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【第二十三話】 ‐楽しいお話‐

 


 翌日の朝、俺を見たラフィは速攻で俺に飛びついた。

 まぁ飛びついたのは俺ではなく、正確には俺の首…俺にも気が付かなかったが相当赤くなっているらしい、十中八九あの門番のせいだろうな。


 その門番の言葉を思い出した俺はまた家族総出でアミの家の前まで来ていた。


『また明日な悪魔憑き、できるなら来てほしくないが』


 また明日な、と言っているという事は今日は来てもいい許可が降りたと言う事で間違い無いだろう。


「……入れ」


 昨日とは違う別の門番が俺たちの事を出迎える形でグラントリア家の中に案内する。

 しかしこの門番からは昨日の門番のような圧倒的な強さが感じられない、あいつが突然変異で突出した奴なだけなのだろうか。

 ハックもラフィも一言も言葉を発さずただ目の前の門番について行くだけ、無意識に体が落ち着かない様子で緊張しているのだろうな、なにせ中央の国随一の権力者の家だからな仕方がないと言えば仕方がない。


 辺り周辺を見ると、まぁなんと噴水など、手入れが施された庭の端に花壇が並べられ歩いているときもいい匂いが漂ってくる。


「ここから私が引き受ける」


「了解した」


 さっきまで俺たちを案内していた門番の人は自分の仕事に戻り、次はドア前に滞在していた門番が俺たちを家のドアを開けて俺たちを案内した。


「「「おおぉ…」」」


 中に入った瞬間に空気の違いを感じた俺たち三人は圧巻の声を漏らす。

 でかい、綺麗、上品の三つだけでこの家を説明できてしまうような、不純なものを一切感じない造りとなっていた。

 これは確かに、皆こぞって一度は見てみたいと思うのも納得できる。


「…なんだか流されてここまで来ちまったけど、一体何が起きてるんだ?前は入れないって門番の人が言ってたじゃないか」


 玄関入り口から入って右の長い廊下を歩いていると、ハックが俺に不安がりながら耳打ちをしてきた。


「昨日父さんたちが帰った後、偶然俺たちの様子を見に来たアミの母親に見つかってね、それで運命の再会を果たしてもらったお礼に、家に招かれることになったんだ、何はともあれ、いい方に運んで良かったね」


 俺のハックに耳打ちをする形で言った。

 当然のことだが昨日の出来事は言わない、心配でもされたら面倒だし、ラフィが衝撃で何をするのか想像ができないからな。


「着きました、入ってください」


 門番の声を聞いた俺たちおそらく目の前のドアであるだろうと思い、その扉を開く。


 広い、広い空間に沢山の椅子と机が並んでいる部屋、中央にはアミの母親がいた。

 見たことはないが、アミによく似ている長い茶髪、そしてここにいるという事は母親なのだろう。

 そしてその一方で右斜後ろ、そこには俺を殺そうとしてきた門番がいた。


「……あ」


 そうか、そう言うことかと俺は納得した。

 何か見覚えがある部屋だと思っていたのだが、天井入っているヒビを見て完璧に思い出した、ここ昨日殺人未遂された場所だと、今思い出した。


「どうしたのジェイク?」


「あぁいや、何でもない、とにかく座ろうか」


 そう言って、俺たち三人は先に座っていた二人と対面するように座る。

 以降、数秒間は続くその沈黙から緊張が体から溢れてくるような感覚を覚える。


「…初めまして、私はグラントリア家の家主のティズ・グラントリアと言います、以後お見知り置きを」


 沈黙を破ったのはティズ・グラントリア。


「ジェ、ジェイクの父のハック・ガーネットです。そしてこっちが」


「母のラフィです、ラフィ・ガーネットと言います」


 二人ともティズ・グラントリアの自己紹介に流されるように自分の名前を明かす、この感じだと次は俺か。


「俺がその息子のジェイク・ガーネットです、それで、アミはどうしたんですか?」


「アミは寝ているわ…それよりもあなたがそうでしたか、やっぱりテラが嘘をついていたわけではないんですね」


「………」


 ティズ・グラントリアにテラと呼ばれたその男、依然と言葉を発しない。

 テラというのはあの門番の名前で間違い無いだろう。


「嘘を吐いていたって、どういうことですか?」


 ティズ・グラントリアの少し含みのある言動にラフィが質問した。


「テラ、こっちの門番が昨日アミを連れてきたのは一人の少年のおかげだと言っていたので、にわかには信じられなくて」


 何か足りない感じの言い方ではあるが、まさかこの門番、配慮ができるのか!?


「ここまでだったら信じられなかったんですが、その少年の事をテラから少し聞いたらとんでもないです言葉が出てきたんです」


「その、とんでもない事ってのは?」


 ハックの言葉を溜めて溜めて、重りに潰されるような空気感になる言葉を言った。


「悪魔憑き…テラは確かにそう言ったんですよ、そちらのジェイクさんの事を」


「……悪魔憑き?」


「聞いた事ないなぁ」


 やはり二人とも、悪魔憑きという言葉を聞くのは初めてらしい、こっちの魔法使いの国で流行っている呼び方のようだ。

 目の前のティズ・グラントリアを見ると、俺たちの反応に意を突かれたような反応を見せた。


「なるほど…あまり馴染みがない言葉でしたか、今はそれほど重要ではないので一言で言ってしまうと、悪魔憑きという呼ばれ方をされた人は大体処刑にされる可能性が高いです」


「…えっと、は?」


「処刑って言ったんですか?」


「はい、冗談でも何でもなく真剣な回答をしたつもりです、悪魔憑きを呼ばれる人達は大体処刑される結末を辿るんです」


「理由を聞いてもいいですか?」


 あながち、俺の予想は外れてはいなかった、でももし俺が悪魔憑きと呼ばれる部類ならば、即処刑の俺がなんで昨日の時点ですでに死んでいるはずだ、何か理由があるに違いない。

 普通は取り乱すことの状況、俺は落ち着いてティズ・グラントリアに聞いた。


「悪魔憑き、それは約300年前に出現したと言われています、悪魔憑きには共通して特徴があるのですが、それがまず杖を使わないで魔法を扱うことが出来るという所、そして様々な事件を起こしてきたと書物には記載されてる」


 300年前、確か今から400年前に勇者と魔王が現れているから、丁度その戦いが終戦した後だろう。

 それにしてもその考えが300年前からあるのか、悪魔憑きがいるのか、本来魔法使いがあるべき姿がそんな風に言われているのは心外だが、今はそのことについて叫んでいても何も起こらない。


「そうなんですね、ほかには何か特徴があるんですか?」


「そう、それがもう一つの特徴」


 ティズ・グラントリアが俺の方に指をさして、続きを話し始める。


「自分が死ぬと言われているのにもかかわらず、動揺していない、明らかに年相応の落ち着き方じゃない、それはまだ小さいときに長年生きてきた悪魔に体を乗っ取られた原因なの」


「…要するに悪魔憑きというのは、悪魔がその人に()いた状態なんですよね?その人の年齢というのは関係ないんじゃないですか?」


「過去悪魔憑きと呼ばれていた人たちについての調査本があるのだけれど、その調査本には小さき時から親が言っていない言葉なのにどんどん言葉が口から出てきていたというのが分かっているの、今まで例外はないわ」


 なるほどな、本来子は親から言葉を学ぶ。

 自分が言ってもない言葉、知らない言葉が自分の子供からポンポン出てきたら恐怖の対象でしかないだろうな、さすがに怖いものだ。


 …確かに、自分でも言うが俺の現状というのは悪魔憑きの特徴と完全に一致している。


「こんなことを言ったけど、私は別にあなたをどうしたいかなんてのはない。正直私は貴方が悪魔憑きか否かなんてどうでもいいの、私は貴方達三人感謝したいの、ありがとうございます…本当になんてお礼をしたらいいか」


「顔を上げてください!俺たちは見返りなんて求めて──」


「いえ、顔を上げてください」



 それを言ったのは他ででもない俺だ、ハックが余計なことを言い始めたのでひとまず食い気味に発した言葉で止めておく。

 ここで動く、相手が感謝の気持ちで心が満たされている今が好機だ。


「感謝?そんなのはいりません、しかし感謝の代わりと言っては何ですが、一つだけ叶えてほしいことがあるんです」


 先程とは違った重い空気にまた違った緊張が走る。

 ティズ・グラントリアも自分の立場を認識して体に緊張が走っているのを門番は感じ取り、少し殺気立ってくる。


「…私、いや私たちにできることなら何でも致します」


「…実は俺たち、ここに来たのはつい先日なんですよ」


「と言うと?」


 ティズ・グラントリアは一体何の話をしているのかと困惑したような表情になる。


「…単刀直入に言います、俺たち家庭の経済面を支援してください、俺たちこのまま餓死で死にます」


 もっとすごい願いが飛んでくると思っていたのか、はたまたやりすぎな願いなのか、ティズ・グラントリアは一瞬だけ虚を突かれたような顔をするが、その後すぐにティズ・グラントリアは数秒考える素振りをして答えを出した。


「…わかりました、私も恩をあだで返す人ではないので、しかしいったいどういう経緯で金銭面に支障ができたのか、それだけ教えてもらってもよろしいですか?…お話してくれるなら、おいしい料理も添えていたしましょう?」


 パチンと指を鳴らすと、入り口から五つの料理が運ばれて俺たちの前に並ぶ。

 ステーキ、アツアツの肉から肉汁があふれる出ると幻覚が見えそうだ、さすがに最近ちゃんとしたものを何も食べていなかった俺たちはここで帰るという選択肢はもちろんない。


「…せっかく作ったおいしい料理、ぜひ食べ終わってからご帰宅ください」


 ()()()()()()()()()ねぇ。

 にしても、狙いしましたかのようにアツアツの肉…料理はあくまで俺たちを此処から逃がさないための布石、本来の目的は別にあるようだが…一体何なのかわからないが、何かを確認されているという事だけは肌で感じた。


「じゃあ、お話しましょうか、とっても楽しいお話を」


















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