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【第八話】 -宴の終わり、告げられる言葉-



──────────────────


─────────


──────


───


「………な、なんだ?何かが俺たちを包んだように見えたんだが…ラフィ大丈夫か?」


ハックが困惑している声を出す。


「……そうね、少しめまいがして、ジェイク、大丈夫?もしかして疲れてるんじゃない?」


「はぁ…はぁ…だいじょうぶ、びっくりしただけ」


他の民主の何が起こったのかわからないといった感じで誰一人として傷がついている者はいなかった。


本当に…本当に危なかった。

もし俺があの瞬間、杖の謎に迫りたいがための好奇心がなければ、俺たちは…この街は終わっいたのかもしれない、いや確実に終わっていただろう。


火の魔法の派生〈白爆発(グラン)〉、その威力は本人の魔力と相当するものであり、普通の大道芸師の魔力であっても街一つ分は破壊できてしまう代物で、長年使うことを禁止されている危険魔法である。


幸い、あいつは最後の最後で自分持っている最高の大道芸を披露したため、魔力が底をつきかけていた、だから俺は対応することができた。

俺は魔法研究家であって、現場で戦っていた魔法使いたちとは全然違うのだ。


『魔法〈(リーダ)〉』、俺が使った魔法の名前で外敵から斬撃や魔法の攻撃を防ぐために使われている魔法だ。

(リーダ)の魔法は一般的には横に広い一枚の板のようなものだが、俺のは自身の魔法研究によって形を自由自在に操れるように研究し改造した魔法だ。


白爆発(グラン)の魔法に対してただ上に重ねるように(リーダ)の魔法を展開しても意味がない。

(リーダ)の魔法でここにいる人たちを囲むようにして、白爆発(グラン)の魔法を防いだ。

そして幸い、俺たちのところを一転集中したようで、街に被害は出ていない。


そうだ、あの男は…長年使うことを禁止されていた白爆発(グラン)を平気で俺たちに向けて放つ、それも笑ってからだ、その狂気的な男は一体どうなっている?


土台のところを見るとその男、ピエロはいた。

何事のなかった様子で自身の服装には一つも傷がついていない。

強いて言うならば、奴の表情は鳩が豆鉄砲を食ったよな表情で固まっていた。


「お、おい!!なんだったんださっきの白い奴は!?」


だんだん事態が呑み込めてきたのか、民衆の一人が声を上げる。

しかし、ピエロからの返答は帰ってこず、そのまま数秒が経過してから、ピエロはようやく気付いたように声を上げる。


「あぁ、はいすいません。何か言いましたか?」


「だからさっきの白い光っぽい奴は何なんだ!?」


「………」


さてなんて説明するピエロ、はっきり白爆発(グラン)のことを言うとは思えないが…しかし最後のフィナーレと言っていたのにも関わらず最後謎の白い爆発、民衆はさぞかし場が白けているだろうな。


ピエロの事を観察していると、最初の第一声を放つ。


「……クフッ」


人を小ばかにするような、そんな笑い声をあげた。

その笑い声は今の俺からしてみれば、これから何が起こるかわからない前段階に思えてきて、一気に緊張が張り巡らされる。


「クフフフフフッ!!何を言っているんですか?私は大道芸師ですよ?私には最後の大道芸を終える際の決待った動きがあるんですよ、それが最後のあの白い光です、理解できましたか?」


「そ、そうなのか?まぁそれならいいんだが…」


良いのかそれで、あんなに強気に聞いていた割にはそれでいいのか。


「そうです!最後のあれは私の大道芸が終わったことを示す言わば区切りのようなものです!では私は、ここで皆様と別れたいと思います!!皆さまありがとうございましたッ!!」


最後にピエロは大きくお辞儀をした。

そしてそのピエロに、今まで聞いたことのない称賛と歓喜の声で街が包まれるような…そのような感覚に陥る。


「……」


「ッ!」


そしてピエロは称賛と歓喜の波の中でゆっくりと顔を上げた。

その頭を上げる軌道の途中で、目が合った。

奴の目から放たれる憎悪と殺意にに押しつぶされそうになるが、必死に知らないふりをする。


奴は土台から降りて俺のいる方向とは逆方向に歩き始め、人の波に消えていった。

その人ごみの少し上に見える魔石がほんの少し光始める。


【いいなぁ…お前、いつかまた必ず会いに行ってやる、その時は…な?】


正真正銘ピエロの声が俺の耳元で囁くように聞こえてきた。

周りの反応からして、先ほどの声を聞こえていたのは恐らく俺だけで、それは俺だけを狙って発せられたものだ。


まさかあの一瞬であの魔法の使い手の正体が俺だと理解できたその洞察眼に正直ぞっとしてしまう。


何者なんだあいつは…


「いやぁしっかし!!なかなか迫力があったな!!」


俺が若干の恐怖に襲われているとハックが能天気に先ほどの大道芸の感想を述べた。


「そうねぇ!まさか魔法を生きている間に見られるなんて思いもしなかったわねぇ!」


それはラフィも同じで、魔法を見たことがない人は、あれは魔法を見たことがある奴でも驚愕してしまうような大道芸であった。


「…さいごのあれ、こわかったけどすごいはくりょくだった」


「あのドラゴンな!俺の正直怖かったんだが、それをかき消すほどの凄さだったよな!」


「そう?私は断然あの雨を止めた奴が一番すごいと思ったわ、なんというか、すごい神秘的っていうのかしら」


「いやいや!あのドラゴンこそ、最後にふさわしい大道芸で一番すごかっただろうな!」


「男の人ってかっこよさだけを追求するのね、今の時代はロマンチックが優先されるのよ!」


「なんだとぉ!」


「そっちこそ!」


文面だけを見るのなら喧嘩をしているように思えるが、この二人の状況を説明するのなら、じゃれ合っているといった感じだ。

ほんとにこの二人は仲がいいんだな。


さて、周りを見た感じというもののもう終わりの時間が近づいている感じがするのは屋台を開いていた人たちも徐々に店をたたみ始めているのが見えているだからだろうか。

火は燃える時は一番強く燃えて、静かに消えるときはすぐに消える、熱しやすく冷めやすい。

それが祭りってもので、はかない物であるのがまたそれがいいのだ。


──────

───


祭りが徐々に終局に向かい始めていたころ、俺たちはダンともう一度再開したのだが、結局のところダンは酒に負け酔いつぶれていたところを恒例行事のようにハックが肩を貸してダンの家まで送っていってしまったので、俺とラフィが先に家に着いてしまった。

ミャーガレット祭で買ってきた夜食のようなものを開けて机の上に置いた。


そろそろ俺の体もお腹が空き始めたらしく、目の前の美味な食べ物に齧り付くように食べる。


「全く、あの人ったら断ればいいものの…どこまでお人好しなのかしら」


その俺の対面側に座ったラフィは肘を机につけてその手で頭を押さえるようにする。


確かに、父のハックはなかなか顔が広いというか、ミャーガレット祭でそれ違った大半の人がハックを知っていた、今のハックの年齢は25歳以上で間違えないと思うのだが、そのような短い時間であれほどまでの人脈を作ることができるというのは驚きである。


「とうさんって…なんであんなに知っている人がおおいの?」


「ハックはね、昔から好青年だったって言うか、困っている人を助けずにはいられない性格なのよ。そんな彼が好きなんだけど、それがいい目に出る時もあれば」


「きょうみたいに、わるいほうにでるときもある?」


「本当にそうよ聞いて!?まだジェイクが生まれていない時私と一緒に出掛けてるって言うのに、偶然近くにいた困ってる女の人に走ってそのままどっかに行っちゃったのよ!?あり得る普通!?」


「はは…どうだろうね」


ラフィの豹変ぶりに少し苦笑いをしてどっちつかずな回答をしてしまう。

何一つわからないが、ラフィには独占欲という感情が芽生えているのだと思う。


「まぁでも、今となってはそれもいい思い出になったって言うかね…ハックの判断は正しいものなのだけれど、でもそれは私だけにしてほしいと言うか…昔の自分勝手な言論に今でも後悔する時があるのよね」


ラフィよ、俺は今現在三歳だ、三歳の子供にそんな重い話をしないでくれよ。

そう言うこと言ってもどうしようもないだろうに。


と言うよりも、今のラフィの話を聞いて一つ気になることが出来た。


「…おとうさんと、どうやってであったの?」


そういえば、この二人の馴れ初めという奴については全く知らなかった。

なんで契りを結ぶ結果になったのか、気になった。


「……気になる!?気になるの!?そうねぇあの時はねぇ」



俺の言葉を待っていたかのように、母ラフィは一人でに今までの馴れ初めについて語り始めた。


「一番最初にハックと出会ったのは、確か私が15歳の時だったからハックは19歳の時ね」


その後も、母ラフィの一人語りは他の者の割り込みを許さないほど隙がなく、相槌を打つ暇さえなく語っている、まるでこちらの相槌なんて必要じゃないみたいだ。


ハックとラフィが出会った時、ラフィがハックに一目惚れしたらしく、もう一生会えないかもと思ったラフィはその後ハックの跡をつけて家を知り、何かを理由をつけて猛烈にアタックをしたらしい。


それじゃあ、ハックは本当にラフィのことが好きなのか。

そんな疑問が生まれてくるが今まで三年間この二人を見続けた俺にとって、それは愚問だ。

この二人は間違いなく愛し合っている、最初の理由がどうであれ、そこには結果がある。


そんなには本当の愛だなんて呼ばない。

そう言う人も居るだろうが、それもまた価値観の違いだ。


「……ジェイク、今何歳かしら」


一通り話終わったラフィがまたもや俺に向かって話し始めるが、意図が汲み取れない質問だ。


「……さんさい、でしょ?」


そんなわかりきった質問、一体なんの意味があるのか。


「そうね、今ジェイクは三歳ね、何だか時の流れを感じちゃって、ジェイクもあと2年で五歳になるのよね」


「そうだね?」


「……ねぇジェイク、今のあなたにこんなこと言ってわからないかもしれないけど、五歳になるとね、子供は魔法適性の検査をするの」


魔法適性の…検査だと?今まで生きてきた中で初めて聞く言葉だった。

魔法使いにとって、得意魔法は確かに存在するが、魔法適正と言うのとはまた別のものだろうか。


「まほう…てきせい?」


「そう、魔法使いになれるか、なれないのか。そう言う検査をするの…そしてここからが大事」


ラフィは真剣な眼差しで俺を見つめて言った。


「魔法適性がある人は、魔法使いがいる街に強制的に移住さ…れるの」


……なんだと、強制的に移住だと?


「なんでいじゅうするの?」


「魔法適性がある人、つまり魔法使いの素質がある人は魔法が使えない人たちにとって脅威の存在なの…そして今日…その考えがより一層根深く着いた」


「…ピエロ?」


「そう、あのピエロの大道芸師さんの魔法で、私たち民衆は何もできなかった。なす術がなかったの」


…その前にさっさと魔法使いのいる場所に居させたほうがいい、そう言う考えか。


「ジェイクもあと二年で魔法適正の検査をするわ……うん、ねぇジェイク、正直に答えてね」


そうして、母ラフィは言った。

一見すると普通の意図がわからない質問、しかしそれは俺だけには別の意味に聞こえる魔法の言葉らしきもの。

ラフィは直接言うことはなくあくまで俺に言わせるつもりらしい。


「ジェイク、()()()()()()()()()






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