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帰還。ギルドミーティングと鷹の目ギルドとの抗争 << マイネ 7 >>

ゲームの中の出会い  << マイネ >>

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王立騎士団リーダー セルバートの村に着く << マイネ 2 >>

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国語の授業とセルバートの家 << マイネ 3 >>

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魔道士ヨーネスとの出会いと、王立騎士団の役員紹介 << マイネ 4 >>

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王立騎士団の分割と、島ギルド・マイノスとの出会い << マイネ 5 >>

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幻想ダンジョン攻略と、ファーストキス << マイネ 6 >>

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 僕たちは、往路と同様に、ゲーム時間で20日ほどかけて、乗り合いの馬車で小都市スアンに戻り、セルバートの村に戻って、今回の旅の報告をした。

 セルバートからは、「明日のギルドの集会に出席して欲しい」と言われた。


 翌日、ギルドの集会に出席すると、セルバートはギルドメンバーに、各地のダンジョン探索の報告と、周辺ギルドの動向の報告を求めた。

 ダンジョン探索に関しては、ギルドの役員ではないメンバーが主に報告をして、各地で見つけた財宝や資源、旅の様子などを楽しそうに話し、僕も剣を一本獲得したことを報告した。

 フェアリーからは、「その剣がどういう剣かは言わない方がいいわよ」と念押しされ、その意味もわかっていたので、僕は詳しいことは言わなかった。

 そこでは友好ギルドの、商人ギルドの動向まで調査されて報告され、このギルドの厳格さの一旦を見た思いがした。

 セルバートは報告を一通り聞いたあとで言った。


 「東北地方にある第一ギルドからは、度々、不可侵条約の要請が来ている。かなりのゴールドをこちらに送って来ている。敵意はないだろう。南西部にある新世界ギルドは、距離があるので接触はほとんどないが、急激に勢力を拡大しているという情報もある。要警戒だ。リリアは引き続き、これを見張れ。東南部の鷹の目ギルドは喫緊の敵になる。イザベラ。お前のギルドで軍団を編成して、侵攻の準備をしてくれ。同時に、ザラは外交で彼らを屈服させることが出来るか、試みてくれ」


 と、ここまで言ったあとに、セルバートは続けた。


 「マイネのもう一つの報告は、興味深かった。よく島までたどり着けたな。それだけでも驚きだ。島ギルドか、良いギルドらしいな?」


 セルバートがマイネに尋ねたので、マイネは言った。

 「はい。とても親切に、そして誠実に接してくれた」と、マイネはみんなの前で答えた。

 セルバートはギルドメンバーに聞いた。


 「良いギルドだそうだ。それは俺たちの味方か、俺たちの敵か?」


 しばらく沈黙が流れたので、僕が「味方に・・・」と言おうとした時、内政官のマリスが、「敵ですね、それは」と白々しく言った。

 セルバートは「どうだ?」と、ギルドメンバーの顔を見て回り、そして言った。

 集会場に沈黙と緊張が張り巡らされた。


 「潰せ。ヨーネス、マイノスというリーダーは、お前と同じくくらい魔力があるそうだ。潰せるか?」


 僕は「えっ?」と声を上げ、セルバートを見て、そしてヨーネスを見た。


 「潰してみせます」


 ヨーネスは僕から目を逸らし、そしてセルバートをしっかり見て、もう一度、「潰してみせます」と言った。


 集会場の重苦しい空気が、時間の向こうに進むようだった。


 「あなたはヨーネスのライバルになったのよ」と、フェアリーは僕に耳打ちした。


 それから1ヶ月半の時間が流れた(ゲーム内時間で、約1年間)


 現実世界では僕は中学生で初めての夏休みを過ごした。

 小学生の頃の夏休みとは違い、自由は少なかった。

 もっと楽な部活に入れば良かったのか、それとも、僕は野球よりサッカーが好きだったので、サッカー部に入れば良かったのか、自分の選択がどうして間違えてしまったのか、後悔が続いた。

 部活の時間のほとんどは球拾いだったが、インターバルで走らされることも必ずあり、私は毎日が憂鬱だった。

 ただ、授業はなかったので、ゲームをする時間は増えた。


 まず、僕はもう市場配送の仕事は辞めていた。

 セルバートの村の近隣で、僕は兵士を率いて、資源採集をやってそれを換金してお金を稼いだ。

 その道中で、戦闘経験を積んだ。


 島への旅で、僕は戦闘経験を積む必要があるとわかったので、フェアリーと一緒に、セルバートの村の近辺で、採集の傍ら、動物狩りを繰り返した。

 野犬や猪は難なく倒せるようになり、NPCの野盗とも戦った。

 奇襲された場合はどうしようもないのですが、そうでなければ野盗はレベル表記があり、強い野党とは戦わない選択肢も選べた。


 野盗の中で、主に旅人や商人を襲うタイプの者は、たまに奇襲を受けることがあり、自分より強い者からは僕らは逃げた。

 フェアリーが霧を生み出して、その間に逃げることが出来た。


 野盗で、農民を襲うタイプの者は、発見すると、地図上で集落のような形で、野盗のアジトとして、そのレベルと共に表記された。

 村を持たない僕の場合は、最大兵力が滞在するセルバートの村の軍事レベルに準拠するので、彼の村のレベルの軍団でも倒せないレベルの野盗も多く存在したが、そういう敵とは普段は戦わなければ良いだけで、イベントなどでセルバートやギルドメンバーと共同攻撃する時は、楽しさもあった。


 僕は龍王の装備を手にしていたので、これで空が飛べると思っていたのだが、なかなかそれは出来なかった。

 龍の鱗の鎧の後方に、つまり背中に羽があるのですが、これを空が飛べるまで動かすのは、自力では無理だった。

 無意識に動かせるようにならないと空は飛べないと、フェアリーに教えてもらいました。

 原理はフェアリーと同じだと思うのですが、フェアリーはそのやり方を教えてくれません。

 僕が以前、現実世界でも飛べるのではないかと言ったからかも知れません。

 フェアリーは僕に、「馬に乗れるようになったら?」と言ってきます。

 それは冒険者の嗜みの一つだと。

 僕はそれも一理あるなと思い、乗馬にも取り組んだ。

 馬に乗って、剣や弓を扱える将校になれれば、一端の将軍になれると思ったのだ。


 また王立騎士団の動きですが、鷹の目ギルドの支配する、青の港の制圧が進められた。

 イザベラの懲罰ギルドが軍団を編成して、青の港を包囲した。

 内政官のザラは、リーダーのログリーと交渉し、青の港の明け渡しを成功させた。

 そこにイザベラの懲罰ギルドメンバーが占領軍として入り、青の港を拠点として活動を始めた。

 ザラはその後、海を渡って島ギルドを調査する予定だったが、王国ランキングで島ギルドのリーダーのマイノスさんが急速に力をつけていることから、ギルドの評議会で、交渉のよる降伏勧告は無駄になる可能性があるという意見が出たので、調略によって、島ギルドを切り崩す方針に切り替えたようだった。


 ヨーネスはその間、ダンジョン攻略や各地のギルドとの小競り合いに駆り出され、評議会で宣言した、島ギルドへの攻撃は先送りされていた。


 マイノスさんが急激に力をつけていることが、王国ランキングから確認できたので、ヨーネスでも勝てるとは限らないという雰囲気が、ギルド内でも出てきていた。


 またザラの、島ギルドへの調略が、捗ってはいなかった。

明確に裏切りを約束したプレイヤーは結局一人もいなくて、島への渡航も時期を逃していたようで、約1年の時間が過ぎた。


 でも、その時は来た。

 ヨーネスは西方で、山賊ギルドのヴァイスと戦い、優勢な状態で和平交渉をして、急ぎ切り上げて、東の青の港に向けて出発したみたいだ。

 ザラから、島ギルドの一名の調略が済んだいう報告を受け、ヨーネスは3日間部隊を休息させてから進軍を再開したとの報告が、セルバートの村にも届いた。



 そして現実世界では、僕の中学生活は2学期が始まり、特に部活が最悪の状況になってきていた。

 最上級生の3年生は夏の大会を最後に部活を終えて、高校受験に取り組み、2年生と1年生の僕らが野球部の中心になった。

 それまでインターバルで走らされてばかりいたのが、これからは本格的に野球をやることになった。

 何が最悪かって、僕は野球が極めて下手だとわかったからだ。

 速い打球は全く取れないので、守備位置が外野になったわけだが、外野には遠投のスキルが必要だった。

 しかし私の体は弱く、ボールを投げる力が弱くて、遠くに投げようとすると山鳴りのボールを投げるしかなかった。

 これは目に見えて無様なので、周りの人に罵倒された。

 今まで走ったり球拾いやっているときは発覚しなかった、野球のスキル格差が明らかになって、僕は毎日のように部活の時間に侮辱され始めた。


 僕の部活選択は完全に失敗だとわかった。

 上達出来るものではなかった。

 なぜ僕は人生の選択を間違えたのか。

 こんな酷い目に合わないといけないのか。


 そしてこの状況は、部活だけでなく、通常のクラスでの生活でも知られていった。

 僕はクラスの最下層の人になりつつあった。

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