人類滅亡への道 菊池編
菊池君は醜かった、誰もが菊池君を一目見るなり嘔吐し目を背け罵声を浴びせる。
菊池君の家族も同じ、菊池君を生んだ母親は赤ん坊の菊池君を見るなり夫に離婚を宣言し、菊池君とは他人になった。
菊池君を押し付けられた父親は翌日首を吊る。
因みに菊池は姓。
世界にただ1人の菊池姓の男性。
何故なら日本中、否、世界中の菊池姓の人たち全員が菊池君と同じ姓なんて嫌だと叫び、養子縁組などあらゆる手段を用いて菊池姓を捨てたから。
だから菊池という姓の者は全世界で菊池君しか存在しない。
そして菊池君を見て嫌悪するのは人だけでは無かった。
菊池君には犬や猫などのペットだけで無くカラスやスズメなどの鳥も近寄らず、菊池君が絶望から自殺しようと北海道の山を彷徨っている途中に出会った熊が、菊池君のあまりにも酷い醜さからか泡を吹いて失神する。
そのあまりにも酷い醜さとは裏腹に菊池君は凄まじく頭が良かった。
だから菊池君は1人猛勉強して細菌学者となり、菊池菌を作り出す。
そしてその菊池菌を全世界にバラまいた。
菊池菌に感染した者は全て菊池君になる。
老若男女の区別無く、菊池菌に感染した者は全て菊池君そっくりな顔になった。
人だけで無く、犬や猫などの動物もカラスやスズメなどの鳥も菊池君と同じ顔。
哺乳類や鳥類以外の虫も魚も、全ての生ある生き物全てが菊池菌に感染して菊池君そっくりな顔になった。
菊池君の顔になったのはそれだけでは無く、菊池菌を根絶しようと顕微鏡を覗いた医者や学者は驚愕する。
全ての細菌やウィルスなども菊池君の顔になっていたのだ。
顕微鏡を覗くと菊池君がワチャワチャと細胞分裂をしていた。
乳酸菌も大腸菌もインフルエンザもコロナも全て菊池君の顔になり、ワチャワチャと細胞分裂している。
その結果、人類は滅亡した。
長い年月をかけて特定してきた細菌やウィルスが全て菊池君の顔になった為に区別がつかなくなり、病気になっても何の病になっているのか特定することができずに、その人が持っている免疫機能に頼るしか無くなったからだ。
菊池君はそれを見て満足し、他の菊池顔の人たちに混じって息を引き取るのだった。