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【第二十九話】 -学園の顔-

 

 優秀な人たち、思えばそうだな。

 今の3人の会話を見るに、火の魔法の代名詞グリム。

 水の魔法の代名詞シュート、そして最後に風の魔法の代名詞ミラン。


 なら、俺と白髪の少女は何故ここにいるのだ?

 少女には何か隠された力があると推測できなくもない。


 では俺は何故ここにいる。

 確かに実力で言えば俺が一番強いかもしれない。

 しかし、こう言うのは信用と実績の上で成り立つもの。

 その点で言えば、俺は入ったばっかで信用も実績もない。


「待ってください、それはおかしくないですか?」


 クリラの言葉を不審に思ったグリムが異議を唱えた。


「そうかな、具体的にどこがおかしいのかな?」


「クリラ先生の言っていることを頭から否定するつもりはないです、じゃあ仮にその言葉が本当だとして、不可解な事があります」


「不可解?」


「そうです、俺、シュート、ミランはそれぞれ別種類の魔法で優秀な成績を収めています」


「うん、そうだねー」


 真剣なグリムの目に対して、クリラの目は何処か別のものを見ているような気がした。

 正しくは興味ないといった感じだ。


「では、さっきから気になってたこの…ジェイクだったか、何故この子供がこんなところにいるんですか?何かの間違いではないのですか」


 グリムは隣にいる俺に指を指した。

 別に怒ったりはしない、疑問に思うのが当然だ。

 声に出さないだけで思っている奴なんかたくさんいる。


「そうかなぁ…私は別にそうとは思わないけど」


「クリラ先生がそう思わなくても俺は疑問に思います、この学園の優秀な成績を収めている生徒を押しのけて、この子供がこの場所にいる。何か理由があってこの場所にいるのならわかりますが」


「当然あるとも、ジェイク君は強いからね」


「それは俺よりもですか?」


 グリムの目つきが少し強くなる。

 その顔に似合う血の気の多い性格なのだろうか、いきなり戦闘を申し込まれる可能性もあるのか。


「それは分からないよ、なんせ私は君たちの噂を聞いて集めたんだから、確かめたいのなら各自で聞くことだ、さてこの話はもう終わりだ、次に行くよ」


 クリラは説明を続ける。


「さっきも言った通り、ここにいる君たちは私の独断と偏見で選んだこの学園の優秀な五人だ、君たちは上位、中位、下位のどこにも属さない、ここにいる君たちはこの学園の一番上だと思ってくれていい」


 その後も、クリラの説明は長く続いた。

 と言っても、クリラの性格的に余計な雑談は言わない、重要な部分だけを端的に説明する。

 それでも、クリラの説明は長く続いた。


 まず、俺たちは上位、中位、下位のどの場所にも属さずどの学年にも属さない。

 そしてこの学園の一番上、上位のクラス?と言ったか…その上位クラスのさらに最上位クラスらしく、このクラスの待遇は目を張る者だった。


 授業の回数は少なく、結構自由な待遇らしい。

 では、俺たちは一体何をするのかと言うと、この学園で起きてしまった事件や事故の後処理だ。

 だから、俺たちに求められるのはこの学園の生徒代表の顔になる事、この学園の秩序を守らせること。


 そして一番重要なのは、俺たちは学園内の魔法の使用を許可されることだ。

 学園内の魔法の使用はある一定の場所でしか許可されていない、それか教える立場である人が許可するかだ。


 俺たちはそれに加え、学園内でどこでも魔法を使うことが許可されているんだ。

 これも一つの学園内の秩序を守るための特別待遇のようだ。


 そうそう、クリラが言っていたが最上位クラスはこれから人数を増やすことを考えはいないらしい。

 それでも本当に優秀なやつを見つけたらここに入れると。


 最上位クラスの生徒を入れ替ることは考えており、あっけなく人が入れ替わることがあるそうだ。


「まぁ、ここまで説明したけどさ、実際一回の説明だけで覚えろって言うのがおかしな話で、わからないことがあったらなんでも聞いてね」


「……授業の回数が少ないって、それって学力試験に大きく関わってくるんじゃないですか?」


 クリラの説明を聞いていた一人、白髪の少女は質問する。

 学力試験などと言うものがあるのか。

 大きく関わると言うことは、授業の内容で試験が構築されているのだろうか。


「ん?あぁ、それないよ」


「………えっと、ないって言うのは?」


 白髪の少女はクリラの言葉を聞いて困惑した。

 俺は知らないが、少女から見て試験というのはとても大事なものらしい。


「説明し忘れてたか…この最上位クラスに試験などない、断言する」


「本当ですか!?」


 グリムが椅子を立ち上がり興奮した状態で言う。

 こいつ…さては勉強ができないやつか。


「あぁ本当本当、てかこれも言い忘れてたね…この最上位クラスは二つ存在していてね、一つはこの魔法クラス、でもう一つのクラスが」


「主に学力、魔法知識のクラスですか?」


「そ、物分かりがいいねシュート君」


 クリラは言葉を被せてきたシュートを咎めるどころか、指を鳴らして賞賛した。


「このクラスでは単純に魔法の強さを求めてもらう、だから試験もそれにちなんだ物にする、逆に向こうのほうでは今まで通りの試験だけど、魔法の強さを計る試験はない」


 知識と強さ、大きく魔法を分別した分野の二つの最上位クラスを作ったのか。

 それぞれの長所を限界まで伸ばしてもらうというわけだ。


「これで今度こそ、このクラスの待遇諸々については話したけど…これを聞いて何か質問がある人はいるかな…ないね、じゃあ行こうか」


「行くって、一体どこに?」


 俺の言葉を聞いたクリラは「はぁ…」ため息をついた。


「毎年毎年の恒例行事みたいなものだよ…学園長の喝みたいな?」


 クリラがそういうと、俺以外の四人はうへぇと顔を沈めた。

 …そんなに面倒くさい事か、その学園長の喝とやらは。


「そんなに面倒くさいんですか?その話ってのは」


 俺は右隣にいるグリムに声をかけた。

 この人生、交友関係も大事にしていこうと決めていたからな。

 このぐらいは頑張らなくてはいけない。


「んあぁ…勉強の次に嫌いだな」


「よほど嫌いなんですね」


「疲れんだよなぁ話を聞くってのは、ここは最上位クラスなんだろ?わざわざ聞かなくてもいいだろ」


「あぁ、その辺は大丈夫だよ、君たちの出番は一瞬だから」


「…わざわざ一瞬だけ行って何するんですか?」


 グリムがそう聞くと、ドアの近くにいるクリラが「んー」と考える。

 数秒後、クリラが出した答えは意味不明だった。


「……みせしめ?」


 ────

 ──


 クリラに連れていかれた場所は、俺が飛び級試験をした闘技場の丁度反対側にあった大きな会場。

 その大きな会場に入ろうとする扉の目の目で、俺たちは待たされていた。


「絶対に使う言葉が言葉違うよな、あの先生」


 グリムの言っていることはクリラの「みせしめ」と言う言葉だろう。

 確かに、見せしめというのは本来罪を犯した人間を裁き、これ以上の罪人を増やさないようにすることだ。

 この場で使うには明らかにおかしいが、どうせクリラの事だ。


「見せしめに近いことをするんじゃないですか?」


「俺らを殺すってか?」


「近いことだと少年は言っているのに、話を聞かない奴だなお前は」


「んだと…」


「喧嘩など今はやめておけ、後でいくらでもしてやる」


 この二人は、言うなら宿敵同士と言うやつか。

 会話からも仲の良さが伺える。


「ごめんねぇ、結構待ってもらっちゃったね」


 会場の扉からクリラが顔を覗かせた。

 チラッと見えた中からは多くの人が椅子に座っていた。


「一体何やってるのかしら?」


「いやぁね、本当にごめんね…もう呼ばれるから」


 呼ばれる?一体何に…


「次に、魔法の最上位クラスを発表致します、一人目!」


 会場の中から「グリム・エンブレム!」と大きな声が会場を伝わり、こちらまで届く。

 …そう言う事か。


「じゃあグリム君、中に入って私に付いて来て」


「あ、はい、分かりました」


 グリムはクリラの後ろに続く。

 さすがは有名人と言ったところか、グリムが会場の中に入れば凄まじい歓声が湧き上がった。


「二人目!アレック・シュート!」


「俺の番か、では先に失礼する」


 シュートもグリム同様に有名人、歓声が起こるのも容易に予想できる。


「三人目!ミラン・フォークス!」


「私ね、じゃあお先に」


 ミランが入ると同じ歓声が…なんだか歓声とはまた違ったような、うまく言葉で表すことはできない声が響く。

 まぁ、特に気にする事じゃない。


「四人目!クォーツ・ホワイト!」


「お、お先に失礼します」


 クォーツ・ホワイトの名をもつ少女は会場の中に入った。

 予想通りの歓声が響くと思っていたが、そこには全くの無音が、一欠片も人の声が響いていなかった。

 何か彼女にもすごい力を持っていると思っていたのだが…


「風魔法…」


『ち、なんであいつが』『本当に、なんであいつが』

『何を考えてるのかしら、自分の立場理解してないのかしら』


 風の魔法で空気の振動をこちらに寄せる。

 すると歓声とは真逆の罵倒が微かに聞こえる。


 本当に小さい声なので少女には届いていないだろうが、それはそれにして悪どい奴らだ。

 …少し気になるが、それは後でも問題ない。


「そして五人目!ジェイク・ガーネット!」


 さて、とうとう俺の参上か。

 どう入るのが正解か、年相応にしどろもどろした感じ、自信のない感じで良いか。


 いや何を考える必要があるか。

 俺はジルク・リージョン、こいつらより何年も年上だ。

 緊張するが、それ以外は何も思わん。


 手をかけて、ドアを開く。

 中に入れば、先ほどまで見えなかった人々を縦に切る道。

 それとこちらを凝視する数多の人達。


 一応、未だ風魔法は切っていない。

 魔法陣は右手の握り拳の中に隠れているため見えることはない。


『え、え?』『こ、子供だよね?』『間違いじゃないのか』

『凄い人の子供で、このクラス創設を嗅ぎつけて入れてもらったとか』


 ひどい言われようである。

 聞こえないように聞こえるよう努力できている。

 が、それも無駄な努力である。


 俺以外の四人がいる舞台。

 階段を使って登りクォーツの隣に立つ。


「以上!!この五名がこの学園の最上位クラスだ、以後顔を覚えているように!」




【登場人物整理】

グリム・エンブレム…火の魔法が得意、身長は170ぐらいの赤髪

アレック・シュート…水の魔法が得意、身長は172ぐらいの黒髪

ミラン・フォークス…風の魔法が得意、身長は167ぐらいの緑髪

クォーツ・ホワイト…謎が多い人物、 身長は158ぐらいの白髪

これ書いてるときに全員の名前の文字数が一緒でびっくりした、本当に狙ってなかったんだけど。



よければブックマークや感想、星の評価などなどよろしくお願いします。

これら全て私の励みになりますので是非是非


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