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王立騎士団リーダーの休日 << セルバート 2 >>

初出勤 << セルバート >>

https://ncode.syosetu.com/n9816kr/4/

 この国の暑さは、酷い暑さだ。

 湿気があるから、聞いていた以上に暑い。


 私は職場から歩いて10分ほどの場所にある公園で休んでいた。

 日陰はないが、この公園は台風の目のように、ビルで覆われた都市の中にあって人が少ない。

 リュックに入れた水筒を取り出し、水分を補給する。

 生き返る。


 私は今の職場に来て4ヶ月が過ぎた。

 職場は副部長の桑原秋人が上手に回していた。

 監督者の私がいなくても、仕事に大きな支障はなかった。

 私がすべきことは、上司に適切な部下の評価をすることが主だった。

 初日に聞いていた、求人が困難になっているという課題は、早急に改善が出来た。

 離職率が高い部署がいくつかあり、その責任者と面談をして解決させた。

 部署間の調整だから、立場的には対等の関係だが、私は社長や役員に根回しをしてから面談したので、話はすぐについた。

 離職率の高さは経営問題だと、本社にはまず報告したことも伝えてから、根回しに動いた。


 そうまでして動いたのは、新人を安易に切り捨てているのが問題だと、すぐにわかったからだ。

 対策として、採用の面談には、関連部署の責任者に必ず立会と同意をもらい、離職した場合の採用責任を取らせることを求めた。

 最初の一年は、どんなに使えない人でも、絶対に厳しい言葉で指導するなと警告した。

 最初の3日はお客さんだと思って新人を受け入れる職場も、1ヶ月もすれば怒鳴り声による指導が当たり前になる職場が多いことを知っている。

 私は新人をお客様だと思う期間を1年間に伸ばすよう、関連部署の責任者に求めた。

 離職率が下がれば、あなたの評価も上がるだろう、経営陣の意向もさり気なく伝えることもした。


 そして後回しになっていた総務部の人員も補充が出来た。

 どうしても使えないと評価された人を、私たちが引き取ったのだ。

 部門によっては向き不向きはあるからね。

 何でも屋の総務部は、そういう点では最後の受け皿になる。

 桑原副部長が、引き取った人にも出来る仕事を割り振り、良く機能しているよ。


 問題は、私自身にある。

 家族を呼び寄せたいが、妻も娘も来たくないという。

 いつまでもホテルで暮らすのは、会社への体裁が悪いし、妻や娘の住まいだって賃貸なのだから、一緒に住んだほうが経済的に楽なのだ。

 私がこの仕事について日が浅いことが、妻は不安だという。

 言葉の問題もあるが、子供が流れ者のように、転校を繰り返さなければならなくなる心配があるという。

 それはそうかもしないけれども、私たちはそうやってチャレンジしてきたから、家庭を持って、人並み以上の収入を得ているんじゃないか。

 守りに入って勝てる人生ではなかっただろうに。


 私はスマホを開いて、ゲームを立ち上げる。

 私のギルドの王立騎士団の運営は順調だ。

 小さなギルドを吸収しながら大きくなり、今やこの王国で最大のギルドだ。

 サブリーダーはライゼンからザラに変更した。

 ライゼンは良く出来た人物だ。

 周りのギルドを攻撃してメンバーを吸収しないと、ギルドの成長が止まることを知っている。

 攻撃を仕掛けるきっかけを、ザラは見つけてくれる。

 正当性が何より大切だ。

 今のギルドには、ザラがサブリーダーとして必要だとライゼンに伝えたら、自分もそう思っていたとその立場をザラに明け渡してくれた。

 私のギルドには、3人の村を持たない客将がいる。

 ヨーゼス、フェアリー、マイネ。

 彼らが滞在してることで、私の村の成長速度は、他の人の村の成長速度の4倍だ。

 さらにギルドメンバーの復興支援もあり、私の村の発展度はこの王国で最大だ。

 私は微課金だが、重課金者並の強さがある。


 だが、ここに来て、警戒すべき兆候も見えてきた。

 王国政権は王都を失い力を弱めたが、他のいくつかのギルドが力をつけてきている。

 新世界ギルド、第一ギルド、鷹の目ギルド、平原ギルド・・・。

 私たち王国騎士団が影響を与えることが出来るのは、今のところロマール地方の北部だけだ。

 東部、南部、西部では、私たちと同じように、その地域の覇者が生まれると予想された。

 それと、このギルドの中の度の過ぎた武闘派も扱い難い。

 戦争を手段ではなく目的にしているメンバーが、このギルドには多い。

 イザベラに与えたサブギルドに、その者たちを移籍させるのが良いかもしれない。

 王立騎士団へのメンバー加入は今も続いているから、そのくらいは大丈夫だろう。

 それと、島ギルドのマイノス。

 ヨーネス並に課金しているようだ。

 必ず潰す。

 私は自分の課題から逃げたりはしない。

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