっていた。

 突如、僕たちの後ろから、馬に乗った女性が駆け抜け、村にいた村民に駆け寄った。


 「セルバートは無事なのか!」


 その声はとても澄んでいて大きく、村中に聞こえるような声だった。


 「イザベラか。ああ、大丈夫だ。王国政権にやられた。せっかく王のためにギルドまで作ったんだが、王のやり方に異議をとなえたら、即座に政権を追放され、これだ」


 傷だらけの男が、破壊された村を見回しながら話している。

 その男の声も大きなものだ。

 よく聞こえた。


 「幸いギルドの仲間への攻撃はなくて、まだ良かった。ゴールネス、みんなを集めてくれて感謝するよ。みんな、復旧を手伝ってくれて、ありがとうな」


 傷だらけの男が、隣りにいる大男と、集まっているギルドメンバーに話しかける。


 「王立騎士団。このギルドの私たちのリーダーはあなたです。誰がこの国の王に相応しいかは、これから明らかになります」


 ゴールネスと呼ばれた、商人風だが精悍な大男は、セルバートという名のリーダーに、畏まって答えた。

 大人たちの会話を、フェアリーと私は耳を澄まして聞いていた。


 「この村は襲撃を受けたみたいね」


 フェアリーは僕に耳打ちした。


 「ここはギルドリーダーの村みたい」


 フェアリーは僕にだけ聞こえるように言ったが、村の人は僕たちに気づいたようだった。


 「あなたは歓迎されるわよ」


 フェアリーは村の人に警戒はしながらも、たぶんねと、僕にウインクした。


 「どうして?僕は子供なのに?」


 僕はフェアリーに聞いた。


 「子供だからよ。子供のあなたは村を持たないから。NPCより強い、プレイヤー級の強さを持つ将校が来訪したからよ」


 ※NPCはゲーム用語で、ノンプレイヤーキャラクターの略。プレイヤーが直接操作しないキャラクターを指す。日本ではモブキャラとも言われ、ゲーム内の村の人などの脇役を指します。


 フェアリーは話を続けた。


 「このゲームでは、各プレイヤーが村を育て、何名ものNPCの将校を獲得して、その将校に兵を預けて軍団を編成し、育成していくの。あなたは賢い人ね、ここまではわかるわよね?」


 その辺りは、ゲーム開始前に説明文を読んでいたので理解出来た。

 僕は人の話をよく聞く、良い子供であろうと意識した。


 「プレイヤー自身は、NPCの将校よりも強く設定されているの。でも大人の各プレイヤーは、自分の村を持って育てているから、他人の村には所属しないの。ところがあなたは子供で、村を持たないから、あなたが望むなら、いつまでもこの村にいることも出来る。あなたは大人たちの助っ人として、ゲームを遊ぶことが出来るの」


 フェアリーの話はわかりやすかった。

 つまり僕は、大人ゲーマーからしたら、強いNPCのようなものかな。

 でも・・・僕は普段から大人に怒られてばかりだったので、フェアリーに聞いた。


 「ちやほやしてもらえるかな?」


 たぶんねと、フェアリーは前を見て言った。


 「セルバートさん、ご来客のようです。敵ではなさそうですな」


 人足に指示を出していた老将が僕たちに気づき、セルバートの側に歩み寄った後に、僕たちの方に歩いてきた。


 「小さな来訪者さん、こんばんは」


 老将はライゼンと名乗り、僕たちに話しかけてきた。

 僕は口がアワアワしたらいけないと思い、フェアリーを見たら、彼女はにこりと笑い、大人の相手をしてくれた。

 僕たちが冒険者であること、滞在する場所を探していることなどを話してくれた。

 その時、僕は意識を突然失った。


 ゲームのログイン制限が来て(1時間のようだ)、リアル世界に戻ったようだった。

 ゲームの余韻は消えなかった。

 母親の、ご飯よという声がしたから聞こえてくる。

 僕は気分の良さを失いたくないので、大きな声で返事をして、食卓に向かった。

 フェアリーが隣で笑顔で見送ってくれている気がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ